写真は鞆の浦の常夜燈。
高校時代の修学旅行で以来、一度は訪問したかった尾道、鞆の浦を巡ってきました。
春の小雨が間断なく降っていましたが、思い出の地がセピア色に煙って見えて、とても懐かしい景色でした。
半世紀前の記憶 が朧に霞み、見飽きなかったのです。
鞆の海岸沿いに確かにあったはずの、平屋建て修学旅行宿はすでになくなっておりました。
大広間での夕食の後、女将の言葉が耳朶に残っています。
「あなた方が卒業後社会にお出になって、人としてなくては困る存在になってくださることを願っています。そして、どうかこの鞆の浦に家族を連れてお出でください。私どももその時まで必ず元気でお待ちしております」
磯の岩に乗って夢を語った、青年の日の懐かしさ。
50年は「胡蝶の夢」か。
鞆の浦で磯遊びをした友、今半数は泉下の客。
駄句5句と愚歌1首。
鞆の浦春霞の中常夜燈
鞆の浦春雨押して漁(いさ)り船
鞆の海霞に消え行く漁(いさ)り船
常夜燈海に向き合ふ鞆の春
春の雨鞆を包みて夢のごと
半世紀時は流るも常夜燈春の雨の中往時のままに