爺様ごめんなさい。
私は爺様に言えない秘密を持ってしまいました。
秘密を持ってしまったことは後悔してません。
でも、そのことが私の護衛としての判断を狂わせたのなら、
もし、そのことが若の主君としての行動の枷になったのなら、
私はやはり浅はかだったのでしょう。
左腕よりも若を失った痛みのほうがどれだけ身をさいなんでいるか、
若のもとへ馳せ参じることのできない身体がどれだけもどかしいか、
私が何も言わなくても、それでも
爺様はわかってくれているでしょう。
若を、止められなかった。
若を、守りきれなかった。
後悔するべきは浅慮か力不足か。
頬を張られた痛みより心に刺さる言葉。
「腕、ないのか」
そんな顔をしないで。
爺様の思いを裏切るようなことをしたかもしれないのに、
爺様の涙に応えて一緒に泣けるいい子ではないのだから。
爺様ごめんなさい。
私はこの秘密とともにこれからを生きていきます。
若との約束だから。
何としても離れないための約束だったのだから。
だから、私は若を取り戻す。その為に生きる。
忠義でなく私心で、あの魔窟の連中から若を取り戻す。
爺様、そんな決意を爺様に話せないのはわかるでしょう。
だから、爺様ごめんなさい。
あとがき
16巻のフー爺とずっと目を伏せているランファンを見て浮かんだ妄想。
護衛としての失態もあるけど、フー爺に顔向けできない別の負い目が
あったのでは?それはやっぱり若との、えーとごにょごにょ・・・・
ということなんじゃないかなと。