写真は緋梅(ひばい)。
探梅。
「たんばい」、などと優雅なものではありません。
白梅だろうと赤梅だろうと、近所の庭で梅は咲いていないだろうか、とうろうろ歩き回る、一見空き巣狙いにも似た、散歩であります。
古稀爺が、あてもなく歩き回ると、それを見かけた近所の衆は、空き巣狙いの下見と思うらしいのです。
ゆえに愚老かかる散歩には、かつて乳母車を牽いて孫のミイちゃんを乗せ、誤解なきよう準備を致したのですが、ミイちゃんは幼稚園。
仮に幼稚園が休みの日でも、ふたたび乳母車は乗ることはありますまい。
ミイちゃんにも、自らの足で歩行する誇りがあるのです。
だからとて、一歳のサーちゃんを無理矢理乳母車に乗せても、時あたかも大寒、ヒュウヒュウ鳴いて吹く風の中を洟水拭きふき歩いて何嬉しかろう。
サーちゃん終いには大泣きとあいなるのです。
さすれば、今度は乳児誘拐の嫌疑がかかりますな。
古稀爺が散歩を思い立つだけで、これだけの事件が降って湧くのです。
さて、昨日は独行。
左見右見(とみこうみ)いたさば「空き巣狙いの下見」。
愚老、脇目もふらず杖をひいて歩きましたな。
「脇目もふらず」?
何のための散歩ぞや。
ふと、緋梅の開花発見。急いでカメラに収めましたな。
カメラ?カメラがまた扱いに苦労するのです。
帰宅後「女子マラソン」中継をみましたが、優勝はガメラさん?
駄句5句と愚歌1首。
探梅を重ねて不意の緋梅かな
掌の土地に出来たる梅の宿
*小盆栽の梅であります。
開花遅れを詫びる如き冬冬至
梅の里方寸の土地我が棚場
探梅の山行を労ふ一二輪
出(いで)て見よ家人の叫ぶ声聞きて梅の里鉢緋梅を見けり