春麗(うらら)黒侘助の凛として | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


黒侘助

写真は椿(品種名は黒侘助)

黒侘助の別名は永楽(えいらく)と言います。

さて、まことに奇妙なことに、黒侘助は侘助椿ではない、と言う。
侘助と言い、侘助と呼ばれる椿が侘助椿ではない?
まことに面妖で、奇々怪々。

愚老なども秀才と呼ばれ、天才と言われるが,これは聞き間違い、事実は醜歳で天災。
まことに面妖で、奇々怪々。

まあまあ、面倒なことはさておき、拙老は黒侘助が好きなのです。
黒みがかった鮮紅一重咲きで、花姿は凛として気高さを覚えます。
よく似た椿で、黒椿という椿もありますが、こちらは別種。八重咲きの花です。

九州の山間の町の中学校では、男子生徒がヤブ椿の実を集める習慣がありました。

誤解なきよう。
敗戦後の食糧不足の折とはいえ、我ら中学生は椿の実を食うために集めた訳じゃありませんぞ。
椿の実をつぶして椿油を取るのです。

これも誤解なきよう。
「椿油」を瓶詰めにしてご婦人方の歓心を買おうとした訳でもござらん。
集めた椿油で、せっせと学帽のツバを磨くのです。
学帽のツバが光れば光るほど、喧嘩の際には相手にニラミが効いたのであります。
かような帽子を田舎の言葉で「武者ん良かあ」と言いましたね。

学帽のツバはぴかぴか、靴のかかとは踏みつぶし、ニキビも揉みつぶし「わりゃ何か文句のあっとか?よかぞ相手になるったい。河原で待っとれ!」
などと威嚇したものです。

椿の実のなる晩秋の頃、河原は寒くて誰も行かなかったのですがね。

駄句5句と愚歌1首。


春麗(うらら)黒侘助の凛として
侘助の黒き花見て落ち居たり
高らかに黒侘助の春謳ふ
赤椿紺侘助と呼ぶ不思議
伸びやかに牡丹の芽空を指す

気高さの黒侘助の花を見て冷酒やめてぬる燗舐める