今回はマイリー・サイラスの『レッキング・ボール』の解説です。

2013年発表の超有名曲とのことですが、最近scars on 45 からのカバー曲から知りました。

そちらも素敵なのでよければ以下 YouTubeでも聴いてみてください↓照れ 

ネイティブと何人かと話して、私がなるほどと思った内容で解説します。

各ネイティブで意見が結構違うくらい抽象的な表現なので正解はなく、参考程度で読んでいただければです。

また、マイリーサイラス自体の当時のプライベートからはできるだけ引用せず、歌単体として訳しています。

  Wrecking ball / Miley Syrus


YouTube 映像は以下です↓


We clawed, we chained, our hearts in vain
痛いくらい一つになって離れられないのに、私達の心はうまくいかなかった

clawは動物のするどい爪を使って傷つけるという意味もありますが、他にも爪がのめり込みそうなくらい強く何かを握る・掴まれるという意味もあり、感情の強さ・激しさを表現しています。

chainの動詞としては、鎖を使ってしっかり固定するから、離れないと訳しました。
in vainは成功しないこと、結果がでないこと。

ここの訳はネイティブ間でも色んな解釈があり、その中でと、他の和訳で多数意見にある、傷つけ束縛し合ってという訳があります。

英語の単語には様々な意味があったりして、その解釈でも合っていると思い悩みましたが、節のバランスを見て、付き合う前も付き合ってる最中も強く惹かれ合う状態なのに、なぜかうまくいかなかった二人をイメージして上記の訳しました。

本当に正解の解釈はないですニヤリ


We jumped, never asking why
お互い考えなしに衝動的に


jump to the conclusionという言葉があるように、確認や手順を踏まずいきなりに行動したりして、大抵後であんなことやらなければよかったと失敗に終わる、ややネガティブな意味合いとして今回のjump は使われているようです。


We kissed, I fell under your spell

キスして、あなたの魅力に縛られた


fall under one's spellはspell というと、魔法の呪文ですがそこから、理屈ではなく魅力や何かしらの強い影響で支配される、行動などを制御されるという意味です。

あまり日常会話では使われないかもですが、ドラマに出てきました。
(ダウントンアビーS4E7より)
やたらとモテる姉メアリーに落ちない男がいたことに対して、妹イーディスが、
Edith: Mr Brake isn't under Mary's spell.
ブレイクさんはメアリーの魔力にかかってないみたい。

(みたいという英語表現はないですが、文脈で訳してます。)

A love no one could deny

誰にもこの愛する気持ちを否定できない


My lovethis loveではなく、a loveなのは、日本人にわかりずらい英語特有表現の一つ、冠詞のある無しによって意味やニュアンスが変わるものです。


他にも過去現在未来にあるのたくさんあるlovesの中の、このa love だけは本物だと訴えています。


それ以外にも、aとすることで聞き手のloveともよめ、聞き手と共感ができたり、音の響きで選んだかもしれません。

Don't you ever say I just walked away

簡単に去っていっただなんて言わないで


I will always want you

これからもずっとあなたを思っている


I can't live a lie, running for my life

偽ることができないから、離れるしかなかった


live a lieは何かを偽って生きる。

何かしらの理由で付き合い続ける限り、自分の気持ちに嘘をつかないといけない状況に陥っていたことを示唆します。

run for one 's life は大きな危険が迫っていて、生き残る為に死にものぐるいで逃げるという意味ですが、この場合は、そこにいたら自分の為にならないから一生懸命走った→上記の訳にしました。

I came in like a wrecking ball

巨大な鉄球を振り回すような(人を傷つける)恋愛だった


wrecking ballMileymusic videoを見てもらうと一目瞭然ですが、ビルの解体に使うものです。

ただの大きな鉄球という意味ではなく、ブンブン振り子のように振り回して硬い壁や鉄筋をぶち抜くもので、二人が破壊的に激しい関係になったと伝えています。

come in は中に入るから、色んなシチュエーションで使われます。Mileyが入ったのはお付き合いの中に入った→恋愛をした。

ここは日本語にすると本当に格好悪いんですが、鉄球をイメージしないとこの歌の良さがないので鉄球残しましたチュー


I never hit so hard in love

こんなに激しく人を愛したことはなかった


hitはここでは自動詞で主語がhitした状態になっています。


All I wanted was to break your walls

あなたの心の壁だけを壊したかった


wallsと複数形で、日本人との感覚の違いで4枚の囲まれた壁をイメージして、複数形です。


All you ever did was wreck me

あなたにはめちゃくちゃにされただけ


wreckは船やビルなどが壊れるで、destroyに置き換えても意味は同じですが、音の長さと響き、大きくて丈夫なものを壊すイメージ。
wreckの方が破壊の程度がより酷いともいえます。
大人からすると大げさにも聞こえる、繊細で脆い成長期の若者達が感じる気持ちをよく表現しています。

Yeah you, you wreck me

ええ、あなたに、ぼろぼろにされた


wreckが現在形ですが、過去を思い出しては傷ついて、今もその傷を引きずっているという意味とも、前のAll you ever did was wreck meの一部省略ととってもいいですし、もう会ってもないけれど、にもとれます。とにかくこれ以上なくめちゃくちゃ傷つけられたといいたいようです。

I put you high up in the sky

高く空へ上げるように大切にしたわ


これ以外にも put you someone on a pedestalで誰かを盲目的に崇めるという意味があり、高い位置に相手を上げることで尊敬する・大切にするなど色んなニュアンスに派生できます。

また、ここからAnd now, we're ashes on the groundまでについてはギリシャ神話のダイダロスとイカロスの話を少し引用しているかもです。


And now, you're not coming down

今だにそこから降りてこようとしない


now とありますが、詩的には付き合っている当時のことともいえたり、そこから別れた後の今も動いていないともいえます。
降りてこないというのは、調子乗っていて、相手を見下したりもしていたかもです。

It slowly turned, you let me burn

ゆっくりと変わって、疲れ果てされられた


itはネイティブ間でもわかりにくいようで、文脈で二人の恋愛関係、もしくは尊敬する関係性ともいえそうです。
burnは燃える以外にも、完全に破壊されると言うただ壊すより酷い破壊の意味もあり、限界をこえて完全燃焼、もしくは燃え尽きた状態になったようです。

日本人的には何でいきなり火?なんですが、イカロスの話と、英語の表現の一環として燃える=とことん破壊のイメージ、もしくは怒りの激しさを表し、この後も火関係表現がきます。

And now, we're ashes on the ground

今地上にあるのは、二人の思いの燃えかすだけ


いきなりwe'reで私達?とマイリーだけでなくて?なんですが、ここも答えはなく、灰になる前に何かがあったのではで、何があったかは前後の節の内容かもしれません。


I came in like a wrecking ball

鉄球を振り回すような激しい愛に


Yeah, I just closed my eyes and swung

ただ目を閉じて思いっきり放ったの


若さゆえか未熟さゆえの選択か。こらえきれず衝動的とも言える感情がギュッと詰まって伝わってきます。

日本人的にいうと、吉と出るか、凶とでるか、南無三、という感じで目を瞑って思い切った行動を取ったようです。

Left me crashing in a blazing fall

激しく燃え落ちて、ぶつかり砕け散っていく私を置き去りにして


leave object ing objectingの状態でいるのをそのままにする、放置する。

ing なので今目の前で真っ赤に燃えさかり地面にぶつかって大きな音を立ててバラバラになっていくイメージが見えます。
blaze は激しく燃え盛る炎以外に、スラングで怒りという意味もあります。

鉄球をぶん回した歌い手がまさかの落下と破滅驚き

激しい混乱・恐怖・怒り・荒廃・喪失と、見捨てられた相手への絶望が7語だけでものすごく表されています赤ちゃん泣き


I never meant to start a war

争うつもりなんてなかった


I just wanted you to let me in

受け入れてもらいたかっただけ


And instead of using force

無理やりするんじゃなく


force は人にゆうことを聞かせるくらいの強い力です。

I guess I should've let you win

折れていれば違う道があったのかな


I let you win は実際私は勝ったけれど、手を抜いてわざと負けるの意味。
そこに自信はないけどそう思うの、のI guessの文脈から、
あの時はああする以外考えられなかったけれど、今過去を振り返ってみると…という感じで訳してみました。

ボロボロにはされたのに、勝ってはいたなんて、一体どんだげ激しいケンカをしてたんですかねガーン

以上です。冒頭でもお伝えしたように、この歌の解釈に正解はないです。少しでも英語を理解してこの曲を楽しんでいただけたらですニコニコ

下矢印も解説してみました