アメリカのLAを舞台にした三家族がおりなす人気シットコム(コメディドラマ)、モダンファミリー 前回↓からの続きです。

 

 

これより以下はドラマ内容ネタバレになるので、注意してください注意
 
今回はHaley(↓左)が電車のバーに一人やってきて、そこにいたかなり年齢が高めの男性(↓右)に気軽に話しかけます。
Haley: Hi. I'm Haley.
こんにちは、Haleyです。
 
Hastings: Pleasure. I'm a massive fraud.
どうも。私はとんでもない詐欺師だ。
 
通常名乗られたら名乗り返すのが礼儀ですが、紳士なはずのHastingsは礼儀よりも自分の取り乱している状況を伝えています。
 
取り乱した原因については↓です

 

Haley: Sounds like you need a drink.
お酒の力がいるみたいね。
 
Hastings: I'm not sure that's a good idea. I used to have something of a --
それはどうかな。前に--
 
Haley: Oh, come on. I feel weird drinking alone.
いいでしょ、私は一人で飲むのは好きじゃないの
 
ここでHaleyのみの映像になります。
Haley: I don't. I just wanted him to pay.
そんなことはないけどね、おごってもらいたかったの。
 
欧米でも、男性が女性の為にお金を払う機会がありますが、同性同士の他、店から
on the houseと言って新規顧客やなじみにも一杯おごる場合もあります。
 
また、今回のように逆ナンではなく、おごってもらう為だけに女性の方から話しかけることが日本より多いようです。
 
その場合は若い男性の方が断る確率があり、おごってもらう確率を上げるため、Haleyは年上のHastingsに声をかけた可能性が高いです。
 
Hastings: The last time I was this bladdered, I parked my fist right in Salman Rushdie's smug gob.
前に今くらいベロベロになったときに、Salman Rushdieのむかつくニヤケ顔の口に右拳を見舞ってね。
 
このセリフもすごくBritish Englishで、アメリカ英語に置き換えてみると、
"The last time I was this drunken, I punched Salman Rushdie right in the smug face."
 
・bladderは膀胱ですが、自分が膀胱いっぱいになるくらいお酒が体の中にある→酔っ払った、です。
 
this bladderdのthisは話し手の現在の程度や状況を説明する場合に使われる表現です。
 
・parkは動詞では車を停めるように何かをどこかに置くから婉曲で殴る。
 
・Salman Rushdieは実在する知る人ぞ知る作家の名前ですが、Haleyはまず本を読まないので知らないようで流しています。
 
・smugは自己満足+相手を下に見るたにた、嫌なドヤ顔。
似た単語にsmirkもニヤッとしたしたり顔ですが、smirkのほうが悪意は少なめのようです。
 
・gobは口で、実際口じゃなくてほぼ頬だったとしても、口というのが表現として好きなようです。
同様に、アメリカだと、顔にパンチだとpunch in the faceで、right を加えることで顔の真ん中の鼻となり、イギリスと痛いの場所の表現が若干変わってます。

 

 

 

(Haly chuckles)
 
chuckleは口を開けて笑うけれど、大きな声を出す程ではないです。smile<chuckle<laughの順で笑顔の表現が強くなります。
実際のHaleyはハハッと乾いた笑いです。
 
Haley: Do you know Adele?
Adeleに会ったことある?
 
アメリカ人からすると、イギリスは土地が小さいので、歌手のAdeleのような有名人に出会う確率が大きいと思うイメージがあり、このような質問をした、というジョークです。
 
イギリスでナイトの称号をもらっているそれなりに有名な作家のSalman Rushdieを知っている人がこの場面を観ていたら更に面白いセリフです。
 
つまんない話を聞かされつつもお愛想のchuckleをし、奢ってもらう為に会話を続けようと自分の気になっていることを訊ねるHaleyは、今どきの無遠慮で学のない女の子のイメージが上手く表現されています。
 
そこへHaleyの父Philと親戚のCamが心配してやってきます。
Phil: Oh. -There he is. -Hey. Just checking in. 
ああ、そこにいた、どうも、どうかなと思って来ました。
 
check inはホテルにチェックインする以外にも誰かが問題がないか念の為確認するという意味で使われます。
 
Cam: Hi. Ooh, celebrating solving your problem?
どうも、おや、問題解決してお祝い中でしたかね?
 
celebrateはいいことがあったあとに祝うことで、大人だとお酒を飲むことが多いので、お酒を飲んでいる姿を見て言っていますが、どう見てもやけ酒なので軽いジョークとして言っています。
 
Hastings: After 10 years of paralyzing writer's block, I at last felt that I was drinking directly from the teat of the muse. But she was no muse. She was a succubus.
10年のうんともしないスランプから抜けてようやく、女神の乳房にむしゃぶりつけたと思っていた。だが女神じゃなく、ただの淫魔だった。
 
paralyzing writer's blockは一見writer's blockをparalyzingしているようですが、paralyzingはwriter's blockの形容詞として使われています。これば文脈で判断のようです。paralyzeは身体や脳(心)などの動きを止めることです。
 
・blockは障害からのスランプ。
 
・teatは乳首。
 
・drinking directly from the teat of the museは文学的表現で、
お腹を空かせた赤子が母親の胸に直接口を当ててごくごく母乳を飲むように色んなアイデアやトリックが頭の中に激しく入ってくる様子です。
 
これだけだと作家の何かが降りてきてスラスラと書けた、になりますが、その後に女神がsuccubus(淫魔)だったというのに繋げている表現です。
 
ちなみにsuccubusは欧米では認知度かなり低いです。
 
Phil: Such a gift for language.
なんて素晴らしい言葉の才能なんだ。
 
Hastings: At the next stop, I'm going to burn this book.
次の停車駅で、この本を燃やすよ。
 
Haley: That is bad-ass.
かっこいい〜。
 
Cam&Phil: No! What?
駄目だよ!なんだって?!

 

 

 

Hastings: Yes. It will be the last act of my career. Well, not counting the panel discussion in Portland. It would be rude to cancel. There's a wine-and-cheese reception.
そうだ、これが作家としての最後の務めだ。(今この電車が向かっている)Portlandでの会は数えないでおこう。キャンセルするのは失礼だからね。チーズとワインのパーティーがあるんだ。
 
panel discussionは何か知識を得るため、有識者を集めてその話し合いを聞いたり、一緒に話し合いに参加したりする集まり。
 
・reception はフォーマルなパーティー。
 party自体は友達間のカジュアルな家飲みから幅広い集まりで使われます。
 
Cam: You have to finish.
書かないと駄目ですよ。
 
Phil: What if we proved it could happen? Maybe there's another way for the murderer to get to the caboose and back.
実際殺人が可能と証明できたらどうですか?殺人犯が車掌車から戻るのに他の方法があるかもしれません。
 
Hastings: I've filled the train with characters who cannot know that the engineer has left his post. (brakes squealing) It's hopeless! Wait. Did we just stop?
機関士の殺人犯が車掌車を離れたことを気づかない登場人物たちが電車内のあちこちにちらばっている。(ブレーキ音がして)もうどうもできない。ん?電車停まった?
 
Phil&Cam: No. I don't think so. No. Mnh-mnh.
いいえ、まさか、停まってないですよ。
 
(Phil imitates train chugging)
Philは電車の動いている音を真似る。
 
(Cam imitates train whistle blowing)
Camは汽笛の真似をする。
 
今日はここまでです。少しでも英語理解に役立てば幸いですにっこり