写真は風知草の花。
風知草は今花盛り。
写真右上の痩せた稲穂に似た穂が見えますか?
これが風知草の花であります。
風知草、別名裏葉草(うらはぐさ)。
裏葉草とは、イネ科の風知草が、裏表が逆転するゆえの命名なのですね。
花より葉の模様の美しさが賞美される代表は万年青(おもと)ですね。万年青の葉模様の変化を「芸」というそうです。
なら、風知草の葉の美しさも「芸」ではありますまいか。
風知草については一点の腑に落ちないことがあります。
「風を知らせる草」と言いながら、なぜか風知草は「夏の季語」とされています。
古今和歌集で藤原敏行が、
【秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる】
と詠んだように、「秋の訪れ」を、木の葉の紅葉や、熟した木の実などの即物的な事象で理解するようでは鈍感過ぎる。
そよと吹く風の音に、昨日と違う今日の季節の推移を知れ、ということでしょうか。
ということなら、風知草の葉をゆらして吹く風に、秋のしのびよりを気づかなければならないのでしょう。
風知草と同じイネ科の「稲」は秋の季語。
水を落とした田には、稲穂が一斉に黄色に色を変え「稲刈り」が間近なことを知らせています。
駄句5句と愚歌2首。
風知草一夏越して花の時
裏葉草(うらはぐさ)芸を見するや風の中
花何処(いずこ)在処(ありか)を尋ぬ風知草
風知草咲きたる知らせ念を押す
風知草風まで花を教へざり
花何処(はないずこ)門(かど)に咲きたる風知草風のまにまに葉裏を覗く
門に咲く風知草の花何(いず)れ葉の裏表分けて確かむ