ネクラな魔法使いのぼやき

ネクラな魔法使いのぼやき

徒然なるままに適当に書きます← ブログネタ使ったり、たまに短編小説を書いたり、オリキャラが登場自由気儘な逢河のブログです。真面目なブログも別にあるのでHPからチャレンジしてみてくださいな。

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再びなんとなく書いた続き。もう名前を伏せる意味ないな。まあいいか。あの人も出しちゃったからなんかもう本編進めなきゃだめなような。でもあれやりたい。しかしちょっと年齢適当だから後々修正するかもです。


*****


 力持ちは便利だ。自分の力に自覚的で、尚俺が非力であることを承知してくれているというのが非常に勝手が良かった。
「これもおれが持ちます」
「ああ頼む」
 何も言わずとも意を汲んでくれるマルタはいい助手だった。
 辺りを見渡す。下見はざっと終わっている。今はなるべくこっそり爆弾を仕掛けに行く時間だ。付近の町の駐屯兵は邪魔なので付近の警戒に当たって貰っていた。全く持って無能なやつらばかりであった。
「ねえねえおちび君、正直護衛がいないのはとても危険だと思うんだけど。僕は戦えない人だからね? ただの学者だもん」
 マルタは口数が少なくとてもいいのだが、応援として呼び出させたこいつは非常に厄介なおしゃべりだった。こめかみが痙攣するのが自分でわかる。
「おい馬鹿学者。お前はもう帰っていいんだっての。もう変異種の情報は貰えたから用なしなんだよ……」
「おちび君は冷たいねぇ。僕はもうちょっと生態調査したいんだよ。あわよくば番で捕獲して観察したいくらいなんだけどまあ被害も甚大みたいだから僕は出しゃばらないことにしたけど、でもせっかくだからせめて見たいんだよねー」
「うっさい帰れ」
「あらら、そんなこと言っちゃっていいのかなーん?」
 急に意味深に目を細めて言ってくる馬鹿学者。気色悪いが嫌な予感がするので「なんだよ」と問う。
「相手は随分情報少ないし、不測の事態を考えて変異種のスペシャリストを置いていた方がいいと思うけどなぁ。まあ変異種と心中するって言うなら無理にとは言わないけど。僕は死にたくないからあんまり自爆魔さんの近くにはいたくないものー」
 マルタの纏う空気が一瞬にして逆立ったのがわかった。馬を宥めるように腕を擦る。頭には届かないからな。
「自爆はしない。でも確かにその通りだ。悪いが引き続き同伴を頼む」
「ふふ、意外と素直なんだね。もちろんいいよ。僕結構君のこと嫌いじゃないかも」
 厭らしい笑みを浮かべる学者野郎にため息を吐くと「行くぞ」と声をかけた。

 予定されていたのは危険度の低い兎の変異種だったのだが、事前準備で調べていた姿と現地で見たものが随分異なっていたため急遽新日本政府お抱えの変異種学者を召喚させた。来たのは相当難儀な性格をしたおちゃらけ野郎だったが仕事は確かだった。再同定の結果、一例しか報告がないような変異種だった。ランクはA。兎からベースなのは同じだがこいつの場合は百単位のコロニーを作る上に狂暴化した場合集団で襲ってくる。今までは巣から離れたところで駆除していたので集団で襲われていなかったが、周辺で繁殖を繰り返しコロニーが分裂し、繋がり、広がることを繰り返している内に町付近まで巣が伸びていることがわかった。
 肉食でかつ、集団時は大きさを無視して襲ってくるため、唯一の前例では村が一つ食われている。その例ではその後絶滅が確認されているので正確には同じ変異種ではないかもしれないが、良く似た進化をした可能性は非常に高い。推定一万体の兎の変異種を可及的速やかに駆除しなければ今度は町が食われるだろう。
「名称は正確には決まってないんだけど、村喰兎って研究者間では呼ばれることが多いね」
「村を喰った兎、かよ」
 わかりやすいが嫌な名前だな、と思う。
「ねえすーくん」
「…………は?」
 俺のことか? と目をかっぴらいて問うと、そうだけど? と逆に不思議そうな顔で首を傾げられた。まあ確かに間違ってはいないが……すーくんて。まあおちび君よりはマシ、か?
「……なんだよ」
「ちょっとやばいかも」
 神妙な空気を感じて俺も眉をひそめる。
「あれも多分コロニーの出口だ」
 学者野郎が指さした先には確かにこんもりと盛り上がった土山があった。
「今まで想定していたコロニーの配置とあれは完全に違う。出口が森の外を向いているということは恐らく外から来たんだ。このままでは森のコロニーと繋がる……」
 そうなったら一体どんな規模になるっていうんだ?
「コロニーがどっから来てるか、どの程度の規模か調べられるか?」
「調べられるけど時間がない。繋がってしまったらとんでもない数を相手にする必要がある。いや、そもそもあんなに近かったらあのコロニーを攻撃しなくとも攻撃と見做されてしまうかもしれない」
 学者は蒼褪めていた。最悪の状況ということか。
「わかった」
 俺はマルタに目配せし、踵を返す。爆弾を回収するのだ。
「ちょ、ちょっと!」
 慌てた学者が俺の肩を掴む。
「一体どうするつもり?」
「何、簡単なことだろ?」
 その時どんな顔をしていたかは自分ではわからなかった。でも学者の表情は良く覚えている。
「全部吹っ飛ばせばいいだけだ」
 恐怖したような、そんな酷く脅えた顔だった。

 俺はすぐに追加の材料を持ってこさせると組み立てに取りかかった。時間が勿体ないので学者や兵士にはコロニーの把握を頼んだ。
 最終的な作戦はこうだ。最低限の爆弾でコロニーを吹っ飛ばす。それでも残ったり、町に襲いかかろうとした村喰兎は森諸共爆破する。そんな大雑把で無茶苦茶な作戦だった。
「町まで焼けてしまいませんか?」
「大丈夫だ。万が一に備えて町にも爆弾を仕掛ける」
「それは大丈夫ですか?」
「ああ。爆風をぶつけて火を消すためにしか設置しないし、元から町人は一か所に避難させる予定だからな」
「大丈夫ですか?」
 しつこいな、と思い、顔を上げて文句を言おうとしたら、言えなかった。
 とてつもなく心配そうに俺を見詰めるマルタがいたからだ。いくら鈍くても、流石にそれが俺自身に対しての心配であることはわかった。
「……ちゃんと休むから、大丈夫だ」
「はい」
 なぜこいつの笑顔はこうも柔らかく温かいのだろうか。なんだか妙に恥ずかしい気分になりながら逃げるように手元に視線を落とした。

「外部コロニーが明日にでも繋がるだろうとのことです」
「そうか」
 そろそろやらなければならない。
 実は一つ勝算の理由がある。獣は火を怖がる。正直何も縁のない場所で危険なものに出くわしたら普通は逃げるものだろう。だからコロニーが繋がる前に叩く必要がある。素人考えだが学者も賛同してくれたことだ。そもそも他に手などありはしないのだ。
「今夜決行する。兵士共と学者殿を呼んできてくれ」
「わかりました」
 マルタが出ていく。決戦は今夜。

 爆破決行まであと三十分。とても興奮している。
表面上はあまり変わらないし、冷静に状況を把握し行動できているとは思う。しかし沸き立つような熱を体の奥底に感じる。頭の片隅にあるのは爆発のシミュレーションだ。多分これのせいだ。熱くて熱くてしょうがない。
「大丈夫ですか?」
「ああ大丈夫だ。ただ凄く、楽しみなんだ」
 顔まで溶け出しているような気がしてならない。
 不意に手を握られる。行動の理由が良くわからずマルタの顔を見上げる。やたら優しい笑顔を浮かべ、大きな両手で俺の細くてちっこい手を包む。一瞬熱さを忘れた。
 温かい。
「大丈夫です」
 心配してたのはお前なのに、お前が大丈夫って言うのはおかしいだろう。そうは思ったが、なぜか急に安堵した、そんな感覚があったからか。
「あり、がとう」
 気がついたらそんな言葉が口をついていた。
 初めて人に感謝した。

定時になり、「爆破!」と言ったことは覚えている。しかしその後のことはまるで夢でも見ていたかのようにぼやけていた。
黒一面の世界に赤や橙が咲いた。遠くから迫ってくる音と衝撃に、俺は歓喜した。多分ずっと待っていたものだった。
 “爆弾魔の俺“が。
 その後俺は森を爆破した。必要だと判断したからだ。
 本当に?

「俺は爆弾魔だった。それだけだ」
 髭のおっさんの前に帰ってきて開口一番に言ったのはそのことだった。
「だから?」
 試すような疑問形が腹立たしかった。
「だから! 俺はもう爆弾作っちゃいけねえんだよ! いつ本当に爆弾魔になるかなんて俺にもわからない! ただ一つ言えるのは俺には自制が利かないってことだけだ! 俺は――」
 先の言葉が続かない。声が詰まって窒息しそうだ。
 俺は部屋を飛び出した。途端にもうすっかり見慣れた人にぶつかって、崩れ落ちて、抱き着いて、叫んだ。
「おれわぁ! だれもごろじたくないー!」
 なのに爆弾に陶酔する自分が確実に俺の中にいる。それが怖い。大量殺人がこれほどいとも簡単にできる代物もないだろう。そういうものに心奪われる自分が怖い。何より、吹き飛ぶ生物を見て。
 快感を得ていることに気づいた自分が、怖い。
「おれは、どうすりゃ、いいんだ……」
「好きなことをやればいいです」
 抱き締められる。
「あなたが嫌なことは、おれが止めます。だから、大丈夫です」
 大丈夫なんです。
 そう言って抱擁してくれることの安心感は本当に、救いだった。
 爆弾が好きな俺。
 殺人鬼にはなりたくない俺。
 どっちも認めてくれるというのなら、俺はそれがいい。
 ああなんて我が儘なんだろうか。


***


 初陣から今まで、たくさん学んだ。そしていろんなことをした。髭のおっさんといたずらを考える子どもみたいにトラップを考えて設置してみたり、土砂で崩れた道を爆破で通れるようにしたり。
 やがて俺は十二歳になった。
「という訳で入隊おめでとう」
「……あんたが適当なのはよーくわかってる。でも流石に試験もなしに、意思確認もなしに入隊とか、あほなのか? 爺」
 髭爺という方がしっくり来るような風貌になった総司令官殿に呆れ返った顔を向けると、楽しげに声を上げて笑い出した。
「ついでに一小隊新しく組んだからお前が隊長な」
「はあ!?」
「指揮能力に問題はないはずだと報告を受けているからね。まあそもそもお前、命令されるの嫌いだろう? 丁度いいじゃないか。いっぱい働けばちゃんと偉いのにしてあげるから頑張んなさい」
「くそ爺ぃ! 頭とうとう湧いたのか!」
「ほら補佐が外で待ってるから早く行きなさい。任命式が始まっちゃうよ?」
 はあ、と話を聞かない爺さんと話していても仕方ないと踵を返す。てか。
「どうせ補佐ってマルタだろ?」
 言いながら扉を開けたらびっくりしたマルタが立っていた。
「なぜわかったんですか!」
「いや、わかるだろ普通……はぁ。まあよろしくマルタ」
 肩をポンと叩いた。

 それからが地獄だった。
「また、死んだ、か」
 爆弾なんてなくたって人はあっさり死ぬ。二年も経てばそんなこと嫌ってほどわかった。わからされた。
 俺は中隊長になっていた。
「リーダー、このまま挑んでも死傷者が増えるだけです。学者の研究の護衛に徹するしかないのではないでしょうか?」
「そんなことをしている間にまた集落がなくなるぞ」
「しかし!」
「もう部隊は出さない。護衛任務以外は怪我人連れて本部に引き返せ。俺は意見通したら戻ってくる。お前はここに残れ」
「……はい!? 言っていることがわかりません!」
「俺がなんとかするって言ってるんだ。俺は急ぐから他のやつらには適当に言っとけ」
「ちょ、ちょっとリーダー!」
 静止の声を無視して外に出ると困った顔をしたマルタがいた。
「また困らせて。周りを気遣える男になるんじゃなかったんですか?」
「お前は昔から小うるさいな。仕方ないだろ、こうなったらもう正攻法では無理だ。ただの兵士では……無理だ」
 今俺の中隊は巨大な変異種の対処に駆り出されていた。しかし全く歯が立たず、既に死傷者は半分近い。もう無理なのだ。
 爆弾魔なんかでないと、無理なのだ。
「俺もついて行きます」
「小隊長(おまえ)はお前の隊の面倒を見るのが仕事だ。俺の世話をする担当じゃないだろ」
「俺は一生あなたの担当でいたいんですがね」
 随分武骨に育ったが相変わらず俺に向ける表情は柔らかい。
「勝手にしろ、と言いたいところだがもう組織に属したからには責任がある。お前はお前の務めを果たせ」
「……はい」
 寂しそうな笑顔を振り切るように背を向けた。俺は俺のすべきことを、する。

「心中でもする気か?」
 珍しく険しい顔をした爺さんに問われ、俺は嘆息する。しかし答えない。するつもりはないと言いたいところだが正直それは現実的でなかった。
「相手は動く的だ。なるべく近づいて、ギリギリまで引きつけて爆破する必要がある。最悪、俺が爆弾を背負う必要もある」
「自殺なんて許可できると思うか?」
「一つで多くの人が助かるんだ。お得だろ?」
「命をもののように数えるな」
 本気で怒ってるな、ということはわかった。

「もうこれは勝手に実行するしかねえかね」
 廊下を歩きながらぼやく。材料は十分部屋にあるし、馬を差し押さえられなければ行ける。そんなことを考えていた時だった。
「手伝ってあげるよ、その作戦」
「はっ?」
 振り返ると亜麻色の髪の女が立っていた。見覚えがないから多分遠征組の新入りだろうか。あそこは放浪ばっかりでなかなか全員と会う機会がない。年は二十代といったところか。
「私は新見長閑(にいみのどか)。休暇中だから誰にも迷惑かからない優良物件ですよ、リーダーさん?」
 若すぎる入隊に若すぎる昇進と妙なあだ名のせいで俺は有名人らしい。しかし変なちょっかいをかけられるので迷惑している。今のように。
「お前、盗み聞きしてたのか」
「ええそうよ。大型変異種を爆弾で吹っ飛ばすんでしょう? でも君はお世辞にも体格がいいとは言えない。ほとんど自爆覚悟の提案だったんでしょう?」
「わかってるならほっとけ」
 無視して歩き出そうとした背中に、悪魔の囁きのような言葉が投げかけられた。
「私が君を生かしてあげるよ。もちろん私も死なない。悪くない話じゃない?」
「……どうやってだ」
「逃げる!」
「…………はあ?」
「逃げ足には自信があるから、爆破する前に逃がすし、爆弾設置も支援する。あんた軽そうだから担いで逃げるのも楽そうだし」
 非常に舐められている気がする……。
「わざわざ死地に行きたいのか? あほか?」
「あほじゃないよ。これでも実力買われて入ったんだからね? ドンとお姉さんに任せなさい!」
 翌日、作戦実行の許可が出た。
 そんなあほな、と思ったのは言うまでもない。

なんとなく書いてしまったのでなんとなく上げる。なのに肝心の名前は出してないってね。代わりに「×」になってます。

『蒼天の真竜』の三十年近く前の話かな。美智乃の祖父がまとめてた頃の新日本政府のある人の話。本編で話が進めばこういう過去がちらっと出てくる予定。なぜかちょっと「彼」のブーム来てるかも。結構今とイメージ違う感じです。

続くのかは不明。


*****


 爆弾魔。
 昔はそれで有名だったんだ、と言っても若いやつらはなかなか信じてくれないから最近ではすっかり口にすることのなかった単語だ。どれほど忌まわしい呼び名だったか、わかってくれる人間は今では少ないだろう。俺だってどこで野垂れ死んだかわからないような野郎のせいでこれ以上人生を歪めたいとは思わない。
 父親は連続爆弾テロを実行した狂人だった。
 


俺は父親の捨てた隠れ家で独り、ガラクタで遊んでいるところを発見され、新日本政府に保護された。正直父親が何をしていたか、何を話していたかは覚えていない。ただ、一つ間違いがあったのは、俺がすでに十分爆弾魔に育っていたということだ。いや、その技術を持っていたから爆弾魔の息子と判断され、畏怖と侮蔑の対象になったのかもしれない。
 俺は被害者ではいられなかった。



「××君、だったね」
「その名字で呼ぶなおっさん」
 そう言って睨むが、眼前の顎髭男は怯むことなくむしろ微笑んで見せた。
「嫌いかね、その姓が」
「名前なんてなくていい。どうせ大して困らない」
「そんなことはないさ×。何より私が困る。私のことは首領(ドン)で構わないよ。須原でも構わないが」
「……で何の用だよ」
「君の身の振り様を相談しようかなと思ってね。君はほっとくと徘徊しては怪しげなものを作るから君の世話を頼んだ部下が脅えているようなんだ。それに君もそろそろ十歳になるのだから、少しは将来について考えなくてはならないからね」
「俺に目的はない。好きすればいいだろう」
 正直大人の都合はどうだって良かった。何よりも自分の未来なんて興味がなかった。どうせ選択肢なんてありはしないのだから。なのに目の前のおっさんと来たら。
「なら選択肢は無限だな」
 なんて言って微笑むのだ。全く理解不能である。ようよう机の引き出しから見覚えのあるものを取り出した。
「君は爆弾を作るのが得意らしいな」
 やっぱ爆弾なんだな、と妙に納得した。何を作っているのか、自覚はなかった。ただ手の動くままに組み立てていただけだから。
「少し仕事をしてみないかい?」
 後々この時の奇妙な違和感の説明を見つけた。
 こいつは大人の皮を被ったタチの悪い子どもなのだと。



 技術書を数冊読まされたらすぐに理解できた。髭のおっさんは血は争えんな、なんてことをしたり顔で呟いていた。俺はとりあえず禿げろ、と返した。
 おっさんの注文はある変異種の棲みかを吹っ飛ばせという物騒極まりないものだった。
「そんなことして大丈夫なのか?」
「そんなことをしてくれると楽で助かるんだなこれが」
 とりあえずこいつは適当で信用ならないな、とは思ったが工具も材料も揃った個室を貰えたのはなかなかに良かったので気が変わらないよう要望にはなるべく応えようとだけ心に決めていた。
 しかし一つ不満があった。
「おいお前。部屋に入るなとは言ったがな、この馬鹿に寒い日に廊下で待てなんて言った覚えはないぞ」
 貰って数日の自室の前には恰幅の良い子どもが一人、突っ立っていた。世話係として俺に宛がわれたガキだ。と言っても俺より二、三年上らしい。相手の体格が良すぎるのに対し、俺はガリガリのちびなもんだから身長差だけ見たらまるで大人と子どものような様相だった。
「すみません。灯りが見えたので中にいるのかと思いました」
「だとしても静かに突っ立ってたって中に伝わる訳ないだろ。お前は馬鹿か」
 そいつは困ったように苦笑するだけで怒りも苛立ちも見せることはなかった。そんな態度が非常に……ムカつく。
「用はなんだ」
「お夕飯をお持ちしてもいいですか?」
「勝手に持ってきて適当に置いてくれればいい」
「それでは冷めてしまいます」
「構わない」
「おれはあなたにおいしいご飯を食べてもらいたいです」
 不器用な敬語。馬鹿丁寧で、純粋な言葉。
 異世界の言葉みたいだ。
「勝手にしろ。持ってくるまで待ってやるから」
 すると途端に彼は笑顔になる。腹の立つ笑顔だ。歩き出すそいつの背に追加の言葉を浴びせる。
「お前の分も持って部屋に来い。仕事はお前に手伝って貰う必要があるからその説明がしたい。了解か?」
 振り返った彼はぶわっと、今まででは信じられないくらい大きく目を見開いてから、心底嬉しそうに「はい!」と応えると早足で廊下の向こうへと行ってしまった。
「……変わり者」
 なぜそんなに嬉しそうなのか、全くわからなかった。俺はあいつに何もしてやっていないのに。



「で、わかったか?」
「すみません、難しいです」
 しおしおと、さっきまでの笑顔はどこかに引っこみ、申し訳なさそうに眉を落とすそいつ。やっぱり俺は変なんだろうな、と納得するだけで責める気はしなかった。素直にわからないと言ってくれる分、扱いやすくはある。
「基本的に現場では逐一俺の指示に従って動いてもらう。ようは目的と全体の流れを把握してくれさえいればいい」
「目的は変異種の巣の爆破です。巣の下見、爆弾設置、退避、爆破、確認、撤収、という流れで実行します。理解できていますか?」
「上出来だ。それだけわかってくれれば問題ない。なんだ、物覚えは早そうだな。優秀な士官になれるんじゃないか?」
 彼は初め顔を綻ばせたが、急に笑顔が曇った。
「どうした?」
「おれは、あなたのために働きたいです」
「なぜ? お前が執着する理由が俺にはさっぱりわからない」
「わからなくていいんです。ごめんなさい」
 訳がわからない。しかし訊いて欲しくなさそうに俯くから、もう追求する気にはなれなかった。
「マルタ」
 ぴくん、と反応する。名前はマルタ、だったはずだ。いや、俺は記憶違いはそうそうない。だから覚え間違いをしていない限りは目の前の女々しい男はマルタのはずだ。
「返事しろ」
「は、はい」
「お前が何を選ぶかは勝手だからな。俺は責任を取らない。いいな?」
 マルタは心底安堵したように笑うと、また「はい」と几帳面そうな声音で答えた。

どっかに吐き出したくてしょうがないのでここで発散!

※無駄に長いです。考察という程考察ではないかも。アニメ派はきっと状況がわからない。11巻未読の人は見ちゃいけません。後半も九月号読んでない人は読んじゃいけません。


ではまずは11巻から。


43話「鎧の巨人」 

 ミカサって人間離れしたイメージが強いし、44話の回想でもアニに猛獣呼ばわりされてたけど、やっぱり人間だなぁと思った。ライナーとベルトルトの脅えた顔を見てしまって一思いに殺せなかったことを悔やむシーンを見て。 

 エレンはほんと主人公らしくない台詞がぽんぽん出てくるな。らしいけど。そしてわかるけど。何を思って今まで仲間として行動しながら裏切って来たのか。気持ち悪いと思うのもわかる。先を読むまでは不思議だったもの。


44話「打・投・極」 

 格闘術の訓練の回想のアニ、8巻でもあったけどやっぱり女の子として見ろみたいな発言がちらほらあるんだよな。8巻の時はアルミンに言ったのかと思ったけどどうもエレンに言ってたっぽいぞ。進撃中までミカサ→エレン←アニなサンド状態だったし、まさか? アルミンには仲間に対しての情みたいなものだったのかな? そしてアニvsミカサ、気になるんですけど。サシャが「夢のカードが!」って言ってるのがちょっと意外だったり、ジャンが「俺はミカサに晩飯全部だ!」って言うのが可愛かったり、やっぱり訓練時代の回想は妙に安心してしまうな。もういない人の姿に悲しくなるけど。 ハンジの言葉に「コクッ」ってしたエレンが地味に可愛かった。 「上だあ! 避けろおおお」のベルトルトまじ怖かった。


45話「追う者」

 久々のジャンじゃん! エルヴィンに「ジャン」と名前で呼ばれててちょっと感動した。ジャン出世してくれ。しかしほんと、なぜジャンだけは影武者を任されたのか、潔白な人間と認められたのか。なんかで指摘されてて確かにーってなったので気になってます。 

 他の人なら大人でも震え上がりそうなミカサの形相なのにちゃんと落ち着いて説明してくれるアルミン、流石幼馴染み。 

 ズキッ「またこれか…」がまた出たな。やっぱりこれは伏線だよな? ミカサは記憶を持ってループしてるんだろうか? でもその後の台詞を読んでると違うのかなぁ。てかほんと切なくなってくる。「それでようやく…取り戻せた。五時間も経った後では…」「ねぇ…アルミン。何で… エレンはいつも 私達から遠くに行くんだろう」「私はただ そばにいるだけでいいのに …それだけなのに…」本当に心からエレンが大事なんだなって改めて思った。2巻で負けなかったから、ミカサはエレンがいなくても強くいられると思ってたけど、生きてるならそばに居続けたいし、守りたいんだな。泣いてしまうくらい。マフラーを巻いて、口を覆って泣いてるとこ見たらこっちまで泣きたくなってしまった。 アルミンの本人が望むにしろ望まないにしろ、という言葉に凄く納得した。

 ハンネスさんが食糧持ってきて話してくれるとこ、じんと来た。バリボリ食べ始めたミカサとアルミンにちょっと安堵した。さりげなくマフラー外して食べてるミカサに、ああマフラーはエレン代理みたいなものだものな、と妙に納得した。

 毅然としたクリスタ、腕組みした私服に立体機動なコニーかっこよかった。足がしっと掴むハンジさんすげぇ。そしてうつ伏せのままで希望を力説するハンジさん、頼もしい。さあ反撃だ!


46話「開口」

 エレンが気がついた! 腕なくてハムみたい← ずっと目の周りに痕が出ててなんか新鮮。悲惨だとは思うんだけどごめん、可愛いと思う←(※エレン厨)

 ライナーのずれ、そのせいで10巻は直前までライナーは実は白?と思わされたなあ。でもここまで来るとライナーが哀れで、そうなってしまうのもわかるような気がしてしまう。しかしエレンがいきり立つのもとてもわかる。複雑だなぁ。

 獣の巨人の話が出たけど……「猿って「獣」の巨人」って言い方、なんか意味があるのかな。猿っていう動物みたいな恰好の巨人? 猿って名称の獣の巨人? 帰るのにそいつが必要なのか? それに敵って「せ――」世界って言おうとした? しかしもしそうだとしても何を具体的に指すのかはわからないな。壁の外にも派閥てかグループが複数あるのか?


嘘予告 

 江蓮なのか!と思った。てか腹ちら! 素足! まじ諌山先生ありがとうございます!← 寝癖も寝起きな表情も可愛かった。


更に嘘予告 

 見た瞬間「ないな。これも嘘予告だな」と思ったら二重におかしくなってしまって電車で吹き出しそうになった。ミカサ巨人版がちゃんと腹筋割れてるとこが素敵です。


※こっから別マガ九月号の感想


47話「子供達」 

 『座標』ってなんなんだろ。エレンかクリスタの周辺、てかウォール教に関わりある人なのか? でも立ち位置的にはクリスタが当たりな気がする。でもな、グリシャも出自不明な感じだからな。わからないな。

 戦士に戻っても「クリスタがかわいい」とは言うところがライナーだなぁと思う。結局そういう根本は偽ったり変えたりしようはないよな。

 ほんとにベルアニなのかな。しかし顔赤らめてるし、なんかそんな感じが。しかしアニはエレン好きっぽいし今引きこもりやってるから……これが今後どう転ぶかな。「絶園のテンペスト」でも恋が世界を信じられない方向に転がしてたけど、案外進撃もそういうのありそうだよな。敵の全貌が見えないからなんとも言えないけど、強い意志や想いがとんでもない展開に持ってく可能性をちょっと感じます。でも現実巨人とかライナーたちのバックが強大そうだから厳しいかなぁ。

 「乱暴なマネはよしてくれよ。オレはこんな状態なんだぞ?」からの「死ね!」ってエレン歪みなさすぎ。ハンネスさんの言葉をしみじみ噛み締めたよね、ちゃんとあなたの予想通りなことを持ち前の演技力と共に執念発揮してやってますよと。子どもの頃の方が演技派腹黒だと思ってたけど違った。弱い立場になったら躊躇うことなく騙しにかかるのな。エレンまじ半端ない執念です。主人公とは思えない卑怯さだけどエレンらしい。手も生えてない状態であんだけ迷いなく突っ込んで行ける意思の強さに改めて感心した。

 その裏でなにやら気になるベルトルトとユミルの会話。人間に戻った? しかも人間を食った? エレンは覚えてない? そうなるとグリシャ父ちゃん食われた説が浮上しちゃうんですが。記憶の混濁も、注射そのものでなく、人間を食って人間に戻ったという過程を経たから記憶がない、のか? エレンをどんだけどん底に突き落とす気ですか諫山先生。ちょっと怖い。人間を食べることが人間の姿になる条件なのか? もしくは「巨人の力」を手に入れると自我がなくなって人間を食べてしまうがそれで人間の姿に戻れる、とか?

 おんぶされエレンが可愛いというかシュールというか悲惨というか可哀想というか←

唐突にイニシアチブを握るユミルさん、怖い。なぜベルユミ流行った。抱えてるとこからかなとは思うが。ベルトルトがちで脅えてるよな、可哀想すぎる。ユミルがクリスタ食うところは衝撃だったな。入れただけなのはわかるけど。

 ハンネスさん余計な死亡フラグ発言しないでぇえええ!な気分で二話目へゴー。


48話「誰か」 

 まじベルトルさん回だと私は思ってたけどユミクリ回でもあったらしい。あとは104期集合回か。

 ユミクリの言い争いがかなりシュールだったな。言ってることもやってることもめちゃくちゃだよなほんと。クリスタがユミルが脅されてるんじゃないかと言い出した時のベルトルさんの「逆…だ…」がほんとに可哀想だった。絶対ライナーも心の中で泣いてますよ。「私はあなたの味方だから!!」ユミルがクリスタに縋りつくように生きてきた理由もわかる気がするよな。でもベルトルさんの言葉と表情も見てるだけで辛くなる。「私を助けてくれ!」後のベルトルさんの叫びともなんだか被る気がして誰か皆を救ってあげてぇえええ!って本気で叫びたくなる。48話はほんとやるせない回でもあると思う。

 「ライナー!! 守ってくれ!!」が必至で、絶対ミカサトラウマになってるよねと思った。

 「私が尊重できる命には限りがある。そして…その相手は6年前から決まっている」「心の 余裕と 時間が無い」切なくなる。切羽詰っているミカサが伝わる。でも焦りながらもちゃんと話すところがミカサらしい誠実さかなとも思う。ミカサは二次創作にあるようなイメージよりずっと人間らしいキャラクターだと11巻と九月号読んで思った。

 エレンと絡むとなんだかベルトルさんが可哀想だ。結構ベルトルさんは普通にビビりだと思うし強く言えないから……と思ったら「やめろエレン! 暴れるな!」って普通に言ってるか。まあ困ってることには変わりないが。

 そしてここからは104期ライナーの上に集まるターンだ。「ベルトルト… 返して!」コニー、ジャン、アルミンも集まって名前呼んで。そりゃあ耐えられなくなるよな。そしてシリアスなのに気になってしまうベルトルさんの芸術的寝相の悪さ。

 「誰がッ!! 人なんか殺したいと!! …思うんだ!!」「頼む…誰か… お願いだ…… 誰か僕らを見つけてくれ…」巨人の中のユミルの絵が並んでるのは共感したからなのか、その台詞の意味がわかるのか。抽象的な話なのだろうか? とにかくこのやっと出てきたベルトルさんの本音がグサッと刺さる。ベルトルさんが三人の中で一番理性的に現実を受け止めて、なるべく距離を取ろうとして、でもできなかったけどそれでも自分の立ち位置を、罪の意識を噛み締めて、孤独に苦しみながら生きていたんじゃないかと思う。アニは結局アルミンを見逃したりして戦士になり損ね、ライナーは戦士であることを見失いかけ兵士になりきり、そんな姿を見ながらもベルトルトは戦士であることを誤魔化しきれずに脅えてきたんじゃないか。ベルトルさんが本当に悲しかった。吐露して尚、揺らがない。一番弱くて強い人なんじゃないかと。その点ではエレンに似ていたかもしれない。

 そしてラストのまじで悪魔か鬼かエルヴィン! アニの時の意趣返しなんだろうけども!

 連作短編小説『花と刻』の六話目で、一応最終話になります。今までお付き合いいただきありがとうございました。いつか先まで書きたいですが今回はここまでということで、最後までよろしくお願いします。
※一見さんは一話目をどうぞ→『
花と刻 壱






*****



 やっと、見つけた。

 月も翳り、足元もろくに見えない暗い林の中で歌声が聴こえていた。知らない曲だし、歌っているところなんて見たことはなかったけれど、この声が彼女のものであるということは、不思議と確信を持てた。

 少しよろけながらも一歩一歩近づいていくと、不意に歌声はぴたりと止まった。

「それ以上近づくな」

 制止の声は妙に低く響き、強張っていた。緊張している?

 僕は素直に立ち止まった。声のする方は少し開けているのか、月明かりが微かに僕の足元まで射していた。

「花。答えを伝えに来たよ……君は、聞いてくれるかな?」

「……聞こう」

「ありがとう」

 僕は安堵し微笑んだ。少し立っているのが辛かったので座り込む。ずっと走りながら名前を呼んでいたから、足も喉も、そもそも全身が痛むような有り様だった。妹みたいにスポーツ万能だったらどんなに良かっただろうかと思うが、ないものねだりをしても仕方ない。

「……大丈夫か?」

 思わず口にしてしまったような問いだった。粗い呼気が聴こえてしまっているんだろう。五メートル近く離れているが、静かな林の中、やたら響く。

「大丈夫だよ」

 苦笑混じりに答える。ゆっくり唾を飲み込み、自分を落ち着かせてから再び話し出す。

「君は僕には『本当に独りであることの意味はわからないよ』って言ったよね。確かにそうなんだ。だって僕にはずっとナツがいたし、妹がいる、父と母にはたまにしか会えないけど電話したりメールしたりはできる。僕は失ったことがないから、きっと君の悲しみを、寂しさを、孤独を、本当の意味では理解できないのだと思う」

 伝わるかな?

 わからないけど、とにかく話さなければいつまで経っても平行線だから、僕は話を続ける。

「でも突き詰めれば、君の気持ちは誰にも理解できない。もちろん僕の気持ちも。花が花だから抱くことのできる感情を他者が簡単に理解できるはずもないんだ。でも僕は、敢えて言うよ」

 少し唇が震える。僕が言う言葉を、花がどう感じるか怖いから。こんな感情は初めてで、本当に怖い。けど、それでも、僕は敢えて言おう。

 否定しよう。

「そんなのどうだっていい」

 息を飲む大きな音がした。構わず気持ちを吐き出す。

「ただ僕は、花が独りなのが嫌なんだ。傍にいて、せめて独りを二人にしたい。ただそう思ってしまうから、どうか――どうか、隣に居させて、花」

 懇願するようになってしまってなんだか恥ずかしい。でもこれが僕の今の純粋な気持ちだから。

「こ――」

 だから花の返事を息を詰めて待った。

「告白かあ!」

「……へ?」

 予想外の返答、というかツッコミに一瞬呆ける。しかしすぐに冷静に訂正する。

「……いや、違うけど。多分」

「多分って何! え、どういう気持ちでさっきの台詞を言ったのだ? 同情か?」

「それも……違うかなぁ。でも良くわからないんだ」

「わからない!?」

「うん。ただ純粋にそう思うだけで、なんでかって訊かれても答えようがないよ」

 絶句している雰囲気が伝わってくる。確かに我ながら呆れる程適当そうな回答だが、しかし他に言いようがないのだから仕方がない。

「……怪物でも」

「関係ないよ」

 僕はやおら立ち上がると、今度は遠慮なく花の声がする方へ近づいて行った。

「ま、待て!」

「声がいつもと違うし、聴こえてくる高さも違う。もう隠さなくていいよ」

「やめろぉ!」

「花も逃げるのやめろぉおおお!」

 走り出す。いきなりの怒声に驚いたのか、固まった花の前に一気に躍り出た。

 月光に照らされたその巨躯は、まるで夜を纏ったような青暗色で、瞳は夜明けの太陽の如き赤。

 そこにいたのはドラゴン。

 竜の姿をした花だった。

「ドラゴンって、空想上だけじゃなかったんだ……」

 天幕のような大きな翼に、体高と同じくらいの長さの尻尾、真っ黒な爪と牙は鋭く月光を弾いていた。

「……もうちょっと、他に言うことはないのか?」

「綺麗だ。怪物って言うよりむしろ聖獣みたい。神々しいくらいだよ。あとかっこいい」

 ニコッと笑うと、花も微かに口端を上げた。

「女の子にかっこいいとか言うな」

「でも君はかっこいいも可愛いも備えた素敵な女の子だと思うけどな」

「…………お前は」

 本当に他意なく言ってるのか、とぼそりとなんだか気恥ずかしげに他所を向いて花は呟いていた。他意ってなんだろうかと思ったが、花が話しにくそうにしているので話題を変えてみる。

「夜はこの姿になることにしているの?」

「違う。ただ夜中になると勝手に変わってしまうんだ。私にはどうしようもできない」

「そうなんだ。それは昔から?」

「……一年前から」

 また一年前、か。

 花のターニングポイントがそこにあるのだろう。

「家を出て、そのまま野垂れ死のうかと思い、飲まず食わずで歩き続けたが、二週間経っても死ぬ様子もなく、普通に動くことのできる体がこれ以上なく恐ろしく、私に怪物なのだと思い知らせた。その晩に初めてこうなった。もう人間と暮らすことなどできない」

「花は人間だろうがドラゴンだろうが犬だろうがナメクジだろうが変異動物であろうが――花なんだよ。花が花であることが何よりも重要なんだよ。ドラゴンだからなんだって言うの?」

「おぞましいだろう!」

「だから綺麗だってば」

「異常な怪力でいつかお前を殺すかもしれない!」

「一番それを恐れて気をつけてくれてるのは花だよ。だから大丈夫」

「壁があろうが遠くにいようが音や匂いでわかっちゃうんだぞ!」

「同居するならそれくらい仕方ないでしょ」

「て、天井突き破るぞ!」

「じゃあ花用のプレハブを建てよう」

 にっこり微笑んで答えると、あんぐり口を開けた花が見下ろしていた。鋭い牙も今は呆けた花を余計に間抜けっぽく見せる飾りでしかなかった。

「私は現実から逃げた、卑怯者、だぞ……?」

「人間誰でも逃げたい時はあるよ」

「餓死しようとしても死ねず、かといって他の自殺も選べない、腰抜けなん、だぞ――」

 ぽたぽたと落ちてくる雫を受け止めるように両手を広げ、やっぱり笑顔で答えた。

「花が死ななくて良かった。生きて僕と出逢ってくれてありがとう、花」

「そんな、こと……言われる資格、なぞ――」

「花は人間じゃないことに苦しまなくたっていいんだよ。人間にしか見えない、ドラゴンの花でいいんだよ」

 涙を拾ってあげたくて、手を伸ばす。届かない手を伸ばす。

「君らしい君でいればいいんだ。僕はそんな君を肯定し続けるよ、花」

「うぅっ、ときぃ――」

 瞬間、強い閃光が走った。真っ白な光に目を焼かれ、腕で思わず顔を覆う。誰かが抱き着いてきた衝撃によろめき、覆っていた腕が剥がれると、そこは何事もなかったような月明かりに照らされた林があるだけだった。

 まるで大掛かりな手品でも見たような、狐に包まれたような気分で下を見る。

 大きな花は消え、代わりに小さな花がすがりついて泣いていた。人間の女の子の姿になった花だ。

 やっぱりこのくらいのサイズがいいなぁ。

 なんて思ってしまうけどこれは内緒だ。僕はそっと小さな花を抱き締めた。




* * *



「ばか、ばか刻、泣いてないからな」

「はいはい」

「プレハブ、建てるのか」

「でもなんか元に戻れたからいらないんじゃないかな? 必要なら本当に作るけど」

「……あとナメクジやめろ」

「はいはい」

 さりげなく気にしていたらしい。ナメクジの花でも花だと言ったこと。背を向けて僕の膝の上にちょこんと座っている花を撫でながら応える。さらさらの黒髪はまるで絹のように柔らかだ。

「……さっきは、びっくりしたぞ……お前も叫ぶんだな、あんな風に」

 訥々と紡がれた言葉に、ちょっと戸惑う。そう言えば叫んだ覚えはある。あんな叫んだのは初めてだ。

「だってなんだか……じれったい? とにかく花がまごまごしてるもんだからつい、咄嗟に。驚かせてごめんね」

「あ、いや違う! あ、謝るなバカモノ!」

 なぜかあたふたしながら否定する花。不思議に思い、顔を覗き込もうとしたら花は慌てて顔を覆った。

「ただその……あれも刻の一面だから、それが見れたのが、その……嬉しい? のだろうか……」

 自分でも良くわかっていない感情を形にしようとしている努力が見て取れて、なんだか微笑ましい。

 ありがとうと言って頭を撫でると、「別に感謝されるようなことではない!」と噛みつくように吠えられてしまった。ちょっと苦笑いをする。

「……刻」

「なに、花?」

「傍に居ていい。お前の自由だ。そして私は……お前の意思を尊重しよう。なんたって――」

 花は気恥ずかしそうに、夜風に呑まれてしまいそうな小さな声で言った。

「友達、だからな」

 我が儘を聞くのも当然だ、とかなんとか色々ぶつくさ言っていたが、僕にはその一言で十分すぎる。

「わっ」

 花が驚くのも構わず、その小さくてか弱くて温かくて頼もしくて強くてか細く小さな背中を抱き締めた。

「ありがとう――」

 花が手加減するなら僕は手加減しないよ。ぎゅっと抱き締める。なんだか情けないことにまた泣きそうだ。

「……お前は本当に恥ずかしいやつだな」

「花に言われたくないな」

 かっこいい台詞も迷わず言い切ってしまうし、変なところ間抜けだったり心配性だったり。

 第一声が犬みたいだったりいきなり飯を寄越せと脅してるつもりの睨みを向けたりしてたし。

「花は本当に可愛いやつだな」

「阿呆!」

 花は涙でくしゃっくしゃの顔で、笑っていた。

「アホ刻!」

「はいはい」

 だから僕は苦笑しながら頭を撫でて、答えるんだ。

 『また明日』が途絶えるその日まで。



 これは終わりが約束された、僕と花の物語。

 何度だって繰り返そう。これは、この物語は。



 僕が花という女の子に捧げる物語。


 

 続きは、またいつか。

『進撃の巨人』がやばい。

原作未読、アニメからの人なのになぜかpixivで兵長に出会ってしまい、だだハマリなう。もうネタバレ無視で兵長とエレンを漁ってます。


エレンは少年・天然・ピーチ姫ポジション(←)・天使(←)・主人公オプションで最強?・わんこ気質・縛られキャラと把握←

兵長はチビ・人類最強・潔癖症・三十路・上司・リヴァイ班・愛されキャラ、ドSと把握← 

この二人の絡みがおいしいのは腐ってなくてもわかる。


例えばこんなん↓

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=35140450

犬例↓

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=35139850


これらにノックダウンされた結果、気が付いたら進撃の腐人タグを彷徨っていた←

エレン可愛すぎだろ。兵長愛されすぎだろ、エレンもだけど。とにかくひたすら二人が可愛かった。エロかった← そもそも制服?がエロいよ、散々指摘されてたけどさ。体のラインがはっきり出るから、太ももフェチ気味な私には破壊力ありすぎよ、この漫画。しかもpixivに生息する絵描きさんが綺麗な線で描いてくれちゃったりするから余計テンション上がるね。


ヒロイン気質の垣間見えるイラスト↓

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=35151663


ってことで今日の四時くらいからずっとそんな画像漁りをしていた←


ミカサも男前で美人さんで素敵ですが、特にエレンに関して暴走するところがいい。最強サンドもまたおいしいです←


大分アニメから先行した内容を知ってしまったがアニメ楽しみだ。今なら全裸待機という言葉の意味がわかる気がする← でも原作も読みたい! 例の衝撃の兵長躾シーンとか、ヒロインはお前でヒーローは兵長とミカサだって感じの奪還シーンやら読みたいー。うなー。


年の差・逆身長差・階級差・状況、どこから見てもいい組み合わせだなぁ、と思う。

てかこんなにBLな画像を漁ったことなかったし、今一BLのかけるだの受け攻めだの良くわかってなかったけど、なんかちょっとわかった気がする。兵長とエレンだと、年齢的に地位的に優位に立つのは兵長なのに体格的には10cmも身長が高いエレンのが優位なんだよな。人類最強にエレンが勝てるとは到底思えないが← しかしまあ兵長は躾シーンのせいもありドS認定されているのでそしてまあ強情そうなので大人しく背伸びはしないだろうとなると……エレンにしゃがませるなりなんなりしないとどうこうできないのだ。とにかく身長差で不機嫌そうになる兵長が可愛い!← でも下からでも無理やり行く兵長も可愛い。身長差でこんな可愛いことになるなんて思ってなかった。別にBL展開でなくてもいいけど可愛いからどうでもよい←

進撃のよさ詰め合わせみたいなログ↓

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=31928016


しっかし二次創作やる人って凄いよな。二次ができない一次創作人間としてはその発想力つか妄想力(←)を尊敬します、真面目に。見習いたいものだ、妄想力は。BL成分は小説に入れたくないから除外しますが。万人向けの小説ってのが目標だからな。でももうNLだろうがBLだろうが、ミカエレだろうがリヴァエレだろうがエレリだろうが(この入れ替わるところがまだあんまわかってない気がするけど)、可愛く萌えるものならなんでもいいや、という結論に至ってしまった今日この頃です。


まあとにかく進撃に悶えてました!←(まとめ)


明日はまた『花と刻』書くよ、多分。どう区切りをつけるかちょっと考えながら書いてます。


しかしこれだけエレンを見てるとエレンモデルのキャラを書きたくなるな。兵長は紫蘭とちょっと似てるから紫蘭で妄想する← チビで不機嫌顔なとこが似てる。まあ紫蘭の強さはたかが知れてるけどね← エレンはちょっとシンに似てるけど、シンにはああいう根性はないし、どっちかというと浚われた紫蘭を助けるナイトだから違うかなぁ。

まあその辺はいいか。でもちょっと紫蘭とシンの話が描きたくなった。


よし。ちょっと発散できたぞ。寝よー。

ああ、日曜の放送が楽しみだな~。

連作短編小説『花と刻』の五話目の後編になります。

一見さんは一話目をどうぞ→『花と刻 壱』


花の拒絶に心折れ気味な刻。

そこに幼馴染みがやってきて――。


*****


「兄よ、状況の説明を願いたいんだけど、入っていいかな?」
 ドア越しでも不思議と良く通る妹の声。僕はベッドに突っ伏しながら何か答えようとするが、微かな呻きにしかならない。
 僕は一体どうすればいいんだろうか。頭がぐちゃぐちゃだ。
「電話は無視だし、家には誰か招かれた形跡があり、かつ全く片付けられていないのだけど……何があったの?」
 何かあったのかではなく、何があったのかと問うところが妹らしいと少し思った。
 思っただけで返事はできない。
 返事にならない。
「……兄は引きこもりでも始める気なの?」
 引きこもりは、したくないなぁ。
 純粋に、単純に、反射的にそう思った。だって、花に会えなくなってしまうじゃないか。
「夏日が来ているけど、取り次がない方がいいのかい?」
「会う」
 やっと言葉が出た。なんだか泣きそうだ。ナツが来るのに、こんなでは余計心配させてしまうな。でも自分をコントロールするなんてできない。今までこんなことなかったんだ。
 悩まずとも、ただ普通に思考して行動していれば良かったのだ。
 揺さぶられることなんて、なかったから。


 トントン、と軽いノックがされ、返事を聞かずにドアが開かれた気配がした。
「なんか明日香ちゃんが刻が落ち込んでるとか言ってたんだけど……うわぁ」
 驚いているらしく五秒程、空気の動きが止まった。顔を上げようと思うのだけど、その動作が酷く億劫に感じて、未だに枕に顔を埋めたうつ伏せ状態だった。
「まさか本当にベッドで寝てるとは」
「……自分で、言った癖に」
 くぐもった声でついぼそりと言っていた。恨みがましい感じになってしまってなんだか嫌だ。ナツは心配して来てくれたし、今も多分どうしようかと思案している。
 でも、無理だ。
 ごめん帰って、と言おうとした、その時。
「明日香ちゃん明日香ちゃん、これ本当に刻? あははははは、ふて腐れてる刻なんて新鮮! 可愛いねこれ!」
「ナ、ナツ……?」
 倒れ伏してる人間を前にして大爆笑されれば流石に呆気に取られる。しかも『これ』って……。
「夏日、これでもちゃんと白井刻という名の私の兄だよ」
 ドアから顔を半分覗かせて怪しげに、半笑いでこっちを見ている妹がそれに応えた。
「しかし流石夏日だね。あっという間に兄を起こすとは。幼馴染みは偉大かな。……ところで私も入っていい、兄?」
「……はぁ。もういいよ。勝手に入ってきなよ」
 では失礼するよ、と慇懃な挨拶をすると妹が部屋に入ってきた。一人で使うには元々妙に広い部屋だったので三人入っても問題ない。
 はずなのだが。
「しかし相変わらず足の踏み場に困る部屋だね、兄よ」
「人が歩くスペースは空けているよ」
「座ることは一ヶ所しか想定されていないけどね」
 僕の部屋は横長だ。入って右手にベッドが収まり、左を見れば壁をほとんど覆い尽くす棚とそれに囲まれたテーブルがあり座布団があり、その隣には巨大な業務用印刷機が鎮座している。
 十分それだけでも多分異様なのだろう。少なくとも夏日の部屋はもう少し趣味や実用的でないものが置かれていたし、こんな背の高い棚は聳え立っていなかった。
 しかしそれ以上に異様なもの、流石に僕でもちょっとおかしいよな、と思える光景があった。それは。
 紙束の海。
 現在没収されているパソコンが置かれていたテーブルの一部と、テーブルの前にある座布団、そこへ向かうための飛び石のような足の踏み場とベッド前、くらいしか机や床が見えない状況だった。
「……わかったよ、すぐ退かすからちょっと待って」
 ベッドから出ると、とりあえず扉周辺にあるレポートの束を集め始めた。ナツはニコニコ手伝ってくれて、妹は愉快そうにベッドの縁に腰かけ、片付けに勤しむ僕らを見下ろしていた。本当に性格悪いな我が妹。
「全く、兄の散らかし癖は酷いものだな」
「仕方ないでしょう? 最近いろいろな資料がひっきりなしに来るんだから。普段はちゃんと片してるよ」
「普段がいつなのか詳しく聞きたいところだね。大体、それを一々全て印刷するからこうなるんだよ。せっかくパソコンという文明の利器があるのだから、画面上で読み、必要なものだけ印刷しファイリングするということを学んだ方がいいよ兄」
「だって画面だと目が疲れるし読んだ気がしないしメモができない」
 これだからアナログ人間は、と偉そうにやれやれと首を振る妹。天才にはわからないんだろうな、と思い、少し苛立った気持ちを収める。
 妹だったらメモなんてしなくても忘れないだろう。それどころか、やろうと思えば一度目にした資料なら全てそらで書き写すことも可能だろう。
 妹はそういう類いの天才である。
 馬鹿みたいになんでもできてしまう、嘘みたいな天才なのだ。
「ところでこの資料は何なの?」
 ナツが手にした資料のグラフを指でなぞり、首を傾げる。ほとんどの資料が外国語だからわからないのだろう。
 大体が件(くだん)の大地震関連の資料だ。それがわかる妹が底意地の悪い笑みを浮かべているのが怖いが、あまりこの話はナツにしたくない。僕はちょっと調べ物、と言って誤魔化し、紙束を受け取った。
「手伝ってくれてありがとうナツ。この座布団でも使って」
「兄よ、私にはないのかな?」
「手伝わなかった癖に図々しいしいなぁ」
「わかった。ならいいものを持って来よう」
 そう言うと妹はすたすた部屋を出ていった。一分程して帰ってきた妹の腕にはペットボトルとお菓子が山となっていた。
「またそんなに溜め込んで。君だって人のこと言えるような生活していないだろう?」
「他者へ指摘する時は己を棚に上げなくては何も言えなくなってしまうよ、兄。ほら、コップを持ってきてくれないかな?」
 無駄に偉そうなのが妹のデフォルトだ。仕方ないので言われた通りにコップを三人分とお菓子の受け皿を持ってくると、勝手に出した座布団に座った妹が上機嫌で待っていた。
「皿まで持ってきてくれるとは、流石兄だよ。気が利くね」
「全く唯我独尊も程々にね、妹」
 言っても効果はないだろうが一応言ってみた。僕は机前にあったくたびれたいつもの座布団を引っ張ってくると腰を降ろす。
「やっと落ち着いたね。刻の部屋の匂いはインクの匂いだねぇ」
「僕の部屋(ここ)にいたいなら我慢してください」
 はーい、と楽しそうに手を上げて返事をするナツに笑みが溢れた。やっぱりナツがいると違うなぁと思う。妹に癒し成分は皆無だから。今も厭らしい笑顔で僕を見ているのをどうにかして欲しい。
「さて雑談するにはいい感じの環境が整ったね。いやはや、久しぶりだからなんだか楽しいね。小学校以来かな? この三人がこうやって揃うのも」
「そうだねそうだね! 明日香ちゃんが遠い学校になったからなかなか会えなかったし。ってあ!」
 ナツが閃いたというように両手を合わせた。
「そうだよ! 明日香ちゃん、高校入学おめでとうだよ!」
「ありがとう夏日。そんな祝われるような大層なことではないけどね」
 と言いながら内心非常に嬉しそうだ。昔から妹はナツ大好きなので、なんであれ喜んで貰えれば満足なのだろう。
「そんなことないよ! ねえねえ、どこ高? 絶対有名なとこでしょ!」
 しかしこのナツの言葉で僕と妹は固まった。
 あれ?
 ちょっと妹の方に顔を寄せると、妹も同じように近づいてきたのでこしょこしょと話し出す。
「妹、言ってなかったの?」
「いやいや、兄こそなぜ言っていないのだ? てっきり兄が言っているとばかり」
「なんで僕が言うのさ。普通自分で報告するだろう?」
「そ、そうなのか……中学の時は勝手に知っていたよ?」
「そりゃあ有名な学校だったから噂になってたからね。ほら、言わないと」
 う、うむ、とぎこちない感じで首をナツの方へ巡らす妹。そう言えば妹も想定外の事態に弱いのだった。とりあえず僕は見守ることにする。
「な、夏日?」
「はい、夏日ですよ」
 ニコニコと妹の言葉を待つ夏日。妹はなぜかやたら慎重に、神妙な顔をして言った。
「同じ高校だ」
「……はいー?」
「妹、これはわかってないよ」
「わ、わかっている! だからその、私は夏日の、つまりその、後輩に、なったんだよ」
 暫し沈黙。
「……刻? なんだか明日香ちゃん、まるで同じ高校に通ってるみたいな口振りで話しているんだけどどういうことかな?」
「そりゃあそうだよ。同じ高校に入学したんだから」
 また暫し沈黙。
 のち、爆発
「うえぇええええええ!」
 ナツは面白いくらい飛び上がり、しぇーみたいなポーズを取った。今か今かとリアクションを待っていた妹もビクッと震えた。
「嘘ぉ! 明日香ちゃんが同じ高校に通ってるの? それってそれって――」
 妹の手を引っ張り立ち上がらせると。
「すっっっごく嬉しいことだね!」
 全力で抱き締めた。
 妹は呆けた顔でただただナツの暴力的抱擁を受けている。ナツはナツでテンション上がりすぎて周りが見えてないなと丸わかりだった。
 僕は好き勝手なことを言いまくって妹を締め上げているナツに軽く脳天チョップを食らわした。
「いったぁ! 何するかー!」
「人の妹を締め殺す気か」
 それでやっと我に返ったナツが揚々妹を離す。でもまだまだ興奮冷めやらぬといった様子で、妹の手を掴むと、満面の笑顔で言った。
「まずは一緒に学校行って、一緒にご飯食べよ!」
「それは、その……素晴らしい提案だね、夏日」
 はにかむ妹はいつもの悪どい姿が想像できなくなりそうなくらい素直で、幸せそうだった。
 なんとなく。
 なんとなくだけど。
 僕が花に何を言って、どんな顔をすればいいか、わかった気がした。
 だから今は、この久方ぶりの懐かしい空気の中で大切の意味を噛み締めよう。
 独りじゃない、意味を。


*****


無理やりな妹天才設定説明が入ってしまった。白井妹と父は超がつく天才なのです。話が続けば結構話に関わってくるのですがね。

今回は刻・明日香・夏日の実は幼馴染みトリオで話せて楽しかったです。刻と明日香は家で、刻と夏日は学校で、夏日と明日香はメールや電話で話したりはしていたのですが、三人が揃うのは久々だったのです。夏日は変わり者兄妹に付き合える貴重な一般人なので大事にされてるのです。……そういう話も書きたいんだけどなぁ。

最近更新する余裕がなくなって来たので多分次回更新以降は続くかわかりません。とりあえず区切りがいいところまでは頑張りますのでお付き合いください!


ただなんとなくアニメの話がしたかっただけ←

基本的に片っ端から見てから、続けて見るか否か精査してます。今のところ、RDG、カーニヴァル(原作既読)、ニャル子W、はたらく魔王さま、断裁分離(既読)はほぼ確定。他は様子見と言いながら革命機、翠星、進撃の巨人、デート・ア・ライブ(一巻のみ既読)、銀河機攻隊、ハヤテなどなど見るんだろう。惡の華は未知数すぎてまだわからないなぁ。

なんとなく最近見たアニメ(革命機、進撃の巨人)の感想。以下ネタバレあり。



【革命機ヴァルヴァヴレイヴ】
アニメイズム枠ですね。今期多いな、ロボットものって言えばいいのかね? ガンダムとかそういう感じです。革命機、結構かっこよかったし綺麗だった。
幼馴染み(?)ヒロイン、あっさり死んだ、のだろか。主人公は復讐のためにロボットに乗り込むんだけど、最初はなぜその流れでロボット乗っちゃう!?と思ったけれど、もしロボットが普通に存在して人を殺すものだっていう意識が一般的にあるのなら、カッとなって目の前にあるナイフを掴むように、近くにあるロボットに乗り込むのもありなのかな、と思った。それにしたって唐突さは否めないけどまあロボットに乗らなきゃ始まらないか。
しかしED、なんか敵の方々も人型の機械に乗るっぽいけど、なぜ敵の方々はびっくりしてたんだ! いやまあ裏で準備してた系なのでしょうがやられ役の方々が可哀想だった。
ED後、主人公殺されたー、と思ったけどそういやさっき人間やめたなと思ったらむっくり起き上がって吸血鬼か!ってことをしてた。ヒロインだしに使って結局は主人公と敵メインキャラの二人でバトッたりして腐った妄想人気をゲットしたいのでしょう← 流石にうがりすぎか?
とりあえず二話見よう。
あとyes押したら機体黒くなったのもああわかりやすい、地味にこういうの好き、と思った。人間やめますか?の問いも。


【進撃の巨人】
OPの文字の出し方が好き!← あとイェーガー!ってとこも。狩人って意味なのね。しかしOP見てて早速絶望感しか感じなかったんだけど、巨人倒せるの……?
本編。意外とのんびり始まったのでほっとした。エレンって言うと獣の奏者だな← ミカサのキャラが素敵だと思います。
今日も平和とは限らないとか言った傍から嫌な予感の後に冒頭の手のシーン来てギャーってなった。こええ。しかも穴開けたって、小さいとは言えやっぱでかい巨人がわらわら入って来るし、怖いぃいい! それでも家に走るエレンとそれを追っちゃうミカサ強すぎる。
あの笑顔は絶望するに十分すぎるよなぁ。男の人、賢明な判断だったと思う。でもお母さんの「行かないで」が辛すぎた。それでも巨人を殴るお母さんも強すぎる。
ああでもあのシーン。エレンが見てるというのがもうきつい。ミカサですら目を反らしたのに。
血が飛び散りすぎがリアルじゃねえなと気になってしまったのは内緒です← いやグロいとか酷い、やめてあげて、とかも思ったけど。
二話見る。見るけど絶対に深夜には見ない! 怖すぎてRDGで口直ししてやっと動けるレベルだった。笑顔のインパクトがやばい。


今期も楽しみだなぁ。

連作短編小説『花と刻』の五話目の前編です。

一見さんは一話目をオススメします→『花と刻 壱』

今回も電話スタート。夏日は清々しいキャラなので可愛くて好きなのです。

とりあえず花と刻の物語、五日目をどうぞ。


追伸:ちょっと修正しました(H25.4.29)


*****


『刻! また変なことして体調崩したって明日香ちゃんから聞いたよ! いつまで経っても頭はいいのに馬鹿だよね刻は。その残念頭を明日香ちゃんに解剖してて貰ったらいいと思うよ! 全く全く。ちゃんと温かくして寝るんだよ。まあ朝は熱なかったそうだし多分大丈夫だとは思うけど、ちゃんと大人しくしていること! ちょっと話聞いてる?』
「相槌打つ暇すら与えてくれないのはナツじゃないか」
『そうかな? まあとにかく! お見舞い行くからちゃんと寝てなさいよ、刻!』
ナツは言いたいことだけ捲し立てると電話を切った。耳鳴りがする。
「別に風邪はほとんど未遂だったのに」
 妹も、なぜナツに事細かに伝えているのか。まあ医者を呼ばれなかっただけマシと言えばマシなのだが。
「心配性だなぁ、二人共」
 しかし暇である。
 “仕事”をしようにも、パソコンや重要な資料も全て没収されてしまったのでどうしようもない。
 昼になって体調が悪化してなければ隠し場所を教えてくれるそうだが……。妹に起こされ、きちっと朝食を摂らされ、体温までばっちり計られてしまった現在、まだまだ朝の九時すぎである。
 妹が学校に行ったので食器の片付けと洗濯物をしていたが、もう終わってしまったし、とにかく暇だった。
「……おにぎりでも作るかな」
 電話機前から再び台所へと移動する。エプロンは着けたままだったので手間は少なかった。
 手を洗いながら何を作ろうかなぁ、と思案を始めたのだった。


* * *


 昨日のようにランチボックス片手に玄関の扉を開くと。
「あ」
「んなっ!」
 夜明け色と目が合った。
 青空ワンピース姿の花だ。まさかこんなところで会うとはお互い思いもよらず、見事に固まる。
 先に口を開いたのは僕だった。
「昨日はごめん」
「そ……そうだ! お前をここまで運ぶのは面倒だったんだぞ! 人目につかないようにタイミングを計りつつ、最短で家に行けるように頑張ったのだ!」
「ありがとうね、花。でもどうやって家を探したの?」
「お前の匂いを辿った!」
「あ、やっぱり?」
 耳がいいなら鼻もいいのかな、と予想していたが的中していたらしい。
「てかお前軽すぎだ! ちゃんと食ってるのか!」
「ごめん、結構少食です」
「あと刻、お前普段我が儘なかなか言わないやつだろう! もう我が儘放題やりたい放題で酷かったぞ!」
「それもすみません」
「もうちょっと自分に正直に生きろ! いきなり甘えん坊になられても困るわ!」
「はい善処します」
 今までぶんぶんと腕を振り回して怒鳴り散らしていた花が、唐突にぴたりと動きを止めた。
「なんかしおらしすぎないか? 体調悪いのか?」
「なんで素直に謝罪するとそういうことになるのかな花? 僕もこれで結構反省してるんだよ? そりゃ謝るよ」
「ふーん」
 信用ないなぁ僕、と思わず苦笑いが溢れる。
「まあいい。しかしなぜ家にいるのだ? 昨日一昨日が土日だったのだろう? 今日は月曜のはずだが、まさか祝日?」
 訝しげに問う花。これ説明すると面倒だよなぁと思うけど、適当に流してくれるような花ではないので渋々説明開始。
「今日は平日だよ。ただ昨日あんな帰り方をしたから妹に怒られ、大事を取って休まされてるんだ」
「本当に風邪ひいてないのか?」
「ピンピンしてるよ」
「熱は?」
「平熱だよ」
「……むぅ」
 ならまあいいのだが、と言いながらも疑うような視線が注がれる。なんでかなぁ。
「とにかくおにぎり作って来たから一緒に食べよう、家で」
「遠慮する」
 家の方を一瞥すると迷いなく言い切られた。取りつく島もない。まあまだ粘るけどね。
「じゃあいいよ。ここで食べようか花。それともいつもの河原まで行くかい?」
 すると案の定花は慌て出した。
「待て! 休んでる人間がいくら陽が暖かいとは言っても外で食べるのはまずいだろう!」
「なら家で食べようよ。せっかくここまで来たんだから。ね?」
 むぅと腕を組んで悩む花。しかし自分からここに来たのだから脈が全くないわけではないと踏んでいる。こうやって少しずつ家に慣れさせてゆくゆくは居候にしようという魂胆だったりする。
 どう答えるかなとわくわくしながら待っていたら、とうとう花が折れた。
「わかった……ご飯を食べるだけだからな?」
「はいはい。どうぞ入って入って」
 ニコニコと扉を花のために開く。花は気が引けたような顔をして扉を見詰めていたが、了解してしまった手前逃げられないので、恐る恐るといった体で玄関に踏み入れた。
「別に罠なんてないのに」
「刻うるさい!」
 がるーと威嚇するように睨んでくる花の頭をぽんぽんと叩くと、手を握り、中へと引っ張る。
「ようこそ白井家へ」
「強引だぞ刻。……お邪魔します」
 丁寧な挨拶とは裏腹に、警戒心剥き出しでキョロキョロしている花は野生動物っぽかった。
 玄関に立つ花は、ワンピース姿なこともあり、普通の女の子だった。挙動不審さを無視すれば、だけど。
「さ、上がって」
「あー……雑巾をくれないか?」
 いきなり何を言い出すのかと首を傾げると、お前気づいてないのかといった呆れ顔が返ってきた。花は足元を指差した。つられて視線を下に向けると。
 裸足だった。
「あれ? ……靴履いてなかったっけ?」
「履いとらん。靴は手に入りにくいからな、最近は履いてない。本気で気づいてなかったのか?」
「いや全く。痛くないの?」
 花はコクンと頷いた。
 まあとにかく素足で徘徊していたから足を拭かなきゃ上がれない、だから雑巾を、ということなんだろう。
 ふむ。
「せっかくだしお風呂入ろっか」
「はあ! ご飯を食べに来ただけだぞ! 約束と違うじゃないか!」
「約束はしてないよぉ?」
「詐欺だあ!」
 回れ右しかけた花の脇に手を入れ、ひょいと持ち上げる。
「花は軽いなぁ」
「はーなーせえ!」
「はいはい」
 足をバタバタさせる花を無視して風呂場へ連行していく。風呂場の戸を肘でうまいこと開けると、中に花を降ろした。
「せっかくなんだし、ゆっくりお風呂入っちゃいなよ。追い焚きすればすぐ入れるからね。それとも足だけ洗って出ちゃう?」
「とか言いながらすでに追い焚きのボタン押してるじゃないか! 私に選択させる気はあるのか?」
「いやない。じゃごゆっくり」
「ま、待てえ!」
 とまだ叫んでいるが閉めてしまう。あ、そうだ。
「着替え適当に探してくるから、脱いだ服は戸の外に置いといてね。洗濯してあげるよ」
 中でまだ喚いていたが、やっぱり無視して歩き出した。花が着れそうな服、あるかなぁと考えながら。


* * *


「なぜスカートしかないのだあ!」
 切実な悲鳴が聞こえて、本から目を上げた。脱衣所の戸に寄りかかって読書をしながら待機していたのだが……一体どうしたのやら。本を閉じながら言葉を返す。
「ズボンはボロボロかサイズが合わないのしかなかったからスカートしかないんだ。何か問題あったかな?」
「大問題だ」
「どんな?」
 しかし続く答えが聞こえてこない。ん? と首を傾げていたら、今度は打って変わって小声が聞こえてきた。
「……もっと小さいパンツ、ないか?」
「ごめんね、流石に子どもの頃のパンツはなかったよ。だから僕の新品か、妹の最近のしかないんだ」
「……そうか」
 絶望が漂ってくるような声だ。どうしたの? と問うと、困り果てた顔が浮かぶような声が返ってきた。
「パンツが大きくて……落ちる」
「あー」
 なるほど。ズボンなら股で止まってくれるが、スカートだとストンと落ちてしまうのだろう。それは困ったな。
「買ってくる?」
「お前が子どものパンツ、しかも女の子用のを一人で買いに行くのは最早犯罪だと見なされる自殺行為だろうからやめた方がいい。……それより私の元々履いていたパンツはどこだ?」
「酷い言い種だなぁ。そして君のパンツは洗ってる最中だよ」
「んなぁ!」
 なぜか固まったような気配が漂ってくる。絶句するようなことだろうか? 事前に洗うって宣言してたし。
「わ、わた……私のパ、パンツ……洗ったのか?」
「そうだよ」
「さ、触ったのか?」
「そりゃあ僕はエスパーじゃないからね、触らなきゃ洗えないよ。……花?」
 静まり返った脱衣所に違和感を感じて名前を呼ぶ。暫しの沈黙の後、それは爆発した。
「お、お前はあ! デリカシーの欠片もないバカモノだとずーっと思っていたがここまで朴念仁のド阿呆の変態だとは思っていなかったぞ馬鹿変態刻!」
 いつもながら酷い言われようだ。娘にパンツ一緒に洗わないでと言われるお父さんの気持ちがちょっとだけわかった気がする。
 しかし……とうとう花にまで変態呼ばわりされるとは、ちょっと悲しいなぁ。なんてぼんやり考えていたら。
「ほんとどうすればいいのだ……」
 大分悲観した呟きが聞こえてくる。はあやれやれ、と立ち上がった。
「スカートの上からパンツを押さえてればいいじゃない」
「やっている。しかしだな……」
「じゃあ開けますよー」
「何! ま、待て!」
「でもちゃんと着替えて、パンツも押さえているんでしょう?」
「そうだが……」
「はいはい、失礼しますよー」
「わっわっ、ま、待って刻!」
 しかし埒があかないので脱衣所の戸を容赦なく開く、と。
 ちょっと涙目で花柄のスカートの前を押さえてへたりこんでいる花がいた。弱々しい顔で途方に暮れたように僕を見上げている。
 可愛いけど流石に可哀想だなぁ。
「刻ぃ~」
「はいはい。じゃあ僕がお姫様抱っこするから花はパンツ押さえててね」
「んな! そんなことできるかあ! あとパンツパンツ軽く言うなあ!」
「他になんて呼べって言うのかな?」
 もう半分以上混乱状態なので軽く流しながら、「はい失礼っ」「ひゃっ」と足を掬い取り、そのままお姫様抱っこに持っていく。ほんの少し昨日の復讐もこもっていたりするがそれは内緒だ。
「案外大丈夫でしょう?」
「無駄口叩かずにさっさと行くぅ!」
「はいはい」
 見えようがなくても恥ずかしいんだなぁ。というか。
「小学生の女の子の裸見ても別に欲情しないよ、僕?」
「中学“二”年生!」
「はいはい」
「お前! さっきからはいはいはいはいと、適当に流すな!」
「もう。花は花でしつこいよ。それに何? 花は僕に欲情して欲しいの?」
「な訳あるかあ! でも私も一応女の子として、その言い種が許せんだけだ!」
 女の子って面倒臭いなぁ。
 足はリビングに向かいながら、視線は明後日の方角に向く。なんとなく痛い視線が横顔に当たっている気がするが、放っておくのが吉な気もするので妹の電話、ぼちぼち来るかなぁ、とか考えてみる。
「降ろしますよー」
 リビングに到着したので一応声をかけてから椅子に降ろしてあげた。
「あ、ありがとう」
 スカート越しにパンツを押さえながら、不本意そうながらも感謝の言葉を貰った。
「どういたしまして。じゃあお昼にしようか。ついでに余ってた妹のおかずを拝借してみたよ」
「いいのかそれは?」
 呆れたように問われたが、僕はにっこり微笑んでそれを答えにした。許可は取ってないけど、僕の友達の可愛い女の子が食べたと言えば、行けるだろう。妹は変態だから。
「はいどうぞ」
「頂きます」
 花は丁寧に手を合わせてからおにぎりを取る。片手は机の下のままだ。座っていれば大丈夫だろうに。
「うーむ、妹も料理うまいな」
「妹“も”? 僕は料理できないよ。おにぎり作れるだけだよ」
「これだけ中身にするもの料理しといて何言ってるのだお前。この佃煮もどうせ自分で作ってるんだろう?」
「うん」
「こんだけうまいんだから、おかずにしてもいいんじゃないか?」
「そんなことしたらおにぎりに何を入れるって言うのさ?」
「…………お前はおにぎり馬鹿だな、刻」
 一瞬ちょっと誉められた気がしてしまったところが、妹からもおにぎりオタクのレッテルを貼られる原因なんだろうか。しかし花もやれやれという微笑ましさすら浮かぶ穏やかな顔だったから、まあいいか。
「ところで話は変わるけど」
「ん、なんだ?」
「花ってお風呂どうしてるの? 路上暮らしなのにいつも清潔そうだし」
「……あのなぁ刻? 私は路上で暮らしている訳じゃないぞ?」
 あれ、以外な方向に話が飛んだな。しかしそれはそれで気になっていたので、先を促す。
「じゃあどこで暮らしているの?」
「林で暮らしている」
 サバイバルだった。
 しかし納得。他にも空き家や町外れの神社など予想はあったが、なるほど林なのか。
「流石に薄暗く不気味だからそうそう人は立ち入らないからな、こういう中途半端に都会寄りの場所では。なかなかに居心地がいい」
 林に安住の地を見つけちゃう女の子というのもおかしな感じがするが、まあいいか、花だし。
「……ああ、そうそう、風呂の話だったか」
 ちょっと悦に入っていた花が前の話題を思い出したようだった。僕はうんうんと肯定しつつ促す。そして花はあまりに予想外の回答を口にした。
「学校で洗っている」
 がっ、こう……ってなんだっけ?
 一瞬真面目に考えてしまった。花は固まる僕を全く気にせず話を続けた。
「どこでも校庭には蛇口があるだろう? ホースか深めの流しが大抵あるからそれを使って洗う。いくら門や建物に施錠していようが、校庭までは封鎖できんだろう?」
「え、夜の学校でストリップ?」
「ド阿呆ぅ!」
「ぶべっ」
 おにぎりを顔面に食らい、奇妙な声が漏れた。花がダンッと机を叩いて椅子の上で立ち上がる。
「服着たまま洗っとるわあ! 服も洗えて一石二鳥だろう! 着替えも茂みに隠れてやってるからス、スト――――やっとらんわ刻のド変態馬鹿ぁあ!」
「花パン――」
 ツと言う前にハラハラとスカートの下からの落ちてくるものがあった。
 あ、僕の新品にしたんだ。
 と思った瞬間、消える魔球宜しく飛んできたおにぎりに強制シャットダウンさせられた。


* * *


「――い、おい刻! 刻!」
 あ、デジャヴかも。
 目を開けると今にも泣きそうな花が鼻に触れるんじゃないかって程至近距離で叫んでいた。
 キスしたら可愛い花が見れるかも、という悪戯心がむくむくと湧いて来たが、最終的に殺される未来が予想されるのでやめておこう。
 手を伸ばし、頭に触れる。
「大丈夫だよ花。僕って案外打たれ強い、というか慣れてるからさ。だからそんな顔しなくて大丈夫」
 優しく撫でる。いっそ抱き締めようか、こんな近いんだし、と考えていたら。
 ポスッと胸に花が落ちてきた。
 心臓が跳ねる。
「死ぬなって、私が約束させたのに……私は何をやっているんだろうな」
 額を僕の胸板に押しつけ、切ない締めつけられるような悔恨の詰まった声を出す。その振動と、花の鼓動が聴こえて、否、肌で感じて、なんだか不思議な気持ちになる。
 哀しい、のかな。
「こんなことでそんな苦しまなくていいよ。笑い飛ばしてよ、花」
「違う」
 鋭い否定に、戸惑う。花は……何の話をしているんだ?
「ごめん、なさい――。……お前が待っているだろうとわかっていながら、行かなかった」
 ああ、わかった。
 昨日のこと、か。
「いいんだよ。僕は来てくれたという事実がとても嬉しかったから」
 顔を埋めて、後悔の海に沈もうとする花をここに留めるように抱き締めて、言う。
「母は来てくれなかったから、さ……案外引きずってるみたいだ。昨日話したよね、小学校の遠足の時のこと。僕って、みみっちいね」
 自虐的な笑みが溢れる。
 すると花がむずがるように体を捩らせた。手を離すと、花は勢いよく顔を上げた。
「そんなことはないしそうじゃない! 誰だって寂しいはずなんだ、約束を破られることは。大切な、楽しみにしていた約束である程」
 もがくように、花は叫ぶ。
 君は何と戦っているの? 僕はわからず、呆然と花を見上げていた。
「だから決着をつけるべきだ! 今からでも話して気持ちを伝えて、怒りたければ怒ればいいし、あの時泣けなかった分、今泣けばいい、寂しいと訴えて――。伝えられなくなってからでは、遅いのだ! お前が寂しかった、待っていたと、そう伝えられる相手は世界に何億人という人が生きていようが、たった一人なんだ。お前が本当に必要とする両親という人間も、たった二人しかいないんだ。失ってからでは、遅い――」
 血へどを吐くような言葉だった。
「お前は後悔するな、刻!」
 僕にはわからない感情がそこにあった。僕は完全に圧倒されていた。夜明け色の瞳の朱が煌々と輝き、僕に嫌な焦りを覚えさせる。
 口はほとんど無意識に開いていた。
「花は、後悔したの?」
 言う必要のない問いなのに。
「花は、独り、なの……?」
 確認なんて必要ないくらい感じていたのに。
 花は。
 花は酷く顔を歪めた。
 違う、今まで泣いてなかった方がおかしいんだ。泣き叫ぶような言葉だったのに。
 花は泣かない。泣けない?
 突然立ち上がった花は、背を向けて玄関へ走り出した。
 待って、待って――。
「花――」
「来るな!」
 待って花、ねえ待って、頼むから――。
「お前にはわからない。帰る家があるお前には……本当に独りであることの意味はわからないよ、刻」
 頼むから――行かないで!
「花ぁあ!」
 花は振り返らなかった。
 ただ最後に何かを低く低く呟いた。聞こえないはずの小さな声なのに、不思議と良く聴こえた。
それは絶望の言葉。
「さようなら」


 誰もいなくなった家。脳震盪の名残で目眩がする。
 ああ。そうだよ、花。僕には君の孤独が、哀しみが、苦しみが、あの絶望しきった顔の意味が、わからないよ。
「だって僕は――」
 まだ失ったことがないから――。

*****


これで五日目の前編が終了と。シリアスで終わっちゃってますが、次回の後編は和やかになりそうです← 何がどうなって和やかになっちゃうのかはお楽しみに。

意外とちゃんと読んでくださってる方がいるようで嬉しい限りです。因みに刻、花、明日香(妹)、夏日(幼馴染み)、一美(誰だよ←)だったら誰が好きですか? なんて調子に乗って訊いてみたりして。私はみんな好きすぎて決められないです← 今の瞬間は夏日が一番好きですが日々変動しているのでなんとも言えないなぁ。鬱々とした兄妹とホームレスに比べたら爽快な直球馬鹿なところが、明るいところがいいですね。そして多分最も手が早い子。花も明日香も暴力は奮いませんからねぇ。

とにかく後編書くぞ! では失礼しますー。

一見さんは『花と刻』壱 から読むことをオススメしますー。

とんとん進んでもう四話目です。早速新キャラと電話中から始まります。ではどうぞー。


*****


『あと六ヶ月かもしれない』
 電話越しに、馬鹿みたいに真剣な顔が見えるような声音だった。
「そっか」
『……軽すぎだろその反応は。ちゃんと伝わってるよな?』
「大丈夫大丈夫。俗世で生きてる僕の方が情報持ってるんだから、君以上に多分わかっているよ」
『それはそれで腹が立つな。てか僕は仙人でも世捨て人でもないからな。……で、君の父の見立ては?』
「あれ、敵視してるんじゃなかったの?」
『うるさいな。それとこれとは別だ。大体生態学中心にしか学んできていないんだから、地学なんてわかるはずないだろう。……その点、君の父は遺伝学の教室を出たとはいえ、あらゆることに見地がある。お伺いを立てるのは当たり前だろう』
 嫌いな人間に頼らなければいけない現実と、それを説明するという状況に苛立つような荒っぽい声に、少しおかしくなる。相変わらず馬鹿正直な人だ。
『おい、笑ってないで、どうなんだよ』
「ふふ、ごめんごめん。もちろん知っているし、ずっと前から動いているよ」
『……なぜそれを僕に教えない』
「まさか君が興味を持つとは思わなかったから。それに君も言っていたけど、実際畑違いの話でしょう?」
『確かにそうだが……しかし野生動物を追っていれば流石に異変には気づく。気づいてしまったら畑違いだろうが調べないわけにはいかないだろう』
「ふぅん、生態学者からのデータか。地震や気象系のデータばかりだから興味あるな」
『なら今度学会に殴り込みに行く用の資料を送ろうか? その代わりそういう専門家のデータが欲しいんだが……』
「君は学会をなんだと思ってるのかな? やくざのカチコミじゃないんだよ?」
『戦場に決まっている』
 やっぱり馬鹿だなぁ、と呆れていたら電話越しにも伝わったらしく文句が返ってきた。
 彼はちゃんと大学院を卒業した教授でもなければ、大学生ですらないはぐれ者なので風当たりが強いのだ。それでもめげなかったのだが、代わりにどんどん捻れて毎回果たし状でも叩きつけるように学会に行っているらしい。その執念には感服するが、やっぱり馬鹿だと思う。
「まあとにかくデータは送るよ。メールでいいよね? そっちもちゃんと送って来てよね」
『話し聞けよ! ……もういい』
 垂れ流していた文句を聞き流されたことに憤慨して受話器を置こうとする雰囲気があったので「ちょっと待った」と気持ち大きめの声で言った。
『……なんだ?』
 ギリギリ聞き届けて貰えたようで、不機嫌そうな声が返ってくる。
「資料だけでなく専門家の言葉も聞きたい。どういう兆候があるの?」
『いろいろあるが、一番は……移動だな。北と南、どちらか側へと移動が見られる。じきに大移動と言える規模になるだろう』
 彼は一際低い声で言った。
『まるで……日本が真っ二つになるのを予知したかのように』
「ギャグだね」
『真面目な話だ!』
 しかし日本が真っ二つ。しかも東西の境のようなところで割れるなんて予想、日本が板チョコみたいな素材ならわかるが、そんなわけはないのに真ん中で割れるという想像がなんともおかしい。
 けれど。
「一致したかぁ……」
『は?』
「そういう予想をした人はあと二人いる。多分この調子だと増えるんだろうね。父にも伝えておくよ」
 慌てた声が受話器の向こうから聞こえてくる。全く、相変わらず予想外の展開に弱いなぁ、と苦笑しながら。
「じゃあね、一美(ひとみ)」
「あ、おい、刻!」
 ぷつっと切った。


 地震が来るらしい。
 それも大地震だ。
 たくさんの人が死んで、思い出が消えて、日本が引っくり返って世界すら崩壊するかもしれない未来の話が、約六ヶ月後に待っているらしい。
 でもきっとそれでも人間(ぼくら)は生き続けるんだろう。
 そんなことだけ、他人事のように思うのだ。


* * *


「そうだよなぁ、そう毎度毎度都合良く会えるわけがない」
 頭では理解しているけれど、しかししかしこれはなかなかに。
「寂しいな、花……」
 いつもの場所に花はいなかった。
 まだまだ衰えない桜の周りのざわめきが伝わってきて余計に気が滅入る。なんだか草はたくさんあるのにひたすら空虚で、何もない世界に来てしまったような錯覚すら覚える。
 僕は握ってきたおにぎりの入ったランチボックスを草むらに降ろすと、自分も腰を落とした。なんとなく体育座りをする。
 昼は疾うにすぎた二時半。日はまだまだ高い。
「来るかなぁ」
 花の寝床がどこにあるかわからないし、普段何をしているのかもわからない。縄張りみたいなのがあるのか、気儘に転々としているのか。そもそも最近やって来たのか、たまたま最近出会ったのかも知らない。
 浮浪者だと言うわりに身綺麗なのは毎日洗っているから? どこでお風呂に入っているの?
 君はどこからやって来て、どこへ行くの? 君の忌み嫌うもう半分の血は一体なんだって言うんだい?
 君はどうしたい? どうして欲しい? どうしたら救われる? 心の底から笑顔になれる?
 知りたいよ。
 君の隣にいたいから。
 幸せを願うから。
 それは余計なお世話なのかな、花――。


「――い、おい!」
 誰かが何か言っている。
 なんか呼ばれている気がする。
「刻! お前こんなとこで何寝ている!」
 耳元で叫ばれて流石に目が覚めた。でもなんだか体が強張っているし、それに。
「寒い……」
「当たり前だ馬鹿! さっさと帰って風呂入れ!」
 ゆっくりと凍える体を起こすと、隣に鬼の形相の花がいた。背景はまるで花の瞳みたいな色だけれど、黄昏なので大分色の比率は違う。太陽の残り火に宵闇が覆い被さるかのような、夜も間近な空模様だった。
「お前は馬鹿か! 一体何時間こんなところで寝ているのだ、正気か! 風邪をひくに決まっているだろう!」
 暫くそんな感じに小言っぽいものを大声で捲し立てる花をぼーっと見ていたが、やがておにぎりの存在を思い出した。
「あげる」
「お前は話聞いていたのか! いいからさっさと帰れ!」
 なんだか一美にも同じようなこと言われたな、と不意に思い出す。ちょっと笑ってしまったのか、頭をぺしぺし叩かれた。花は怒ると殺傷能力の少ないぺしぺし攻撃が発動するよなぁとか思う。
「おーい、聞いているのか刻?」
「……眠い」
「だから帰れと――」
「やだよ。せっかくずっと待ってたんだ。君と全然話さずに帰るなんてやだ」
「……刻?」
 花の声音がなんだか恐々というか、焦ったような変な感じになってきた。
「お前……寝起き弱いのか? なんかいつもと違う……」
「うん、弱いよー」
「そうか……で、帰りたくないと?」
「うん」
「でも寒い?」
「うん」
「帰れ!」
「やだ」
 花が沈没した。膝をつき、四つん這いになって「何この駄々っ子……」と絶望した顔で呟いている。しかしやがて観念したようなため息があって、疲れた顔が上がってきた。
「わかった。もうなんか毛布とか取ってくるから待ってろ」
「いいよ、取りに行かなくて」
 ひょいっと花の脇に手を入れて持ち上げる。やっぱり軽いなぁと思いながらフリーズした花をクレーンゲームのようにあぐらをかいた膝の上まで持ってくると降ろした。
 そして抱き締める。
「あー、あったかい」
「………………なーっ!」
 耳まで真っ赤にした花が噴火した。両手を塞がれた花はわーだの、あーだの奇声を発している。うん、可愛い。
「なななな何、何をぉ、しとるぅ!」
「暖を取ってます、隊長」
「キャラ変わりすぎだお前ぇ! わざとか? それとも本気で素なのかあ!?」
「花は温かいねぇ」
 目を閉じて、その温もりに身を委ねる。なんだか安心する。
「……よ、良し。お、お前は面倒見良すぎだからな……た、たまにはいいぞ、こういうのも、な」
「やったぁ」
 上機嫌でランチボックスを引き寄せて持ち上げる。
「食べる?」
「……食べてやる」
 素直じゃない返答もやっぱり可愛いなぁ、と思いながら蓋を開け、花が取れる場所に置いた。
「お前は何個食べる?」
「僕はいらないよ。お腹空いてないし」
「……お前、ちょっと熱いぞ。体調悪いんじゃないのか?」
「あとちょっとだけ」
 多分この頭がぼやっとする感じはその兆候なのだけど、ここで帰ってしまうのはもったいない。花ももう諦めモードになっているのか、ため息一つ吐くとおにぎりを掴んだ。
「前回五つ食べたが一つとして同じ中身がなかったが――」
「今回も全部バラバラだよ。前回花が食べた味は外してあるから楽しんで食べてねー」
「……昨日おにぎりには拘っていると言ったが、凄いな。お前、一体いくつレパートリーがあるんだ?」
「ふふふ、内緒ー」
 花が身震いしたのがわかった。
「……慣れないな、甘えん坊刻は」
「そんな違う?」
「違う! ああもう……でなんか理由あるのか、おにぎりに拘る理由」
「好きだからね」
「それは聞いた。なぜ好きなんだ?」
 そこまでツッコまれるとは思っていなかったので思わず目をぱちくりさせる。なぜ、か。
「おにぎりってびっくり箱みたいじゃない? 食べるまで中身がわからないから。それが面白くって」
 ああでもそれだけじゃない。
 ぼやけた頭が記憶を引きずり出す。
「幼稚園の頃だなぁ、たまにお母さんが握ってくれたんだ。それがすっごいしょっぱくて、中身が毎回突拍子もないもので……でも、全部違う味だったの。それがなんだか嬉しくて――」
 楽しみだったんだ。ずっと。
 でも。
「でも小学校の遠足の時、おにぎり作ってくれるって約束してたのに朝になってもお母さんはいなくて、やっぱり仕事終わらなかったんだなぁって思って、仕方ないから自分で作ったんだ。でもなんか物足りなくて、あああのしょっぱさが良かったのかぁって試行錯誤してこのおにぎりになったの」
「……お前の母の味なのだな、これは」
「そうかもねぇ。もう作ってくれないし、帰って来てくれないからわかんないけど……来週帰ってくるって言ってたけど、きっとまた帰って来ないんだろうなぁ」
 約束破りの常習犯だし、たった二人の家族を喜ばせるだけのためにあの人が頑張るはずもないんだ。
 瞼が重い。花の絹のような黒髪に顔を埋める。
「お父さんもお母さんもたくさんの人のために働くから。僕と明日香はずっと寂しいを呑み込むの……どうせ言ったって意味がない」
 口から言葉が勝手に溢れていく。そうか、僕は寂しいのか。言っちゃいけないような気がしてずっと忘れていた。
 眠いな。なんだかとても温かい。
「なぜ怒らない、母に、父に」
「僕と違ってね、必要とされる人だからだよぉ、花」
「お前だって必要とされている人間だし、母と父がいくら他人に必要とされていようが、お前が必要とする親は――」
 花の声が遠い。風の音も遠い。
 温かさに包まれて、全てが溶けて消えた。
 また明日の声だけは、微かに聴こえたような気がした。


* * *


 あれ、いつの間に寝たんだろうか?
 ぽつりと浮かんだ疑問と共に、意識もじわじわ覚醒してくる。ここは、どこだ?
「……兄よ、申し開きはあるの?」
 一気に目が覚めた。非常に低く怨念のこもった声だった。
 僕はベッドに寝ていて、その縁に妹は背を向けて寄りかかっていた。
「な、なんだい、妹?」
「インターホンが鳴って、出てみたら兄が転がっていた」
「あ、花が運んでくれたのか」
 ん? だとするとだ。
 高校三年生の平均身長前後な僕を小学六年生の先頭に並びそうな花がおぶれるとは思えないし、担いでも引きずってしまうだろう。しかし引きずられたような痛みはない。つまり導き出される答えは一つ。
 お姫様抱っこ。
「何落ち込んでるの兄?」
「いや、流石にいくら花にでもそれは……うわー、恥ずかしい」
 いつの間にまた寝てしまっていたんだろうか。しかもなんだか恥ずかしいこともしゃべっていた気がする。何をやっているんだ僕は。
「……珍しいな、兄が恥ずかしがるなんて。天変地異の前触れかな?」
「大袈裟だなぁ」
「だって寝惚けておにぎりに塩を詰めて握った日、帰ってきてから『塩おにぎりのお味はどうだったかな?』とおちょくってみても『いやぁ、流石にあれはしょっぱすぎたね。見てたなら止めてよ、妹』と普通に返すし。いや本当に普通なら失敗を見られて誤魔化したり恥ずかしがるはずなのに、平然と認める兄は変だよ」
「変かなぁ」
 妹に普通について諭されるとは、これこそ天変地異の前触れだと僕は思うんだけどなぁ、と妹の様子を伺うと、妹は兄は変だという意見に感慨深げにしきりに頷いていた。酷い妹だ。
「まあ兄が変人なのは今に始まったことじゃないから置いといて。一体何があったのかな?」
 置いとかれたが、蒸し返しても分が悪いので僕も置いておくことにする。しかし何があったかと聞かれてもなぁ。
「友達を待ってたら寝ちゃって、起こされて話してたらまた寝ちゃってて、気がついたら家に帰されていたということしか」
「あほだな兄」
「確かに失態だとは思ってるけどあまりズバリ言わないで妹」
 呆れ顔でじと目を向けられる。立場がないなぁ。暫し寒風吹き荒むような視線に堪えていたら、やがてため息を吐かれた。
「まあ兄が間抜けなのも今に始まったことではないからね。しかし……なぜその『友達』はピンポンダッシュして兄を転がしたんだろうね?」
「さあねぇ、恥ずかしがり屋さんだからかなぁ」
 でもあれだけ家に来るのを拒んでいたのに運ばせてしまうとは……悪いことしたなぁ。我が儘がすぎた。反省だ。
「さて兄よ、はい」
「はい?」
 反射的に受け取ったのは体温計。
「一応計って。それから明日は学校休みなよ」
「大丈夫だよ」
「良し、訂正するよ。休め、兄」
 命令形になった。
 目が本気だ。無視したら酷い目に合わされるのだろう。
「兄が体調崩すと怖いんだ。だから学校は休め。それとも」
 剣呑に黒瞳を光らせ、妹は言った。
「また入院したい?」
「……したくは、ないな」
 頭を乱暴に撫でられる。よしよしとでもするように。
「なら大人しくしてるんだよ兄よ。お夕飯持って来るからそれまでに寝間着に着替えて」
 妹がすたすたと部屋を出て行った。
 また心配させたか、とため息が出る。わかっていて無理を押したわけだけど、これもまた失敗だったかな、と思う。
 ああ。
 明日、花にどんな顔して会えばいいかなぁ。


*****


刻が恥ずかしがってるのが可愛いですよね← というか甘えん坊な刻が可愛いです。自分で書いておいて可愛いとか自画自賛風になってしまいますが、まあ自分の萌えを書いてるんだからいいですよね別に←

妹の明日香もなかなかに過保護。あの兄にしてこの妹です。

冒頭の電話、さらっと流されてますがかなり重要です。『蒼天の真竜』の読者さんなら、この伏線やら三話の話もなんとなく察してくれるのではないかとちょっとわくわくしてます。

まあ、花刻は花刻でちゃんと説明していくのでこちらだけ読んでて大丈夫なはずなのでご安心を。

ではまた次回。

他人から言われたこと、結構気にする? ブログネタ:他人から言われたこと、結構気にする? 参加中

気にするというか、段々気になってきたりふと思い出すんだよなぁ。


と、久々にブログネタです。小説ばっかだったのでたまにはと思って。


好きなキャラとか言ってもらえるとなるべく出番増やそうとか、もっと弄ってやろうとか妙な気合は入りますねぇ。花ファンが増えるといいなぁとか思う。


ちょっと個人的なブームは過ぎたけど、やっぱり花好きなんだよなぁ、『花と刻』の。刻君も好きですけどね。微妙に今までのキャラとは違う感じがいい。鈍いけど優しくてかつストレート。基本にこにこだし、意地悪することもあるけど基本的に超お人好し。なかなか怒らないしなぁ。


でもなんか妙に癖があるからなんだろな。今までのキャラは直球馬鹿が多かったから、一応秀才で直球ってのが新鮮なのかもしれない。でも達観しているというか身の程を弁えてる感が子供っぽくないのかも。高校三年生だけどね、『蒼天の真竜』の紫蘭(21歳)より大人だよなぁ。まあロリコンだけど←


いつの間にかロリコンキャラになってシスコンがついて、天才がどっか行きました←

花も結局ギャップ萌え好きな作者により見た目は小学生、実年齢は中学生、精神年齢は?な子になりました。まあ可愛いからいいか← ワンピース姿の花見たいー。なぜか服はイメージできるのに花が着ているところが想像できない。だれか可視化して欲しい←


綺麗な長い黒髪に、意思の強そうなつり目。ちっちゃなお口に大福みたいな柔らかそうなほっぺた。カモシカの脚を思わせるような白く細い四肢。野性児ですよ。爛々と瞳を輝かせている様子ならありありと想像できます。うん可愛い← 結局私がロリコンなのかね←


てか前回のお話(参話)、せっかく桜出したのに花見してねー。いやでもああなってこうなった辺りで出せるか? 出せるならそっちの方がおいしそう……なんて計算で流れが常に変動しながら連載されているのが花刻なのです。最近略して呼ぶのが密かなブームなのです←

まあとにかく四話更新でまた会いましょー。多分←