次郎柿食ひし太郎も今ははや | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


竜胆

写真は竜胆(りんどう)。

秋の朝の散歩は、「我が生きることと、歳月の流れをを考える」かけがえのない時間になっている、などと、愚老ガラにもなく思ったりしています。
「我が生きること」云々は表向きで、内実は何事もなさず漫然と過ごした昨日の反省と、夕べの過飲の病理的反応の時間なのです。

落ち葉を踏みしめ、駅へ急ぐ健全な人々とすれ違い、「不健全な古稀爺」は背を丸めヨロヨロ野路をたどるのです。
「弱り目に祟り目」
孫のサーちゃんの絵本では、「鬼退治」に出るモモタロウには黍団
子につられたサルどもが居並んでいます。
ヒョロヒョロ爺には、エノコログサがへらへら笑い、オナモミの実は払おうが叩こうが、ズボンに張り付きどうにも始末に負えない。

ふと見上げると、アケビが口を開け5,6個ぶら下がり、カラスウリは誉め手もなく所在なげに朝日に光っています。
住み手の居なくなった家屋が何軒もあり、庭に残されたブランコには子供の声がまとわって聞こえる気がしたり、主のいない家を守るように、赤い実を付けた柿の木が聳えていたり。

あれは、次郎柿!
次郎柿は、子供の頃は何よりの甘露、甘味でありました。
次郎柿の下にはリンドウとキキョウが花を競っているのです。

駄句5句と愚歌1首。


竜胆は秋思ひだし開花かな
竜胆は名の難しき乙女花
竜胆は庭一杯に溢れけり
次郎柿眩しかりける食なき日
次郎柿食ひし太郎も今ははや

竜胆と桔梗の花競ひたる板戸の庭に落ち葉はらはら