写真は深山海棠(みやまかいどう)。
ミヤマカイドウの実が美しい。
秋の陽が未練も悔いもなく、山の端に消える寸前に、陋屋の盆栽棚にもわずかな残照を届けるのですが、この時のミヤマカイドウが素晴らしい。
掲載の写真は、ミヤマカイドウに残照が当たる瞬間を捉えたものです。
小さな小さなミヤマカイドウの実に秋の陽が当たって、まるで生命の讃歌を歌っているように見えるのです。
「深山海棠」と申しても、深山幽谷に自生する「海棠」の意味ではありません。
ごく普通の、何処にもみられる「リンゴ」の種類です。
愚老に難しいことは分かりませんが、ミヤマカイドウはミカイドウのことであろう、と思っています。
初夏に咲く花はハナカイドウはうつむいて咲き、ミヤマカイドウ(ミカイドウ)は上向きに咲く。
ハナカイドウの結実は皆無ではありませんが、ほんのお印程度。
ミヤマカイドウ(ミカイドウ)にはその名の通り秋に実が付き、ほんのりリンゴの香りが楽しめます。
ハナカイドウもミヤマカイドウも、花はにぎやかで陽気に枝一杯に溢れかえるのです。
ミヤマカイドウの上向きに咲く、活発な花に対して、ハナカイドウがうつむいて咲くのは、恥ずかしいからではなく、「実を結べないこと」を詫びているのだ、と愚老は思うのです。
行く秋の陽の中に「生命の讃歌」を謳い、ミヤマカイドウが美しく輝いています。
駄句5句と愚歌1首。
秋の日の深山海棠陽を受けて
行く秋を深山海棠惜しむかな
秋の陽の深山海棠慈しむ
秋深し深山海棠紅葉なり
秋行くと深山海棠鈴鳴らす
林檎の実深山海棠育てをり鈴二つ三つ朱に染まりけり