ドラマの会話を抜粋し、解説しています。

ネタバレにご注意ください注意
 
前回からの続きです。

 

シーン変わって、3人の使用人達の目の前に杖をついた見知らぬ男が現れます。
 
男はジョン・ベイツと名乗り、milk train(牛乳が朝一で運ばれることから、朝一の電車)に乗って、新しく従者(valet)としてきたと言うと、メイドらは皆驚きます。
 
従者の仕事の中には、大量のスーツケース運びから時折の給仕、ダウントンアビーが上に3階地下1階の建物の為、膝が悪いと使えないとみなされたからです。
3階(使用人部屋と倉庫)
2階(クローリー家やゲストの部屋・浴室)
1階(ダイニング・書斎・応接室など)
地下(キッチン・食料庫・執事部屋・使用人食堂作業部屋など)

 

 

男と三人が使用人用の食堂兼休憩室のホールに移動すると他の使用人も集まって脚について懸念を口にする中、
執事のカーソンは平静を装います。基本、部下の前では冷静を保つ意識をしているようです。
 
Carson: I hope your journey was satisfactory?
こちらまでやって来るのに問題なかったと思うが?
 
journeyは車から電車、飛行機、船などを使った比較的長い移動です。
この当時は長距離移動といえば汽車なので、汽車での移動はよかったかな?の意味合いでも合っています。
 
・satisfactoryはgood or good enoughです。
形式張った(もしくは古臭い)言い方に聞こえるかもで、ビジネス含めた会話で使われないかもしれません。
 
Bates: It was fine. Thank you.
結構でしたよ。お気遣いどうも。
 
fineはすごくいいから、よい、少し、細かくなど、ちょっとよくわからない単語です。言葉の組合せや状況で意味を推し量ります。
 
挨拶においてはgood or enough goodでまずまずでした、というニュアンス。
 
Carson: I'm the butler at Downtown. My name is Carson.
私がここでの執事をしているカーソンだ。
 
Bates: How do you do, Mr Carson.
初めまして、カーソンさん。
 
How do you do=please to meet youで初対面の挨拶に使われる言葉で質問ではないです。
 
かなりフォーマルな表現で、それを昔日常的に使っていた年配向けだったり、公式の場で国王とかが 挨拶に使うやつか?くらいかもの表現です。
 
カーソンは仕事の引き続きに関わるトーマスを紹介します。
 
Carson: And this is Thomas, first footman. He's been looking after his lordship since Mr Watson left. It'll be a relief to get back to normal. Won't it Thomas? 
そしてこちらがトーマスで、第一従僕。ワトソンさんがいなくなってからは旦那様の世話を務めていた。通常に戻れて一安心だな、トーマス?
 
トマスは返事の代わりに一瞬微笑んで同意をします。カーソンはヒューズに向かって確認します。
 
Carson: I assume everything's ready for Mr Bates's arrival?
ベイツさんの到着に合わせて準備はできてると思うが?
 
Hughes: I've put him in Mr Watson's room, though he left it in quite a state, I can tell you.
ワトソンさんの部屋にしましたよ、酷い状態でしたけど、まったく。
 
putはここではarrange/place his room
 
・bein/get into a stateは緊張した、不幸な状態から、ここでは散らかった。
 
・I can tell you が後ろにきたら前の文を強調。
 
Patmore: But what about all them stairs?
でも階段はどうなの?
 
themは本来ならthoseで、当時の労働者階級間の普段使いの表現。
 
シーン飛んで、トーマスはベイツに仕事の引き継ぎを早速しますが、不満そうな顔です。ベイツから離れ、廊下にいたオブライエンに話しかけます。
Thomas: I can't believe I've passed over for Long John Silver.
のっぽのジョン・シルバーのせいで俺が無視されたなんてありえない。
 
Long John Silverは小説『宝島』に出てくる形足を無くした男です。longは背が高かったことからのあだ名。訳すと『のっぽのジョン・シルバー』でしょうか。
ハンサムで長くダウントンアビーで務める自分ではなく、どこの何者かわからないまともに歩けないゴロツキみたいな男に仕事を取られたと揶揄してます。
 
ロング・ジョン・シルバーは小説を読んでないとわからない内容です。わからなくても役者さんの上手な演技で、あ、悪口だな、とはわかりますが、私は何のことか気になるタイプなので結構調べるのが大変です不安

 

 

ここでダウントンアビーでの男性使用人の役割について少し説明します。
ミスター・カーソンは執事/the butlerです。
 
ダウントンアビーでの執事は19世紀後半からの20世紀初頭にGreat House (大きな邸宅)を管理する役職です。
 
カーソンはクローリー家とその客への対応、高いお酒や銀食器から男性使用人の管理を主に行っているようです。
 
The (high/certain) standards (格式 :その家での質)にこだわり、使用人らは名家でのstandardsからかけ離れた農家出身が多いので、執事は教育に厳しいです。
 
ミスター・ベイツは従者/the valet
 
執事が従者を兼ねる場合もありますが、クローリー家の当主ロバートには専属の従者がいます。
 
従者は主人の身だしなみに関しての管理で、服の用意、靴やカフスボタンなどの装飾品を磨いてますが、ロバートがずっと家にいると結構暇そうにしています。
 
ちなみに"従者"としてのvaletはダウントンアビー時代の意味。
発音も、ダウントンアビーでは [Val-it/Val-ett]
 
今のvaletの発音は[ˈvaleɪ] です(最後tを発音しない)。
 
発音がなぜ従者だと [Val-it/Val-ett]なのか、諸説によれば、
 
フランス語のvalet [ˈvaleɪ]は(貴族の)若者的な意味で、一方、ケルト語かゲロ・ローマ語の似た言葉valet(従者)だったので発音でどちらかを区別したとか。
 
イギリスで19世紀に発音変化したので、アメリカでは従者の発音は[ˈvaleɪ]のままです。
本当かどうかもわからないですが、ややこしいですね知らんぷり
 
またvaletの現代の意味では、
アメリカではホテルなどで駐車する人、
 
イギリスでは車の掃除をする人を指します。
 
次はfootman
左がウィリアムで右がトーマス。
従僕/footman
 
給仕と荷物運び、イベントに置ける家具の移動、その他あらゆる家の雑事に従事。
上下関係に細かく厳しい為、the first footmanのトーマスは権力を振りかざして気に食わないウィリアムをこき使いいじめます。
 
ブランソンはお抱え運転手/the chauffeur
 
運転手らは車の修理やメインテナンスをメカニックとしての技術も必要とされ、一目置かれてもいたようです。
 
また、家の人間から客人の送迎もしているので、ドアの開け締めのマナーや綺麗な制服が必須。
ダウントンアビーでは家の中の使用人達とは別の場所で食事したり過ごしているようです。
 
ちなみにシーズン1において、クローリー一家は馬車と自動車の両方を移動手段にしています。
 
・カーソン・ベイツ・ブランソンは、ミスター・カーソンなどミスター+名字呼び。
 
・トーマス・ウィリアムは、名前呼び。
 
今日はここまでです。少しでもドラマをより楽しむための英語理解のお役に立てればですにっこり
 
続きは下矢印からでも読めます。