現役書店員芸人カモシダせぶんの
日曜に、一冊、読んでほしい本
今や松竹の看板芸人の1人、ヒコロヒーの短編恋愛小説集
黙って喋って
生々しく、だけどウェットじゃない。心の奥にさっと入って、しばらく心をぐるぐる掻き乱す。そして至って真面目で、ろくでもない。そんな話たちでした。良かったです。
皆さんも読めば読むほど自分の人生のいろんな場面を思い出しますよ。
個人的に好きだったのが「しらん」「紙ストローって誰のために存在してんの」「問題なかったように思いますが」
「しらん」
芸歴そこそこ行ってる芸人と付き合ってる女性の話、この話は朝日新聞webの連載時に読んでめちゃくちゃ精神的に食らったのを覚えてます。売れてない中堅芸人でこれ食らわないやつ絶対いません。売れてるヒコロヒーにこれ書かれちゃ敵わないです。久しぶりにまた食らった。
「紙ストローって誰のために存在してんの」
いいタイトル、基本的にタイトルは短編の登場人物たちのセリフから取ってるんですが、これは特にハイセンス。紙ストローで飲んだ時の嫌な感じが、自分の旦那に対しての違和感に繋がってくる構成が良かったです。
「問題なかったように思いますが」
これはこの小説集の中では珍しく恋愛メインの話ではなく「勇気」の話でした。とても良かった、聡明さと勇気と、ダメすぎる職場の描写がたまらなかったです。今これ書いてる時に気づきましたが【全力!脱力タイムズ】でコンプライアンス委員会でのヒコロヒーのセリフっぽくもあるタイトルだなこれ。
あとがきでヒコロヒーが「ろくでもない話」と書いてましたが、恋愛なんで全部ろくでもないもんだと僕は思ってます。ろくでもある恋愛があるなら教えてほしい、その中のろくでもない部分を必ず見つけ出すし。
皆さんがヒコロヒーを面白いと思う部分、好きだと思う部分、この小説集に色濃く刻まれてます。是非。
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2/18(日)
「ヤッタレ」
会場 渋谷ばくちか
開演 19時
チケット 1000円