赤バット 青バット | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

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伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


アオダモ

写真はアオダモ。

モクセイ科トネリコ属。
あおだもの漢字表記はなかなか厄介ですよ。
「青」は常用漢字の「青」で結構。
なれど、「たも」が難しいですね。
「木偏」に旁は旧字体の「佛」。実際に書いてみるとまことに面妖な字。

写真のアオダモは、これでも10年近く我が家に住んでおります。
かようにアオダモは成長の遅い木ですが、根をご覧頂きたい。
細い幹には不自然なほど強靱な根が大地を掴んでいます。
この強さが建材として珍重されたのですね。
テニスのラケット、野球のバットもアオダモが使われています。

赤バツトの川上、青バツトの大下、と世にもてはやされたのは、青バットが昭和21年、赤バットが22年のことで、実際に試合で使われたのは1~2年の短い間であったようです。
どこか後の「仮面ライダー」の色彩使用感覚に通じるところがあります。
戦後の粗悪塗料はすぐはげ落ち、ボールに付着したらしく、色バットは規則で禁止されたと言われます。

赤バットや青バットを覚えているのは、愚老の父親の世代ですが、「赤バット」「青バット」の言葉はしばらく生き続けて、我がバットに「錆止めペイント」を塗り、赤バットを真似たものです。
バットは大変貴重なもので、我ら洟垂れ小僧には容易に手に入りません。
大人衆が試合で折ったバットを、有り難くいただき、2寸釘や3寸釘を打ち込んだ「鬼の金棒式釘バツト」でありました。

バツトは、アオダモやトネリコで作られ、中でもアオダモ製は最上級品との記事を「冒険王」で読むや、田んぼの畦に、稲架(はざ)にせんと植えられていたアオダモを背に負って帰った時の叱られ方は、猛烈なものでありました。
よく似た格好の「二宮尊徳」の激賞のされようとは大違い。

さて、写真はアオダモの木。バットの太さまで成長を待てないので、ほどよいところで杖でも作るかな。

駄句5句と愚歌1首。


だもはすっくと立ちて芽の用意
青だもの指し示す空麗(うらら)
青だもにひしと添ひたる雪柳
春の雨止みにし後に雪予報
梅の花競ひ咲きたる雪の前

稲架(はざ)になりバツトになりし青だもはまだ幼き苗夢の中なり