写真は水仙(すいせん)。別名雪中花。
水仙、だろう、と思うのです。花首の長いやや変わった花です。
冬至の午後、歯科医院の駐車場で見つけました。
歯科医院では、
「本日を以て治療は終了、なれど虫歯候補は沢山あるゆえ、不断に注意いたすように」
と厳かに告げられ、気分は晴れ晴れ。往来に人いなければ「スキップ」でも踏みかねない気分でありました。
「不断に注意」と言われてもねえ、どう注意すりゃあいいのさ。
「おい、奥歯君、君は先ほどヤキトリの、ナンコツばかり20本も食ったね。ありゃ食べ過ぎだぜ」
「なんのなんのヤキトリの20本くらいは軽いもんだぞ。前歯君こそさっき隠れ煙草したじゃないかい。かっこつけてくわえ煙草にしてさ、あれが虫歯のもと、山の神に見つかったら叱られるぞ」
かような「不断」の注意を道端で繰り返していたら、道行く人にさぞ怪しまれるでしょう。
さて、それにしても歯科医院の駐車場に植えられていた水仙は綺麗だったなあ。
爺もあれぐらい白い歯になったらきっと女性にもてますぞ。
また、我もし女人なら「明眸皓歯(めいぼうこうし)」の具体例として称賛されるでありましょう。
でもね、皺染みだらけの顔に、ドングリ眼を貼り付け、異様に白い歯を剥き出せば、これまた恐怖ですね。
水仙を見たどこぞの若い衆が、水に映る魅惑の幻想を掴まんと、湖に飛び込み溺れたと聞きますが、爺は水仙を見て春の到来を夢見、ヤキトリと酎ハイに溺れるのであります。
駄句5句。
咲きたれど北国思ふ雪中花
水仙の咲いて忘れし季節かな
水仙花折り重なりて暖を取る
押し合って遊びたりける雪中花
水仙の科(しな)作り合ひ並び立つ
腰折れ1首。
雪中花重なり合ひて雪景色暖冬の朝ほのぼのと見ゆ