母の思い出と柚子胡椒 | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


柚子

写真は柚子(ゆず)。

「桃栗三年柿八年、梅は酸い酸い十三年、柚子の馬鹿者十八年」
これは果樹のタネを蒔いてから、収穫するまでの目安、とされます。

まあ、「目安」と言われれば文句の言いようもないのですが、モモやクリが、種蒔き後三年で収穫できるだろうか。 
ずいぶん怪しいものだ、と思います。
我が家にも自然実生のモモ、クリがありますが、発芽後三年以内に「結実の栄誉」に与った木はございません。

カキなどはおそらく先住の人が「食べ捨てた」であろう木が、ひょろひょろ伸びていますが、これの結実はいつのことやら。

冒頭に揚げた「標語」の内、「柚子の馬鹿者十八年」だけは真相を言い当てているようで、実生後遙かな時間の後にようやく実を結ぶように思います。

我が家にも1本のユズがあって、この木はなにゆえか毎年沢山の実をならせます。
難しいことを言う人によれば、
「ユズにも2種類あるのだよ。誰もが柚子湯に入れて楽しんだり、カツオのタタキなどに乗せる、あれは本ユズ。お前さんのようなケチ爺が、実がなったと喜ぶのは、あれはハナユ、一才ユズだな。本ユズとは違うのでね、間違えないように」
と注釈されます。

本ユズだろうと一才ユズだろうと、ユズの香がすれば、ユズでいいではないか。
やかまし親爺の説明を聞きながら、爺はいつも不満なのであります。

小生の母親は、十年ほど前に亡くなりましたが、九州生まれの九州の味にこだわる人でした。
「オイが死んでもね、財産は何もないけれど、九州の味はお前に伝えておくぞ」

母は本気で母子相伝の企画を実現しようとしたらしいですな。
A4サイズのわら半紙に何やかや書き残したものです。

①九州ラーメンこれは自宅で作ってもダメ。九州大学正門前の○○で金を出して食べろ。(かような言葉は伝言ゲームではあっても、母子相伝とはまるで関わりはございません)

②柚子胡椒
これは秘伝の秘。決して他にもらすでないぞ。
5月ごろ、庭の柚子の実を採れ。これを細かく刻んで、青唐辛子のもっとも辛いやつをまぶせ。仕上げには粗塩を一握り。これでよし。

他に20項目近いメモがありましたが、あまりに面白いので繰り返し繰り返し拝読、拝読の結果原文は今はどこへ
やら。

不思議なのは②「柚子胡椒」
「胡椒」などどこにも使われず、「青唐辛子」と「塩」だけ。

近年当地でも「九州名産品展」に柚子胡椒が出されるけれど。胡椒はあるのかなあ。



駄句1句。
庭隅に花柚香れる時となり


腰折れ1首。
柚子の棘押して曲げて数へみる母の柚子胡椒今年作らん