山陰本線の復旧検討に着手 復旧されるとすると2025年夏以降 | 金屋代かずおのお部屋

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※初出とタイトル・記事内容が若干異なっています.

 

JR西日本は,2023/6/30〜7/1の大雨で被害を受けた「山陰本線 長門市〜小串」について,粟野川橋梁の調査結果とともに,この区間の鉄道路線を復旧させる具体的な検討に着手すると発表されました.

詳しくは以下のURLをご覧ください.

 

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240129_00_press_saninsen.pdf

 

なお,1/29の時点で「この区間の復旧が決定した」わけではありません.一部メディアでは「復旧を目指す」など復旧を前提とした内容で報じられていますが,必ずしも復旧されるとは限りません.筆者も勘違いをした状態で当初の記事を書いたほどです.

 

※「鉄道事業者の路線が廃止される」「レールが剥がされる」は別々の概念です.ご注意願います.

 

  被害と復旧について

粟野川橋梁(長門粟野〜阿川)の被害について,当日は大雨・それに伴う水位上昇・激しい水流により基礎部分が崩壊して傾斜したとのことでした.復旧される場合はこの橋梁は作り直されます.費用がネックとなりましたが,ここは山口県との検討により,費用の圧縮に成功,工期についても,着工から約1年半程度となる見込みも発表されました.仮に2024年4月から工事に着手すると仮定すると,復旧は2025年夏〜秋になります.テレビ山口の報道によると,復旧費用は約15億円とのことです.

また,その他の運休中の区間においても一部損傷や変形がある橋脚・橋桁がありますが,順次修繕を行い,運休区間を短縮する(例:人丸〜阿川のみ運休)ことも検討されることになりました.

なお,「山陰本線 (出雲市〜益田〜)長門市〜小串」は利用が少なく,JR西日本としての廃線候補です.復旧される以上は現在以上の利用促進施策が求められます.とは言え,沿線住民の人口は限られるため,当面は観光客誘致のための施策が実施されることが提案され,JR西日本から「日常利用(=定期利用)が増えていないので効果がない」とつき返されることが目に見えています.

 

  思ったこと

筆者としては美祢線と山陰本線の両方のレールを剥がしてしまうと,少なくない通学生の足が失われる,「瑞風」が萩に立ち寄れなくなる,(自治体との立場上当然ですが)自治体の強い要望を無視した形でレールが剥がされることになり,JR西日本への批判が大きくなるなど,中期的にはJR西日本にとって不利となると思っており,JR西日本が山陰本線の復旧を断念することをほとんど検討せずに決定しないことは既定路線であったと思っています.

 

この区間の利用者は実は美祢線,特に「厚狭〜美祢」より少なく,利用促進施策はどちらかというと観光利用を増やすことになりそうです.もし復旧した場合は,「瑞風」はもちろん,「はなあかり」にも乗り入れていただきたいのですが,「〇〇のはなし」の後継となる,新車の観光列車の導入に期待します.

現行の「〇〇のはなし」は前回の全般検査が2015年6月であり,実は検査期限(8年)をすぎています.おそらくは休車を繰り返して使用されているとは思われますが,突然「運行を終了します」と言われても仕方がないと思います.仮に新車を導入する場合は,JRが氷見線・城端線向けに今後新造して,路線ともどもあいの風とやま鉄道に引き継がせる車両のシステムをベースにした車両を導入していただきたいと思います.

 

最後に,阿川駅のカフェ「Agawa」は現在冬季休業中ですが,阿川駅に列車が来なくても,3月には営業が再開されます.「角島」に近いため,近くにお越しの方は寄り道されるのも良いのではと思います.