写真は椿(品種は炉開き)。
「炉開き」とは、陰暦10月の初亥(い)の日に炉を開く「開炉」のことをさすようですね。
愚老は茶の心得は皆無であります。
「茶を喫する」とは公民館の町内会の会合で、水玉模様の駄器に番茶を注ぎ「茶柱が立った」だの「今日の茶はことのほか渋い」、などと無駄口をたたき合うことをすなわち「茶道」、と思い込んでおります。
これじゃあ「茶の道」を大きく踏み外し「痴爺の道」「邪道」でありますな。
今朝は「茶道について」述べたいのではありません。
椿、品種名「炉開き」について。
椿「炉開き」は、雪椿と茶の自然交雑とされています。
椿には珍しく秋咲きなのです。
花は薄紅色の碗咲き。
他の椿に先駆けて、秋のうちに咲いてしまったことを詫びるかのように控えめにそっと咲きます。
秋咲きの椿は「台湾椿=別名ゴードニア」がありまして、こちらは白一重の花が、間もなく迫る冬を恐れるように大急ぎで大量に咲いて一斉に散っていきます。
台湾椿も好きな椿ですが、「炉開き」の健気さがまた美しい。
写真で御覧の通り、葉は茶の特徴が現れています。
毎年「神無月」の声を聞く頃に開花となるのですが、今秋は陋屋の板廂を打つ雨が際限もなく続き、椿の整理機能を狂わせたのでしょうか、彼岸のうちにもう開花!
でもね、秋咲きの椿が、秋の声とともに咲き始めて金欠ボケ爺の目を楽しませる。
こんな嬉しいことはありませんぜ。
我が家の盆栽棚(盆栽とはおこがましい、鉢乗せ台がタダシイ)の椿はかように爺を慰めるのであります。
駄句5句と愚歌1首。
炉開きの名負ふ椿は茶の木なり
秋咲の炉開き椿茶の血なり
炉開きを名に負ふ椿秋の花
秋咲きの椿はカタカナゴードニア
秋に咲く椿炉開き茶の名残り
道沿いに並べ植えたる椿の名異国の香持つゴードニアなり