写真は「唐子咲き」椿。
品種名は「月光」なのか「卜伴」なのか不明です。
蛇足ながら両者の読みは「月光=がっこう」「卜伴=ぼくはん」。
千光寺の坂道で写した椿です。
春雨は小止みなく降り続き、崖上に咲く椿が美しく光っていました。
千光寺境内を歩きたかったのですが、寒さのゆえか我が駄足が痛み、杖に頼っても転倒の恐れがありました。
情けないものですね。
けれども、尾道の街を見下ろす崖で、転んで滑ったりなど致したら無念ですからね。
「転ぶ」「滑る」は、時あたかも上級学校入試の時に不謹慎のそしりを浴びるでありましょう。
雨に降られ、尾道の街は見られず、崖で転んでも労りはなく、労りどころかそしりを浴びる、なんてのはあまりに残念。
愚老やむなく杖をひきつつ道路沿いの椿を見て時を過ごしたのです。
「♪おの道 この道 日が暮れる」
野口雨情作詞の「あの町この町」を口ずさんで、夕景迫るまで雨止みを待ったのです。
本当は小津安二郎「東京物語」のロケ地「浄土寺」へ回る予定でありましたが、やむなく中止。
でもね、雨に濡れる椿は美しかったですよ。
駄句5句と愚歌2首。
千光寺汐の香の中椿散る
浄土寺春雨煙り町おぼろ
尾道は春雨煙る坂の町
尾道や桜の蕾膨らみぬ
尾道の町を包むや夕霞
春の雨町を濡らして止み間なし雨水坂を伝ひ落ち来る
瀬戸内の霧の中より島々の浮かび流るる船の楽しさ