カモシ賞 2020(カモシダベストリード大賞) | カモシダせぶんの、日々の文

カモシダせぶんの、日々の文

松竹芸能のピン芸人、カモシダせぶんです。本屋と図書館が好き。そんな僕の、ブログです。僕を、知ってる人がいたら嬉しい。好きな小説家は詠坂雄二。好きな歌手は後藤まりこ。好きなダンは、モロボシダン。

毎年、週二で僕が読んで面白かった本の感想をこのブログに載せてます。

更に年末はその中でも、その年特に良かった10冊(出版された年は今年以外のも)と、その中から一番良かった本を紹介する。

カモシダベストリード大賞を発表してるんですが

名前長いなー、と思いましてTwitterで改名アンケートを取ったところ

今年からこの企画の名前を「カモシ賞(直木賞のイントネーションで)」に変えました。以後、よろしくお願いします。何かしらこれもネットで話題になって欲しい。


さて、今年の10冊の前に、過去のカモシ賞受賞作を


2011年 文体練習(レーモン・クノー)


2012年 遠海事件~佐藤誠は何故首を切断したのか~(詠坂雄二)


2013年 いつまでもショパン(中山七里)


2014年 ほんとのおおきさ赤ちゃん動物園(学研)


2015年 神の子(薬丸岳)


2016年 もっと負ける技術(カレー沢薫)


2017年 T島事件〜絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか〜(詠坂雄二)


2018年 一〇年代文化論(さやわか)


そして去年2019年は


熱帯(森見登美彦)


今年は、四畳半タイムマシンブルースもあって、森見登美彦の勢いはまだまだ止まりませんね。

コロナ落ち着いたらまた京都も行きたいなぁ。

そう、今年はコロナの年、またお家タイムが増えそうな今日この頃なので、このブログが皆さんの読者の指針になれば良いな…

さぁそんな2020の10冊、こちらですっ。

かがみの孤城(辻村深月)


すみれ屋敷の罪人(降田天)


ボダ子(赤松利市)


流浪の月(凪良ゆう)


暗鬼夜行(月村了衛)


ハイパーハードボイルドグルメリポート(上出遼平)


生命式(村田沙耶香)


首里の馬(高山羽根子)


ティンカー・ベル殺し(小林泰三)


サイバー・ショーグン・レボリューション(ピーター・トライアス)


ですっ。

例年よりやや分厚め、激しめかもしれません。女性作家さんも多い。中には初めてテレビで紹介できた本もあって、嬉しかった年ですね。

さぁ、そんな訳で、今年のカモシ賞は…


と、その前に、近年恒例のベスト短編を


今年のベスト短編はーーー。


村田沙耶香「生命式」より、表題、生命式ーーー。


葬式が廃れ、亡くなった方を食べる式、そしてその後参列者は生殖行動に及ぶ。そんな生命式が葬式よりもメジャーになった日本の話。

ぶっ飛んでいるし、食と性と生が強く、バランス良く合わさったお話でわかりやすいのに読んだ後、自分で考える時間が楽しめる素敵な短編。

生命式は本当に凄い短編集で全部良かったんですが、特にこの表題、そして「素晴らしい食卓」「孵化」が良かったですね。

カモシ賞ノミネートからそのままベスト短編が出てきたのは初。これはどうなるのかっ(と思ってくれる人がいたらいいな)

さぁ、それでは発表いたします。

2020年の、カモシ賞は…


ダラララララ(ドラムロール)


ダラララララ



ダラララララ



ダラララララララァ


ダン!(今年はジョジョ必殺技風ドラム)


赤松利市「ボダ子」


311で仕事が激減し

復興ビジネスに乗っかろうとした男、彼は境界性人格障害を持つ娘を連れて東北へ…という話。

デビュー作藻屑蟹も凄い好きだったんですが、ボダ子の濃さは本当に、今まで読んだどの本でも感じた事が無かったです。

主人公、全然共感できないほどのクズ、だけど、目を背けられない。それは彼があまりにも飾りがない剥き出しの人だから。

変な言い方ですが、剥き出しの人間を見てると、人間ではなく「虎」のように思えてきます。それは別に彼が度胸があるとかではなく、卑怯な手を使っても、ただ自分の幸せを願っているから、そこに危うさもある。臆病な虎です。


こんな気迫のある小説を書く赤松さん自身が、東北での復興事業に参加しているので、そこでの経験を文字通り全身全霊で小説にぶつけてる訳です

また、そう言った稀有な経験をしてるからこそ、エッセイで表現されてる事を、更に小説では「濃く」して昇華されてる、それが本当に凄い。


目を背けてしまうノンフィクションの題材に、目を向けさせる事が赤松利市小説の好きなところです。

共感を拒否した、この作家にしか書けない小説、是非とも。


因みに最後まで迷ったのは「ハイパーハードボイルドグルメリポート」テレビ東京の同名番組ディレクター上出さんの著書。

この本も「世界のとんでもない人達はどんなご飯食べてるのか」がテーマ。僕が今年1番ハマったテレビ番組。

ノンフィクションの見せ方を、テレビとはまた違う視点で書籍版で書かれてる。テレビカメラの裏側はこうだったんだという驚き。

今まで見たノンフィクション本の中でも指折りの本です。

二回目になりますが今年1番ハマった番組です。今月29日に特番で新作ありますので是非こちら見て欲しいです。


今年は、経験した出来事を、どう作品に昇華してるかというのに注目してたな…

自分も経験をネタや、フリートークに、より濃く活かしていきたいです。

来年も週ニで本紹介するのは勿論ですが、そろそろ


週一になっちゃうぐらいは忙しくなりたい…いやほんと言うと

書店スタッフ辞めるぐらい売れたい…

頑張ります。絶対本は読み続ける。来年もひとつよろしくお願いします。