司法書士の山口です。
以前ブログで、給与差押えについて解説しました。
もう1つ差押えでよく行われるのが、「預金差押え」。
銀行口座を差し押え、強制的に返済金を回収する方法です。
(実際にあった事例)
・Aさんは、自宅を任意売却。
・売却後もB社の住宅ローンの残債が残ったが、不動産屋に「残債は払わないでも大丈夫」と言われていた。
・残債を払わないでいたら、3年後にB社に訴えられた。
・B社がAさんの銀行口座を差し押え。預金300万円が強制的に返済に充てられる。
例えば、こんなパターン。
「預金口座をどうやって調べてるの?」
こんな疑問もあるかもしれません。
その答えは、銀行に情報開示を求めることができるからです。
先の例で言えば、B社が、預貯金情報の情報取得手続きを裁判所に行う。
そうすると、裁判所は情報提供命令というものを出します。
銀行側はこれに基づいて、Aさんの口座情報を提供するというわけです。
実際の情報提供命令の書類は、これ。
こんな形で、各銀行にAさんの口座情報の提供を求めます。
・預貯金があるか?
・いくら口座にお金がある?
・どこの支店に?口座番号は?
こうした情報が、差押えをする予定の申立人に提供されます。
この情報さえ分かれば、あとはその銀行口座に差押えを入れるだけ。
有効な差押えが入れば、銀行口座からお金を抜き取られ、返済金に充てられます。
なお、預金差押えの効果は1回きり。
その時に口座にあったお金が対象です。
差押えが入った後に、入金されたお金は対象になりません。
預金差押えが給与差押えよりも怖いポイント。
・口座のお金が全額なくなる可能性がある(負債次第で)。
=その月の生活ができなくなることもある。
2020年に改正民事執行法が施行され、預金口座などの情報取得ができるようになりました。
よって、数年前と比べると、預金差し押えは「手軽にできる状況になっている」と言えます。
前述の例のように、未払いのカード返済や住宅ローンの残債がある人は注意したほうが良いでしょう。
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