現役書店員芸人カモシダせぶんの
木曜に、一冊、本の話を
今回は、朝井リョウの長編
正欲
とある人物のメッセージから始まり
場面が変わり、ある事件のネットニュースをどん、と読まされ
そこから各登場人物の話に入っていく群像劇。
普通とはなんだろう、社会とは、生きるとはなんだろうと、さまざまな立場の人間が考えていく。
読んでて常に「自分が他人を見てる目はどうだったろう」と考えさせられます。あと世間においての自分の立ち位置も。
最後の1ページ常時問いかけられてる様な、あまり無い読書体験でした。
外れてる人は除外すべきなのか、受け入れるのか、理解できるのか、そもそも関わって向こうは良いと思っているのか
向こうとはどこなのか
まぁホントこんなに考えるのにストーリーがきちんと頭に入ってくるのは凄い。作り込まれてる。
文庫版、臨床心理士の東畑さんの解説めちゃくちゃ良かった。この小説の捉え方をまさしく解説してくれてる。是非ここまで読んでほしい。
「立場」によってこの小説の感想は変わると思います。
僕が読んで思ったのは
芸人になって良かった。です。
外れていても受け入れられる、外れてることが評価される。しかも、例えば周りにハマってなかったとしても
お前は芸人じゃない、とまで言う人もほぼいない。
凄い社会だなと思ってます。人間じゃないと言われる芸人さんは結構います。
そんな人たちが沢山いる。仲間もできる。芸人社会があって良かったな、と外れてる僕なんかは心から思います。
めちゃんこ売れてるし、映画も評判いい。皆この作品に触れて、考えてるんだろうなぁ。
再来月、朝井リョウさん、高校ビブリオバトル全国大会のゲストでご一緒します。話せるのが楽しみです。
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