まず,第48回鉄道もけい展示会には20名のご来場がありましたことを報告します.鉄道もけい展示会の会場は奥まった場所にあり,なかなか足を運んでいただけないことが課題となっています.
本題に入ります.
3/10に発表した「713系・吉都線など」について,まずはその動機となるJR九州の大幅な運賃制度変更について紹介します.ご覧いただければわかりますが,この旅行の動機がいわゆる「葬式鉄」の一種であることがわかります.
4/1〜 グリーン料金値上げ
JR九州では特急列車のグリーン料金が2023/4/1購入分から値上がりとなり,201km以上では4,190円となります.1,000円程度の値上がりとなりますがかなりの値上げ率です.787系BM編成のDXグリーン席や個室も値上がりとなります.一方で,「36ぷらす3」(および「或る列車」「ななつ星in九州」で旅行会社がJR九州に支払う正規の特別車両料金)は値上がりになりません.
https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2022/12/20/221220_green_minaoshi.pdf
7/1〜 株主優待制度変更
大きいのはこちらとなります.JR九州では他のJR上場3社同様,株主に「株主優待券」が配布されますが,その内容が2023年度から変更になります.
- 変更前:片道の運賃・料金(列車数制限なし)が5割引
- 変更後:1日乗車券 1日分(運賃部分のみ有効)
http://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2023/02/28/230228_kabunushi_yuutai.pdf
なお,変更後の株主優待制度では「バスと組み合わせて日南線・指宿枕崎線を全線乗車する」「有明湾横断フェリーを使用する」など,JR九州線では連続しない旅程で使用するのが効果的であると思います.
考えたこと
JR九州で使用できる乗り放題系きっぷには3回使用でき,JR特急(博多南線含む)を利用できない代わりに私鉄(西鉄特急含む)も使用できる「旅名人九州満喫きっぷ」や連続する3日間有効で,特急券と併用できる「ぐるっと九州きっぷ」が存在します[2].また,JR九州では「九州ネットきっぷ」がかなり強力であり,普通運賃+α程度で特急の指定席が利用できます.したがって,JR九州の株主優待券は変更前後で性質が異なるものであり,変更前の株主優待券を使用しなければ行えない旅行があります.
というわけで,筆者も株主優待券を取り寄せて九州に向かうこととしました.JR九州の現行の株主優待券は金券ショップなどで取引されており株主以外の方でも使用できます.
目的の候補としては「36ぷらす3」の活用など,色々ありましたが,貴重な国鉄型車両であり,2022/9/23ダイヤ改正でも運用が減らされ,引退の噂が絶えない「713系」と,JR九州の路線で,線名単位で見た際に最も輸送密度が低い「吉都線」を選定し,それを軸に,JR九州車のグリーン車で未乗であった「クロハ882」「クロハ786」に乗車できるように旅程を組みました[3].筆者は以前の九州訪問の際に「36ぷらす3」に乗車したことがある一方,713系と吉都線の乗車を企図して断念を余儀なくされたことがありました.
713系には引退の噂が絶えないため,可能であれば3/17以前に旅行を実行したいところです.筆者は昨今多忙気味であること,3/11・12は713系が団体臨時列車で運用されるため乗車はほぼ確実にできないためスケジュールの確保には難航していましたが,なんとか「3/9・3/10」を空けることに成功しました.
713系の運用についてはこの記事を参考にしました.この場を借りて紹介いたします.仮に「36ぷらす3 3/9 赤の路」に乗車することを軸に旅程を組むと吉都線と713系の両方を日中に乗車しつつ九州一周するには3/10中に周防大島に帰れないことが判明しました.また「3/10 黒の路」はテレビ番組の取材対象であることが事前告知されており,一般販売分のグリーン券は完売していました.
https://www.jrkyushu-36plus3.jp/api/uploads/23022701.pdf
九州へ行く
それでは九州へ行くのですが,旅程の検討はギリギリまで行っていたため,前日16時までに申し込む必要がある「バリ得こだま」を使うことができず,普通列車で行くことになります.
途中の新山口駅ではこのような光景が見られました.
下関総合車両所では古めの解体残を見かけました.「クモハ11117」が解体されたという情報があり,これであるかもしれません.
この場を借りて紹介させていただきます.同型はほぼ残っておらず非常に貴重な車両ではありますが,老朽化は隠せませんでした.
それでは九州へ上陸するとします.JR九州の株主優待券を使用したきっぷの購入はJR九州の駅でしか行えないため,購入する北九州市内の駅(と言っても,門司駅か小倉駅です)では十分な滞在時間を確保しています.
続く
なお,この旅行記は「【特集】2023/3/18ダイヤ改正」として公開し,次の記事は3/15以降に公開します.
脚注
[1]:肥薩おれんじ鉄道にまたがる「36ぷらす3 赤の路(木曜日) 博多・熊本〜鹿児島中央」にも株主優待が適用可能です.ただし,割引分はJR九州区間のみです.
この場を借りて実例を紹介させていただきます.
[2]:以前発売されていた,特急自由席までが乗り放題となる「みんなの九州きっぷ」は,基本的に周年記念事業か,不景気時の需要底上げのためのきっぷであり通例用意されるべき商品ではありません.
[3]:JR九州車「766-8000」の内装はJR西日本車「766-7000」と同様である上,旅程を組み上げる際に所定で「N700系7000番台」で運用される列車に乗車することとしたため,九州新幹線内ではグリーン車の利用を見合わせました.