109シネマズ川崎で映画「日本でいちばん長い日」を観るの巻 | 乾パンのブログ

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今日はJR川崎駅西口にある109シネマズ川崎シアター4まで、

映画「日本でいちばん長い日」を観に行きました映画

18:50分開映。


原作は半藤一利さんの「日本でいちばん長い日」、監督は原田眞人氏。

「日本でいちばん長い日」と言えば岡本喜八監督の映画が有名ですが・・・




実は言いますとあまり期待していなかったのですが、思っていた以上に楽しめました音譜

これはアレですね、岡本監督版映画とは原作が同じというだけで全く別物の映画ですな。


岡本監督の演出は原作に比較的忠実で、ノンフィクション風味の群衆劇だったのですが、

原田監督版は阿南惟幾陸軍大臣を中心にした個人ドラマでした。


更に言えば、鈴木貫太郎総理大臣、昭和天皇、阿南陸相のドラマと言いますか・・・

岡本監督版ではポツダム宣言発布を発端に終戦時の24時間を描いた正に「日本でいちばん長い日」だったのですが、今回の映画では重臣会議における鈴木首相推薦からはじまってますからね。


見終わった第一感は・・・阿南陸軍大臣(役所広司)が良い人として描きすぎだなぁってことビックリマーク

実際の阿南大臣の終戦時の言動はいろいろ曖昧で真意は今でも、そして永遠に

分からないまま亡くなったようだし。


一方、東條英機元首相は阿南陸相の意に反して本土決戦に固執する「悪人」ですな汗

あまりに類型的だと感じたのですが、この辺りは外国(アメリカ)での公開を意識した演出かもしれません。


それから昭和天皇(本木雅弘)の大々的な映像化には驚きました。

平成生まれの方々には理解しがたいことかもしれませんが、

かつて昭和天皇をTVや映画等の映像に公然と描くことはタブーだった。

この辺りの原田監督の思いはパンフレットのインタビューに書かれている通り。


私もロシア映画「太陽」を劇場で観た1人でして・・・イッセー尾形演ずる昭和天皇を見て驚いたもんでした。

お茶目でユーモアとペーソスとシニカルに溢れた昭和天皇は・・・外国人監督だからこその表現だな、ってね。

でも平成も27年経て、昭和天皇もやっと歴史上の人物になったんだなぁと感じました。


モックン(シブがき少年ラブラブ!)の昭和天皇は、我々の(私の)イメージする昭和天皇そのまんまでビックリ!!

でも昭和天皇の終戦時の「役割」も微妙であり、なかなか難しい問題でもあります。

ある意味、この昭和天皇の描き方も類型的じゃないかはてなマークと思ったりまします。




まぁどうしても岡本監督版と比較してしまうのですが、岡本監督の描いた「日本の~」は上記したとおり、

ドキュメンタリータッチで、各個人にまで踏み込んで描かれていません。


終戦という日本の一大事の24時間を舞台として、その中で自分の役割を演ずる役者達・・・

なんかさ・・・岡本監督は一歩突き放して各キャラを描いているように感じるんです。


その中でも、原田監督の思い入れは阿南陸相・昭和天皇・鈴木首相達なのですが、

岡本監督の思い入れは宮城事件を起こした青年将校達なんですねぇ。


この差は如何ともし難いと言いますか・・・陸軍予備士官学校の学生として終戦を迎えた

典型的な「戦中派」だった岡本監督にとって、青年将校達には心情的というよりもその情熱や狂気には

シンパシーを感じたのではないか!?と、思えてしまいます。

これが世代の違いなんでしょうけどね。


ココ でも述べましたが、現在では戦時中の将兵達の雰囲気を再現するのは不可能だということも

よく分かりました。

一挙手一投足と言いますか、「捧げ銃」にしても戦後20年しか経ていない当時にとって、

多くの役者・スタッフが兵役や軍事教練経験者でしたから、骨の髄まで叩き込まれたモノだったと。

そりゃ年季が違います。


汗で滲んだ軍服を着て自転車で駆け回る青年将校達・・・

これは当時を知る人しか表現できないのかなぁはてなマーク

今回の「日本の~」ではむしろ秋風の清涼感すら感じてしまう青年将校達でした。


「愚者は経験に学ぶが、賢者は歴史に学ぶ」という「便利な」諫言がありますが、

やっぱり経験って、何事にも代え難いってのも確かですし・・・


私の両親もまた戦前生まれであり、終戦時の東京の状況を今でも聞くことが可能です。

でも10年後は・・・

経験が歴史の波に飲み込まれる(現代人が自分の都合の良いように過去を解釈する)というのは、

当たり前なのですが、残念なことだということも言えます。