岩紗参枝の一輪儚げに | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


イワシャジン12/10/13

写真は岩紗参(いわしゃじん)。

キキョウ科の岩紗参は高山植物とされ、栽培環境もかなり難しい条件があるようです。

我が陋屋の岩紗参殿は「高山植物」を名乗りながら、どこか気軽なところがありまして、「長居の客」を真似て、夏の終わり頃から一輪二輪といつまでも咲き続けます。

夏の間は同じキキョウ科の「蛍袋」が池の畔で赤花白花を咲かせていましたが、彼らの後に岩紗参が紫の色鮮やかにきっぱりと咲いているのです。

岩紗参の花を見るたびに、なぜか爺の連想は決まって古代日本と日本の文化に飛ぶのですから、なんとも不思議であります。
花の形が2000年ほど前に忽然と姿を消した「銅鐸」に似ているからなのでしょう。

岩紗参と縁の近い「蛍袋」の花を見ても「銅鐸」を連想することはありません。
岩紗参の花のきりりと引き締まった形に比べ、蛍袋の花は剽軽で鷹揚、田舎の辻に立っていた火の見櫓の半鐘を思うのです。
そういえば、蛍袋は「カンパニュラ(釣鐘草)」と混同して園芸店で売られていますね。

「岩紗参」は銅鐸を思わせる可憐な秋の花。
なれど俳句歳時記に記載はなし。
「蛍袋」は釣鐘形の剽軽な三枚目。
なれど俳句歳時記では「夏」の季語。

駄句5句と愚歌1首。

岩紗参桔梗の科ゆえ秋の花
岩紗参秋霖の滴蓄へたり
桔梗咲く庭に紫岩紗参
秋の雨岩紗参花慈しむ
岩紗参枝の一輪儚げに

岩紗参蛍袋によく似たり蛍は遙か去りにしものを