映画は園子温監督による実写映画として、2012年の初めに日本公開されました。PG12作品に指定された映画です。ちょっと過激な暴力が描かれているからかな〜。2012年映画芸術日本映画ワーストテン2位受賞( ̄▽ ̄;)。また、出演した染谷将太くんと二階堂ふみちゃんは第68回ヴェネツィア国際映画祭にて新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞しました。
この賞を取ったニュースを聞くまで恥ずかしながら二人とも名前を知らなかったんだけど、その後の2人の活躍は凄かったよね。震災の影響もあり、ストーリーのみならず、夜野(漫画では主人公と同級生なんですが、映画ではおじいちゃんくらいの年齢の渡辺哲さんになっています)をはじめとした多くの登場人物の年齢や設定が変わっているんです。映画のオープニング曲はモーツァルトの【レクイエム·(涙の日)】が使用されました。
染谷将太くんは東京都出身、1992年9月3日生まれの俳優です。『ヒミズ』では主人公の住田祐一を演じました。7歳の頃から子役として俳優活動をしており、2009年には『パンドラの匣』で映画初主演を果たします。以前から、演技力に定評はありましたが、2011年に『ヒミズ』の主演を務めたことでヴェネツィア映画祭の最優秀新人賞を受賞しました。これが世に染谷将太の名前を知らしめる大きなきっかけとなり、その後も国内の新人賞を次々と受賞しています。プライベートでは2015年に女優・菊池凛子と結婚し、2016年には一児のパパとなることを公表しています。
渡辺哲さんは東京都出身、1950年3月11日生まれの俳優です。強面のインパクトのある顔で、ヤクザや叩き上げの刑事を演じることが多い渡辺哲さんですが、『ヒミズ』では住田の貸しボート屋の敷地に住む明るいホームレス・夜野を演じました。
吹越満さんは青森県出身、1965年2月17日生まれの俳優です。1984年から1999年まで劇団WAHAHA本舗に所属しており、テレビドラマ、映画に出演するほか、年に一度ソロパフォーマンスの公演を行っています。2010年『冷たい熱帯魚』で主演の社本を演じてから園子温監督作品の常連となり、『ヒミズ』では、渡辺哲さん演じる夜野と同様に住田の貸しボート屋の敷地内に暮らすホームレス・田村を演じました
田村圭子(神楽坂恵)
神楽坂恵さんは私と同郷の岡山県出身、1981年9月28日生まれの女優です。元々はグラビアアイドルであった神楽坂恵さんですが、平行してテレビドラマや映画にも出演していました。2010年『冷たい熱帯魚』では主人公・社本の妻を体当たりで演じ、女優としての存在感を露にしました。『ヒミズ』では吹越満さん演じる田村のセクシーな妻として登場。プライベートでは2011年に園子温監督と結婚しています。住田の父(光石研)
保険金を手に入れるため、住田を自殺に追い込むべく身体的虐待と暴言を受けさせた。光石研さんは福岡県出身、1961年9 月26日生まれの俳優です。16歳で受けたオーディションで『博多っ子純情』の主演を勝ち取り俳優デビューを果たします。善人から悪人まで多様なキャラクターを演じる名バイプレイヤーとして多くのテレビドラマ、映画に出演をしている大ベテラン。『ヒミズ』では金を無心する住田の父親を演じました。
住田の母(渡辺真起子)
住田にネグレクトを受けさせた挙句、別の男と駆け落ちして彼を捨てた。渡辺真起子さんは東京都出身、1968年9月14日生まれの女優です。1986年にモデルとして芸能界入りをし、1988年には『バカヤロー!私、怒っています』で映画初主演を果たします。その後も、映画出演を重ね2012年『チチを撮りに』でアジア太平洋映画祭、アジアン・フィルム・アワードにて最優秀助演女優賞を受賞する栄光に輝いています。『ヒミズ』では、男を連れて蒸発する住田の母親を演じました。
てつ(モト冬樹)
茶沢の母(黒沢あすか)
黒沢あすかさんは神奈川県出身、1971年12月22生まれの女優です。10歳から子役として活動しており、1990年『ほしをつぐもの』で映画初出演を果たします。2002年にはある夫婦の歪んだ性愛を描いた『6月の蛇』で主演を務め、東京スポーツ映画大賞、シッチェス国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞。『ヒミズ』では、娘を執拗に虐待する、茶沢の母親を演じました。
茶沢の父(堀部圭亮)
金子(でんでん)
でんでんさんは福岡出身、1950年1月23日生まれの俳優です。お笑い芸人として芸能界デビュー。しかし、1981年公開の映画『の・ようなもの』で若手落語家役を好演したことをきっかけに俳優として活動するようになっていきました。2010年園子温監督作品『冷たい熱帯魚』に出演した際は日本アカデミー賞助演男優賞を受賞し、現在も名バイプレイヤーとして活躍中です。園子温監督作品にはよく出演している常連で『ヒミズ』では、住田から父親の借金をとりたてるヤクザの金子を演じました。
谷村(村上淳)
テル彦(窪塚洋介)
窪塚洋介さんは神奈川県出身、1979年5月7日生まれの俳優、歌手です。ドラマ『金田一少年の事件簿』で俳優デビューした窪塚は、その後『GTO』『池袋ウエストゲート』パークでのエキセントリックな雰囲気で絶大な人気を得ることになります。2001年に公開された映画『GO』では日本アカデミー賞最優秀男優賞を最年少で受賞する快挙を遂げました。2003年より一時活動を休止するものの、現在は復帰。俳優やレゲエミュージシャン・卍LINEとしても活動中です。『ヒミズ』では、スリ師のテル彦を演じました。
ミキ(吉高由里子)
吉高由里子さんは東京都出身、1988年7月22日生まれの女優です。2006年園子温監督作品『紀子の食卓』で映画デビュー。吉高由里子さんは園監督によって発掘された女優であるということは有名なエピソードです。2008年『蛇にピアス』では劇中でヌードを披露するなどその体当たりの演技が評価され、日本アカデミー新人賞を受賞します。『ヒミズ』では住田が街で出会ったスリ師の彼女を演じました。
YOU(西島隆弘)
西島隆弘さんは北海道出身、1986年9月30日生まれの歌手、俳優です。AAA(トリプルエー)のメインボーカルとして活躍しています。2009年園子温監督作品『愛のむきだし』では映画初出演ながら主演を演じ、毎日映画コンクールの新人賞を受賞。俳優のしての才能を吉高由里子同様、園監督に引き出された一人です。『ヒミズ』では路上でギターを弾き語りするパフォーマーYOUを演じました。
ウエイトレス(鈴木杏)
鈴木杏さんは東京都出身、1987年4月27日生まれの女優です。小学生の頃から子役として活動しており、2000年「ポカリスウェット」の爽やかな姿に注目を集めます。女優としてキャリアが長く、今までで多数の映画やテレビドラマに出演をしています。『ヒミズ』にはオドオドしているウエイトレス役として出演しました。
シュウ(新井浩文)
新井浩文さんは1979年1月18日、青森県出身の俳優です。2001年『GO』で映画デビューを果たし、翌年『青い春』で映画初主演を務めます。鋭い眼光と181cmの長身で、ヤクザやチンピラ役での出演が目立ちましたが、テレビドラマ『ど根性ガエル』でゴリライモを演じるなど近年はコミカルな役もこなす俳優として活躍しています。『ヒミズ』では住田に絡んだため刺されてしまう不良を演じました。
【ヒミズ】のあらすじです
東日本震災で被災したある町で、貸しボート屋を営む中学生・住田祐一。母親は蒸発し、蒸発していた父親が帰ってきたものの虐待される日々。そんな彼の夢は「普通に暮らすこと」でした。しかし虐待に絶えられなくなったある日、衝動的に父親を殺してしまいます。「普通に暮らす」ことが許されなくなった現実に絶望し、“ある考え”を胸に街を徘徊することになります。そんな彼に希望は訪れるのでしょうか…。絶望した少年・住田と不条理な大人達、住田を一途に想い続ける少女・茶沢をリアルに描いた群像劇です。
原作漫画の設定と大きく違っていることが2つあり、1つは話の舞台が震災後の日本であること。もう1つはラストの展開です。原作漫画のラストでは、住田が絶望と自身のルールにがんじがらめになり自殺する最期を遂げます。しかし映画の中の住田は、自殺せずに生きる道を選びます。ここには、“過酷な現実の中で絶望するだけではやっていけない”という園子温監督自身のやけっぱちな思いがあったからです。
物語は、
中学生の住田祐一は母が営む貸しボート屋で暮らしていた。父はパチンコ好きでたまに帰ってきては金をせびっていた。そんな家庭で育った祐一は大きな夢は持たず、「平凡な普通の大人」になりたい、卒業したら貸しボート屋を継いで平凡に暮らして行こうと、目立たない「ヒミズ」になろうと考えていた。そんな大人びた雰囲気を持つ祐一に惹かれる少女・茶沢景子は祐一が発言した言葉を暗記して、部屋中紙に書いて貼りつけて、祐一に猛アタックしていた。彼女の想いはストーカーの域に達していたのだった。
【ヒミズ】のエンディング曲は【弦楽のためのアダージョ】が使われていました。
ポルノグラフィティ大好きな私ですが、クラシックも結構好きなもんで、これはちょっと名曲だよ。チラッとでも聴いてみて。
【ヒミズ】メイキング映像と、