写真は梅蕾(うめつぼみ)。
昨日は思いがけない鶯の陋屋訪問を書きました。
「笹鳴きを残して飛び去った」と記したのですが、調子に乗って少し補足致します。
ベンキョウだの読書だのは、愚老のもっとも不得意とする行為であります。(「不得意」は個人の問題なので、得意でも不得意でも構わないけれど、読書を「行為」と呼ぶのは不適切、不穏当ですな。かほどに爺は常識に欠けているのです)
本など読むと、にわかに偏頭痛の起きる爺も、ムカシ夢中で読んだ本が2点あります。
①中西悟堂著「野鳥」(箱入りの全6冊全集))
②内田百閒著「阿呆の鳥飼」(短編随筆集1巻)
中西氏は元調布深大寺のご住職で、日本野鳥の会設立者のお一人です。
内田氏は夏目漱石の門弟のお一人。黒澤明監督の「まあだだよ」のモデルです。
①、②の両著は野鳥飼育の楽しさを、ベンキョウ嫌いのボンクラ小僧に教えてくれたものでした。
1963年(昭和38年)に「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」が改訂施行されて、野鳥飼育は禁止になるのですが、それ以前は野鳥飼育は国内の彼方此方で見られたものです。
子供の頃に、「メジロ鳴き合わせ会」やウグイス観鳥会」のお知らせを見た記憶があります。
「付け仔」とは、鳴きの上手なオトナメジロやウグイスに、トビッコと呼ばれる春一番の雛を傍に置いて「鳴き」を学習させるものです。
これはかなりの効果があり、メジロの鳴き音は「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」と聞きなされるのですが、付け仔の雛メジロはこれを真似るようになります。
ウグイスは例の「ホー、ホーホケキョ」の経文読みが最高なのですが、雛を放置しておくと「ホーホケ」だけで打ち止め。聞き様によっては「ホー呆け」となり、飼い手の中には本気で腹を立てる人もありました。
口上が長くなり、恐縮ですが、ウグイスの「あぶり」というのもありました。
あぶり、と申してもヤキトリに致して食べ合う競技ではございません。
すり餌の(米ぬか+鮒粉などの混合粉末)の鮒粉の割合を高めていき、
小障子を巡らせたウグイス籠の回りにロウソクを立て、日照時間を長くし、春来たるを教える、これが「あぶり」でございます。
野鳥飼育禁止の法律は遵守されるべきです。
野鳥は野で聴くから野鳥。
メジロもウグイスも野で聴きたいものですね。
ところで、「笹鳴き」は「小声の鳴き音」のことですが、経文はまだ唱えない、藪の中の鳴き交わす「チャッ、チャッ」という地鳴きのことです。
駄句5句。
陽の温(ぬく)さ寒紅梅のほんのりと
賑やかに卓に置きたる室の梅
鵯(ひよどり)の食ひたげなる寒紅梅
暫くは零下(れいか)の知らせ梅早し
東風未(こちいま)だ床しき庭に梅探る
腰折れ1首。
初雪も初天神もはや去りて東風(こち)は如何にと梅に問ひけり
*天神、東風、梅は菅公の縁