写真は榧(かや)の実と榧の根もとの石仏。
かつてカヤノキは各地に植えられたようです。
秋に色づくカヤの実は救荒作物として大事にされたのですね。
今では鎮守の森に忘れられ、巨木となったカヤノキをしばしば見かけます。
写真のカヤの実は美しく色づいていますね。往古の人たちは胸躍らせてこのカヤの実を見たことでしょう。
榧(かや)の根もとには人々の願いと、祈りを一身に集めた石仏(観音像でありましょう)が秘やかに立っています。
今やこのカヤの実は、社の庭から熊手で集められ、竹箒(たかぼうき)で掃き清められ、うずたかく積まれています。
でもね、古来このカヤの実には霊力があると、信じられてきたのですよ。
今でも地方の神社のお守りには、このカヤの実が納入されていたり、そうそう、今日千秋楽を迎える大相撲の「土俵祭」でも土俵中央の穴に米穀、豆、昆布とともに、カヤの実が埋められたはずです。
前に申した通り、カヤは救荒作物として大事にされてきました。
信仰の対象になるくらい、人の生活と深く関わってきたのですね。
駄句5句。
榧の実は色付いても捨てられて
榧の実は石仏の上にちょんと乗り
榧の木は社の庭に聳えたり
柏手を打つ背にかかる榧の影
八幡の社に立ちて榧幾年
腰折れ1首。
枇杷まねび榧の実赤く色染めて立ち居る今ぞ知る人なかる