狂い咲き見て狂い妄想 | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


立浪草

写真は立浪草。

立浪草は夏の草です。
立浪草が夏の草で、夏の季語であってもいささかも異論はございません。
この写真は2月19日の撮影です。
お暇な折に、写真の先端をよくご覧頂きたいのです。
白く見えるのは立浪草の花で、実は今年に入って寒さの時もかような形で咲いておりました。
返り咲きと申すのか、狂い咲きと言えば良いのか、波頭の立ち上がる風情に花が咲いているのです。

立浪草と言うと、何故か奈良当麻寺の背後に聳える二上山を思うのです。
遙か昔の大宮人が無念の死を賜い、葬られた地二上山。
波頭を描く立浪草、その遙か彼方には難波津があり、波間に押し流されたヒルコの舟が漂うのです。

ヒルコ=日の子。輝かしい出自でありながら、7歳になるまで自分の力で歩くことが出来なかった。
母神は溢れる涙を振り払い、我が子ヒルコを海原に流し捨てた、と伝えられています。

農耕共同体社会では、神の子であろうと、一人前の働きの出来ない者は「余計者」であり、社会の構成員として認知されなかった。

二上山に葬られた大津の皇子もまた「余計者」、平穏な社会には不要の人であった。
立浪草を眺め、大津の皇子は難波津に漂うヒルコを思いやり、せきあえぬ涙に袂を濡らした。

なあんてね、狂い咲きの立浪草を見ると、愚老妄想に「狂う」のです。
かような妄想も楽しいじゃあ~りませんか。

駄句5句と愚歌1首。


春の雨立浪草の返り咲く
春一番立浪草の頭撫づ
春一番返り花の背叩きをり
立浪草夏にあらねど帆を上げて
立浪草土地の狭さに春に咲く

春一番吹き荒ぶ中立浪草時期を違へて返り咲きけり