JR西日本下関総合車両所(旧幡生工場)で40年以上にわたって保管されてきた旧型国電のクモハ11117。最近になって内装作業が進み動向が注目されていましたが、2月25日に現地を訪れると車体の解体が始まっていました。

 

 

 

 

25日に車両所北側の陸橋から見たクモハ11117。解体線に移動していて、ほぼ構体だけの姿になっていました。鉄道省初の鋼製電車モハ30形の生き残りという貴重な存在でしたが、その姿は見納めになるようです

 

 

 

 

もう少し近づいて確認してみました。JR山陽本線沿いの道路からフェンス越しに眺めると窓ガラスはもちろん、ヘッドライト、パンタグラフ、ベンチレーターなどが一切撤去されていました

 

 

 

15日頃に内装作業時の位置から姿を消したクモハ11117。その日の朝に解体されたのかと思いましたが、廃材など作業の痕跡がどうも見当たらず(望遠レンズ越しですが)、奥に取り込まれたのでは…と居合わせたファンの方と話していました。それから約10日、大規模な修復にわずかな望みをかけていましたが、やはり叶いませんでした。

 

 

 

車両所沿いの道路も歩いてみました。こちら側から見ると車体の4分の1くらいが既に失われているようでした

 

 

 

今回のクモハ11117の解体は非常に残念な結果となりました。それでも放置気味だったとはいえ、現役当時を知らない世代の鉄道ファンがその存在を知り、歴史に思いをはせることができたのは長年保管されていたおかげでもあります。

 

 

 

1998年の一般公開時に展示されたクモハ11117。この頃は車内にも立ち入ることができ、それほど傷んでいるようには見えませんでした

 

 

 

鉄道車両の保存というのは資金や場所の確保から継続的なメンテナンスまで、非常に大変だと言われています。日本の鉄道史における貴重な車両でも残せない現実…今回のクモハ11117の解体でまた考えさせられました。

 

 

鉄道車両としては1927(昭和2)年の製造から約95年間姿を保ったクモハ11117。長い余生となりましたが、お疲れさまでした。

 

 

 

※2012年に展示されたときの写真はこちらをご覧ください→クモハ11117「85歳」の現状

 

 

 

【追記】

3月1日に再度確認したところ、クモハ11117の車体は解体がほぼ終わっていました。ちょっと寂しいのですが、写真を載せておきます。

 

 

 

 

【2023.10.16追記】

解体されたクモハ11117ですが、DT10形台車は再塗装され保管されているようです。下関総合車両所で10月14日に開かれた「鉄道ふれあいフェスタ2023」で展示されました。以下に写真を掲載しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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