写真は連翹(れんぎょう)。別名いたちぐさ。
連翹のうつむいた吊りがね型の小花に「いたちぐさ」とは、まあなんとゆかしい名前ですなあ。
昨日夕景に、近所の盆栽爺様が久方ぶりに顔を見せ、目敏くレンギョウに眼をとめられた。
「連翹はモクセイ科なので、モクセイに似た香りがするはず」
と爺様は仰る。
愚老我が連翹の鉢を手に,右から左から香りを確かめれど、確たる香りは届かない。
愚老、低能のみならず、蓄膿ではないか、と懊悩致すのですが、爺様の主張されるキンモクセイの香は去年の秋以来ご無沙汰。
でもね、爺様の頑固な主張におされたのか、モクセイやらバラやら嗅ぎ分けられねど、何やらほのかに漂う。
「レンギョウはイタチグサとも言うから、イタチの最後屁かなんかその筋の臭いの気もするけれどなあ」
爺様は暫く歓談されて悠々帰館なされた。
いつも爺様の胸に抱かれている「ポチ」は本日体調不良のゆえ、自宅で静養している、とのことでした。
駄句5句と愚歌1首。
連翹の花俯けど賑やかに
連翹は難しき字の優しき花
連翹や垣根に咲きて仄(ほの)かな香
連翹の萌えたちて眼に清(さや)か
連翹は鈴を鳴らすやほろほろと
連翹と書いてみれども別字なり優しき黄花ほろほろと散る