写真は連翹(れんぎょう)。
春雨も宵闇にさあっと降り去るのは、新国劇の舞台を思い、まことに乙なものです。
でもねえ、土砂降りはいけません。
差した傘などものかは、横殴りに襲いかかり、履き物はおろか靴下までまでぐちょぐちょでは乙も丙もありませんな。
今朝は晴!
空を見上げ、水たまりを見つめ、爺は人並みに昨日までの鬱陶しさを思い浮かべるのです。
降り続く雨は困りものだった、と言いつつホントは嬉しくもあったのです。
鉢植えの植え替え作業をサボったとて、誰からも文句は出ないからね。
難しい作り顔で番茶を啜り、禁じられているヨウカンをつまみ、さも仕事したさそうに雨を眺めていたのです。
雨中の活劇は、黒澤明「七人の侍」が秀逸だったなあ。
筑波山麓の梅祭りいつまでだったかな。
伊豆の河津桜はもう散ったかなあ。
などとロクでもない思案をめぐらす内に、河津川の土手の桜並木の下に植え込まれた菜の花に連想は飛びます。
早春に花に黄色が多いのは何故か。
マンサク、黄梅、菜の花、そうそう連翹!
連翹も黄花だね。
ところで連翹を別名イタチグサというのは如何なるゆえだ。
あの可憐な連翹をイタチグサとは許せん!
腹を立てたとて、誰かに迷惑がかかるわけでもないので、昨日までの雨降りに、爺は芝居がかった所作で見栄をきっていたのであります。
雑俳5句。
連翹の字の難しく試し書き
菜の花黄梅連翹春黄花
連翹は菜の花名残の姿なり
暖かく連翹の垣人招く
陽の射して連翹いよよ黄の眩し
腰折れ1首。
連翹の黄の海の宿暖かく我人ともに茶に呼ばれぬ