秋の陽の深山海棠慈しむ | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


深山海棠

写真は深山海棠(みやまかいどう)。

ミヤマカイドウの実が美しい。
秋の陽が未練も悔いもなく、山の端に消える寸前に、陋屋の盆栽棚にもわずかな残照を届けるのですが、この時のミヤマカイドウが素晴らしい。
掲載の写真は、ミヤマカイドウに残照が当たる瞬間を捉えたものです。

小さな小さなミヤマカイドウの実に秋の陽が当たって、まるで生命の讃歌を歌っているように見えるのです。

「深山海棠」と申しても、深山幽谷に自生する「海棠」の意味ではありません。
ごく普通の、何処にもみられる「リンゴ」の種類です。
愚老に難しいことは分かりませんが、ミヤマカイドウはミカイドウのことであろう、と思っています。

初夏に咲く花はハナカイドウはうつむいて咲き、ミヤマカイドウ(ミカイドウ)は上向きに咲く。
ハナカイドウの結実は皆無ではありませんが、ほんのお印程度。
ミヤマカイドウ(ミカイドウ)にはその名の通り秋に実が付き、ほんのりリンゴの香りが楽しめます。
ハナカイドウもミヤマカイドウも、花はにぎやかで陽気に枝一杯に溢れかえるのです。

ミヤマカイドウの上向きに咲く、活発な花に対して、ハナカイドウがうつむいて咲くのは、恥ずかしいからではなく、「実を結べないこと」を詫びているのだ、と愚老は思うのです。

行く秋の陽の中に「生命の讃歌」を謳い、ミヤマカイドウが美しく輝いています。


駄句5句と愚歌1首。


秋の日の深山海棠陽を受けて
行く秋を深山海棠惜しむかな
秋の陽の深山海棠慈しむ
秋深し深山海棠紅葉なり
秋行くと深山海棠鈴鳴らす

林檎の実深山海棠育てをり鈴二つ三つ朱に染まりけり