茅花流しの祈りと悲しみ | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


茅花流し

写真は茅花流し(つばなながし)。

写真の場所は肥後相良(熊本県人吉市)。
もうずいぶん前の写真です。

肥後国一帯が大地震の被害を受け、故郷相良(人吉市)は如何なるやらん、と懐かしの光景と朋の純朴であった眼差しを瞼に浮かべる毎日です。
激震の町に近い東区画図町の妹夫婦の声を、途切れがちな電話音声で聞いたときの我が安堵は、筆舌に尽くし難いものでありました。

幸い阿蘇山伏流水の湧き出す自宅の庭は、水こそ不自由しなかったものの、あの時の激震の恐ろしさはもう二度とご免だ、と号泣する妹らの声は我が耳に焼き付けられました。

一刻も、寸秒も早い以前の暮らしが戻るよう、願ってやみません。
熊本城の復旧や旧跡の修復も大事ながら、火の国の人たちに普通の生活が戻るよう念じてやまないのです。

写真は故郷の茅花群落。
茅花=茅萱が銀色の穂を一斉に風に靡かせる様は「茅花流し」
茅花の一本一本に、人々の祈りと悲しみが込められているように見えるのです。


駄句5句。
夕闇に風渡り茅花流したり
茅花野に思ひ出頻り浮かび来る
野一杯茅花の数ほど懐かしく
銀の穂の揺るるや茅花音もなく
故郷は茅花流しの走馬燈

腰折れ1首。
柔らかき銀の一本(ひともと)手に受けし茅花の甘み今も残れり