写真は野薔薇（のばら、のいばら）。
敗戦後70年の歳月は、別れの悲しみを消し去ることはなかった。
わざとらしい「積極的平和主義」を唱え、「国民の安全と幸福を守る」などともっともらしい標語の下、軍靴の確かな響きが聞こえるようになった近年、70年前のあの悲しみは、むしろ人々の胸底深くから鮮やかに蘇ったのではありますまいか。
安倍総理大臣が国会答弁で、自衛隊を「わが軍」と口走り、「戦争は嫌だと言う若い人の考えは利己主義」だと述べた武藤貴也議員を、麻生副総理大臣は「審議中の安全保障法案が可決されるまで本心を口に出すのは待て」となだめた。
三原じゅん子議員の「八紘一宇」発言も法案可決まで待てば、「八紘一宇」だろうと「神州不滅」だろうと、なんでも好きに喋ればいい。
いくら嬉しくとも、今はまだ本心を口にすべきではない。
新国立競技場案が白紙撤回されて、オレの責任じゃなかばい、とこぼす森喜朗・元首相だって『日本は天皇を中心とした神の国だ』とつい本音をぽろり口にして首相をクビになったじゃああ～りませんか。
まだちょっと待て、と言うに、礒崎首相補佐官は『法的安定性は関係ない』とつい本音を口にした。
安全保障法案可決まで待て。まあ口にしたものはしゃあない。国会で形だけ謝ったフリをしとけ。
「親のココロ子シラズ」
「若者の利己主義」を口汚く罵った武藤貴也議員は、金儲け話をダシにして4100万円をだまし取ったことが露見した。
ドロボウを説諭する者がドロボウを働いたのだな。
週刊誌が騒いでおるから、ここは一応辞表を書いておけ。
さてさて、野薔薇の花が美しい。
花は野の花でも庭の花でも、ウソをつかないからいいなあ。
駄句５句と愚歌１首。
野薔薇（のばら）咲く豆鉢一つ捨て置かる
豆鉢の野薔薇品良く顔を上ぐ
野の薔薇や鉢の中には行儀良く
野薔薇（のいばら）の踏み折らるるも赤い花
野薔薇（のいばら）や儚き花は今日明日か
秋風の頭を撫でて通り行き豆鉢野薔薇今朝は一輪