写真は椿、玉盃(ぎょくはい)。
玉盃は雪椿の仲間で、極薄紅色 重咲きの可憐な花です。
人によっては花色は白である、と言う人もありますが、拙老には薄桃色に見えるのです。
「♪嗚呼(ああ)玉杯に花うけて 緑酒(りょくしゅ)に月の影やどし」たら、顔は赤く染まるものだと思うのですが。
ところで、この「旧制第一高等学校寮歌」は難解な歌ですね。
桜満開、花見の宴の献酬(けんしゅう)を想像するのですが、緑酒を満たした杯に月影を映し、さらに花を受けるのは至難の業であります。
弊衣破帽寮生の「治安の夢に耽る世」を嘆き、高歌放吟する様を歌ったのでしょう。
でもね、年端もいかない若者の、生きるために苦闘する世の人を、見下す眼差しが気になるのです。
さて、椿玉盃について。
玉盃は玉杯でも意味は同じだと思います。
椿玉盃を鑑賞して、酒杯の応酬を致さないのは、人として社会人として欠陥である、などと屁理屈を捏ねて、家人に叱られ、孫たちの冷たい視線を浴びつつも一升瓶を引き寄せるのです。
間もなく桜の飛花・落花の時。
「♪花は上野か チョイト柳は銀座 ヨイヨイ」
駄句5句と愚歌1首。
玉盃の名を持つ椿酒に合ふ
玉盃の椿赤らみまあ一献
酒に合ふ椿玉盃薄桃に
玉盃の椿愛でて矢張り酒
朝酒も辞さぬ椿玉盃と
花に酔ふ春の夕暮れ麗らなり手にとる椿名は玉盃