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映画の概要です。
アイスランドの人気女性歌手、ビョークを主役に据え、手持ち撮影主体のカメラワークやジャンプカットの多用によるスピーディーな画面展開、不遇な主人公の空想のシーンを明るい色調のミュージカル仕立てにした新奇な構成の作品である。
高い評価を得て、2000年の第53回カンヌ国際映画祭では最高賞であるパルム・ドールを受賞し、ビョークは映画主演2作目で主演女優賞を獲得しました。
音楽もビョークが担当し、特にトム・ヨーク(レディオヘッド)とデュエットした主題歌『I've seen it all』はゴールデングローブ賞およびアカデミー賞の歌曲部門にノミネートされるなど高く評価されたそうです。
その【I've Seen it all】です。
映画の出演者達の紹介です
👓セルマ・イェスコヴァ(ビョーク)
👓キャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)
👓ビル (デヴィッド・モース)
👓ジェフ (ピーター・ストーメア)
👓ジーン(ヴラディカ·コスティック)映画のストーリーです。
(オープニング:暗い画面に音楽のみ流れる。盲目の世界を暗示している)
故郷・チェコからアメリカに渡ってきた若い女性・セルマは、昼間は工場で働きながら、女手ひとつで12歳の息子・ジーンを育てていました。夜は内職もしています。
警官のビルとその妻・リンダ夫妻の家の敷地内にある、トレーラーハウスを借りて暮らすセルマの暮らしは楽ではありません。
セルマは遺伝性の目の病気を持っており、現在は弱視で、もうすぐ失明すると言われています。
セルマの目の病気は息子・ジーンにも遺伝していました。しかし主治医の言葉によると、手術をすれば失明から逃れられます。
セルマは表向きは「故郷・チェコにいる父に送金するため」と偽り、息子・ジーンの手術のために、必死で貯金していました。
13歳になればジーンは手術できます。また貯金も手術の金額に達するところまで、あともう少しでした。
セルマは仕事を増やしてでも、金を稼ごうとしました。
セルマの目の障害を知る周囲の友人は、優しく接してくれます。
同じ工場に勤務し、同じ舞台に立つ親友の中年女性・キャシーは、常にセルマによりそい、手助けします。工場に提出するセルマの健康診断の視力検査の際には、書かれている文字を大きく書いてセルマに暗記させ、検査をパスさせます。ちなみに眼科医もセルマが暗記したのを知りながら、見て見ぬふりをします。
セルマは大切な友人・キャシーのことを「クヴァルダ」と呼びかけました。セルマが考える、キャシーの別の名前です。
同じ街に住むジェフという男性はセルマが好きで、積極的にアタックしますが、セルマは断ります。ジェフのことが嫌いというわけではありません。むしろ夫にするならジェフしかいないと思っています。
しかしセルマの最優先課題は「息子・ジーンに手術を受けさせ、失明をまぬかれさせること」で、自分の幸福は二の次でした。
舞台稽古では『My Favorite Things』を歌いながら踊るのですが、手渡されるヤカンの位置も分からないほどです。大好きなミュージカルの舞台も、そろそろ限界に来ていました。
息子のジーンは学校の悪い仲間と付き合おうとしますが、セルマは「学校の勉強は大事」と言い聞かせます。
12歳のジーンが自転車を欲しがります。クラスで持っていないのはジーンだけです。
キャシーやジェフ、ビルとリンダ夫妻がジーンに自転車をプレゼントしました。高価なプレゼントは駄目と言いながら、セルマは喜ぶジーンの姿を見て受け取ります。
隣家のビルとリンダ夫妻は、一見裕福な暮らしをしているようでした。妻・リンダはよくセルマに「ビルは遺産が入ったから」金持ちだという発言をします。
しかしある夜、ビルがリンダにぼやきました。実は想像以上にリンダが浪費家で、遺産はとうに食い潰してしまっており、銀行が家を差し押さえている状態なのです。
セルマは泣くビルを慰め、ビルも弱音を吐いたことを恥じました。セルマは「私も秘密を言っていい?」と、今年中に失明することと、息子の手術のことを話します。それまで誰にも言わなかったことでした。
チェコからアメリカに渡ってきたのは、アメリカでならジーンに手術ができるからです。セルマは自分が失明するのはそうショックではないけれども、目の病気が遺伝すると知っていて生んだ息子・ジーンの目は助けたいと考えていました。
父への送金も嘘で、手術の費用ももうすぐ貯まるとビルに告げます。セルマが貯金していることを、ビルは知りました。
工場まで自転車で通うセルマですが、自転車の運転も危なくなってきます。セルマに思いを寄せるジェフが、車に乗せて帰ると言いますが、セルマは固辞します。そこへ警官のビルがやってきて、代わりに連れて帰ると言いました。
ビルは車内でセルマに金の無心をしますが、セルマは断ります。ビルは追いつめられており、いっそ自殺でもしようかと考えているほどです。
失明の時は近くなっていました。舞台ではセルマの代役として新人の女性・スーザンが決まり、試しに次の日曜にセルマとスーザンが踊ってみます。
自分の失明が近いセルマはあせり、内職を増やして工場の夜勤も入れました。キャシーは夜勤に反対しますが、セルマにやめる気がないと知ると、フォローに来てくれます。
毎日の労働は厳しいけれど、セルマにとっては工場のプレスの作業音も、ダンスの演奏に聞こえました。セルマは働きながら、その音に合わせて踊る空想をします。
ほぼ失明状態にあることを、強がるセルマは周囲の人物に明かしませんが、周囲の人間は気づきます。
夜勤の間息子・ジーンを見てくれたビルが、帰った振りをして家に留まりました。セルマはビルに呼びかけ、声がないのを帰宅したのだと思い込み、袋からその日の給金を取り出して、棚の後ろにある隠し棚からお菓子の缶を取り出し、詰め込みます。ビルはセルマの金の隠し場所を知りました。
舞台稽古も上手くいかなくなったセルマは、コーチのサミュエルにマリア役を降りると言い出します。失明したと言いたくないセルマは、やる気が失せたと嘘をつきました。
夜勤でミスをして機械を壊したセルマは、工場をクビになります。徒歩で帰るセルマを追ったジェフは、セルマが失明したことを知ってショックを受けますが、セルマは「もう見るものは何もない」と言いました。空想では眼鏡を川に捨て、必要なものは見たからもう十分だと、空想で踊りながら歌います。
2階にいるビルに金を返してほしいと告げたセルマは、ビルと口論になりました。警官のビルは銃を持ち出してセルマを脅します。ビルとセルマは揉み合いになり、ビルに弾が当たりました。ビルは決意を決めます。
ビルは「死んでも自分と妻・リンダを守ろう、そのためにはセルマを悪者に仕立てあげよう」と決めました。階下のリンダに通報しろと言って被害者を装い、リンダがいなくなった隙に、セルマに自分を撃てと強要します。撃たないと金を渡さないと言われ、セルマは無我夢中で撃ちます。
ビルが金から手を離さなかったので、セルマは貸金庫でビルを闇雲に殴り、やっと金を取り戻しました。ビルがポーチに入れた金を持つと、セルマは友人・ジェフと待ち合わせしている場所に行きます。
このシーンは本当に胸糞悪かった。ビル夫妻の人間の1番汚い部分を見せられたのもだし、息子のためとはいえ、正当防衛に近い殺し方だったにも関わらず言い訳をせずに逮捕されるセルマにも何だかなぁの感情がね、上手く言えんけどな。
芝居の稽古に行ったセルマは、警官に逮捕されます。
セルマの裁判が始まり「最も残忍で用意周到に計画していた」「障害を隠れ蓑に周囲を欺いていた」「冷酷無比」ひどい言われようです。裁判は不利でした。セルマは失明したことを周囲に隠していたのが裏目に出ます。またセルマがビルの遺体を34か所も傷つけたのは「見えないから」なのですが、世間には残忍な行為に映りました。共産主義のチェコからの移民ということも非難の対象になります。
さらに送金したという架空の父オルドリッチ・ノヴィ(チェコでは有名なタップダンサー)も召喚され、父ではないと証言しました。憧れのノヴィに会ったセルマは、法廷でノヴィと踊る自分を空想します。
面会に来た友人・キャシーにセルマは「13歳の誕生日(クリスマスの頃)が来たら大事な手紙が届くから、読んでやってくれ」「病院では『ノヴィ』と名乗らせてくれ」と頼みました。ジェフが病院を突き止め、セルマが息子・ジーンの手術代を払ったことを知ります。
キャシーはその金で有能な弁護士を雇うことを勧めますが、セルマは拒否しました。セルマにとって最重要事項は息子・ジーンが失明しないことで、母である自分は大事ではないとキャシーに告げます。
セルマのかたくなさにキャシーは怒りました。
獄中のセルマは『My Favorite Things』を歌うことで恐怖から逃れました。
死刑執行の日、女性刑務官は怯えるセルマに付き添ってわざと足音を立てて歩数をかぞえました。セルマは勇気づけられて歩けるようになり、絞首台まで踊りながら移動する空想をします。
『最後から2番目の歌』を思いながら、セルマは死刑執行を受けました。足元の板が外れ、セルマは壇上から下に落ちて首吊り状態になります。
〝これは最後の歌じゃない。分かるでしょ。私たちがそうさせない限り、最後の歌にはならないの〟
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