西新宿の高層ビル群。今や東京都庁を中心に、日本随一のスカイスクレイパーとして知られています。
もちろん、まだ都庁ができる前の1980年代前半も、三井ビルや安田ビル、京王プラザホテルなどの高層ビル群はこの地にありました。
そのような中、新たに建設された高層ビルが、「新宿NSビル」でした。
このビル、他の超高層ビルが50階から60階建てであるのに対し、30階そこそこの高さしかなく、高さについては他の超高層ビルに比べると低いぐらいでした。
ただ、このビル、この30階あまりのビルの中心が巨大な吹き抜けになっており、その吹き抜けに巨大な振り子時計が作られた事が、他のビルにはない大きな特徴になっています。
そしてこのビルが完成した当時、吹き抜けに当たる中央広場？的なところで、様々なイベントなどが行われていました。
まず、思い出すのが「アップルシティ500（ファイブーオーオー）」という番組。この番組、名前のごとく夕方5時からの生放送の番組で（のちにこの時間枠は「夕焼けニャンニャン」が一世を風靡しますが）、このNSビルの広場からよく生放送をしていました。
この広場に特設のステージを作り、アイドルやお笑い芸人などが日替わりで出演していました。時には、BOROが出演し「ネグレスコ・ホテル」など歌ったり、また若き日の気象予報士、森田正光が「お天気モンちゃん」という愛称で天気予報をするコーナーがあったり、それなりに面白い番組でした。
その他にも、アイドルやタレントの握手会、サイン会などがこのNSビルで開かれており、自分も学校帰りにここに立ち寄って、柏原芳恵のイベントなんかを見た記憶があります。あと、中村雅俊の握手会にも行きました。
また、予備校時代の1年間は、このNSビルの下を自分の自転車置き場としており、ここから代々木の予備校に歩いて通っていました。
その為、このビルの中にあるマクドナルドや喫茶店が、自分にとっての憩いの場でもあり、受験生という不安な気持ちを持ちながら過ごした場所でもあります。
そんな思い出が色々とあるこのビルは、今の自分にとっては「特別の場所」になっています。
そんなNSビルですが、今では居住地から離れていることもあり、訪れることもほぼなくなりました。
先日たまたま新宿に来たついでに立ち寄ったところ、以前賑わっていた中央広場はがらんとした淋しい感じでした。それでも、巨大な振り子時計は、設立当時と同様、相変わらず時を刻み続けていました。