写真は山香ばし(やまこうばし)。
クスノキ科クロモジ属。
「山香ばし」いい名前ですねえ。
モミジやハゼに先駆けて、惜しみなく紅葉を見せています。
爺は陋宅の棚で見かける度に「山香ばしよ」「山香ばしよ」と呼びかけ頭を撫でるのですが、「山香ばし」は、つれないもので、一言半句も答えたことがありません。
当たり前か。
耄碌爺の呼びかけに応じて、山香ばしが「はいはい」と返事をしたら気味が悪いですからな。
山香ばしは、山野に自生する木のはずなのですが、紅葉の美しさと、端正な樹姿が盆栽素材として喜ばれています。
10年ほどになりますが、さる規模の大きな盆栽展で、黒松や五葉松を押し除けて山香ばしが入選致しました。
かくなると「ミーちゃんもハーちゃんも」山香ばしを欲しがるのですね。
(『ミーちゃんもハーちゃんも』の語源は先日も書きました。半世紀以前のご婦人衆の好物が『みつ豆』であり、憧れの映画スターは『長谷川一夫』センセでありました。しかして万人の慕い狂う『ミーちゃん』『ハーちゃん』とあいなった次第なのです。ホントかな)
山香ばしの人気が高まり、山野で乱獲されたのでありましょう、この木の自生を見かけることは少なくなりました。
駄句5句と愚歌1首。
鉢植えの山香ばしは秋錦
野の錦山香ばしの紅葉して
香を放つ山香ばしで秋を知る
紅葉過ぎ山香ばしは葉を残す
秋に咲く西王母は椿なり
秋深く山香ばしは綾錦丈低けれど誇らかに立つ