馬酔木の木小鈴の花をほろほろと | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


馬酔木

写真は馬酔木(あしび、あせび、あせぼ)。

我が家の目の前にある、クヌギの森を伐採し、去年の秋以来遺跡の発掘調査が行われていました。
3月初旬に調査は終了したのですが、地権者の意向で公開説明会は行わない、とのこと。
間もなく住居址は埋め戻されるのでしょう。
幸い調査中に、無理にお願いして、作業を見せていただくことができました。

現場が埋め戻され、埋蔵施設は悠久の眠りに就く、と思うとなんだか寂しくて、孫のサーちゃんを乳母車に乗せて、発掘現場周辺を散歩することがしばしばあります。
ここ二三日は気温も高く、春の陽が心地よくて楽しい散歩になります。
発掘現場の周囲には、新興住宅が建ち並び「空き巣に注意」の黄色の旗が何本も春風にはためいています。

小生も彼方此方を眺め歩くだけでは「空き巣」の下見と思われかねないので、視線は泳がせないように、帽子で顔を隠さないように、マスクを外し、細心の注意を払って乳母車を押すのです。
でもね、サーちゃんにとっては、土木作業にも似た遺跡発掘現場が面白かろうはずもなく、時には大声で泣くのです。
あやしてもすかしてもサーちゃんは泣き止まず、一層声を張り上げて我が家に戻りたい、と主張するかのよう。
サーちゃんはジタバタ、ジジイはアタフタ
住宅の人は、ドアの陰でこの様子をじっと窺っておられる。
これじゃあ「空き巣」どころか、さらに悪事に輪をかけた、「幼児誘拐ジジイ」ですよ。

しばらくの苦闘の末に、サーちゃんは疲れて泣き寝入り。
ジジイほっとして一段落。住民の方はドアをバタン。

ふと見ると、一軒の住宅の垣根に馬酔木(あしび)の花。
すかさず携帯電話でパチリ。
この写真が左様でござい。

馬酔木は「あしび」、「あせぼ」、「あせび」。地域によって呼び方が異なりますね。
拙老は「あしび」が呼び慣れていてよろしい。
「あせぼ」と読むと「天花粉」が「呼んだかい?」と顔を出しそう。
「馬」が葉を食べると、毒に当たり、「酔」うようにふらつく「木」なので「馬酔木」だと。なるほど、ではなぜ「あしび」? 「ばすいぼく」ではござらんのかな。

ところで、「あしび」の語源は足癈(あしじひ)である、と書かれた本を見ました。
癈(しい、しう)=体が不自由であること、よって足癈(あしじひ)とは足が不自由なこと。「あしじひ」が「あしび」となった、のだそうです。
なんだあこれは、杖曳く我がことではないか。

駄句5句と愚歌1首。


花馬酔木(はなあしび)垣の隙間に項垂れて
馬酔木の木小鈴の花をほろほろと
花馬酔木二上山の人好みき
花馬酔縄文遺跡眺むごと
花馬酔木手折る皇女(ひめみこ)思ひやる

縄文の遺跡の脇に咲き居たり馬酔木の花は小鈴ならすか