先生、私の隣に座っていただけませんか?(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

先生、私の隣に座っていただけませんか?(ネタバレ)

先生、私の隣に座っていただけませんか?

 

2021/日本 上映時間119分

監督・脚本:堀江貴大

製作:中西一雄、小西啓介、鳥羽乾二郎、久保田修

プロデューサー:小室直子、村山えりか

スーパーバイジングプロデューサー:久保田修

ラインプロデューサー:原田文宏

撮影:平野礼

照明:川邉隆之

録音:加藤大和

美術:布部雅人、春日日向子

装飾:加々本麻未

衣装:宮本茉莉

ヘアメイク:外丸愛

編集:佐藤崇

音楽:渡邊琢磨

主題歌:eill

劇中漫画:アラタアキ、鳥飼茜

助監督:成瀬朋一

制作担当:仙田麻子

出演:黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン

パンフレット:★★★☆(880円/妻側と夫側、どちらからも読める仕様で、お互いの視点のあらすじを載せているのが良いですな)

(あらすじ)
漫画家・佐和子の新作漫画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、さらに佐和子の夫・俊夫と編集者・千佳の不倫現場がリアルに描かれていた。やがて物語は、佐和子と自動車教習所の先生との淡い恋へと急展開する。この漫画は完全な創作なのか、ただの妄想なのか、それとも夫に対する佐和子からの復讐なのか。現実そっくりの不倫漫画を読み進めていく中で、恐怖と嫉妬に震える俊夫は、現実と漫画の境界が曖昧になっていく。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


70点

 

※本作は、絶対ネタバレを知らないで観た方が面白いので、未見の人は観てから読んでくださいな。

※今回の記事は、唐突に下ネタが書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。

 

何かの時に劇場で予告編は観たものの、ごめんなさい、「不倫が絡んだ夫婦モノ」ってあまり興味が持てなくて。まぁ、黒木華さんを「先生」とするならば、映画評論家の町山智浩さんによる名言「顔面騎乗でもうダメロン」ライクに「先生、私の顔に座っていただけませんか? (´Д`;) ハァハァ」なんて下ネタを思い浮かべたりもしたけれど、それも詮無きこと。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」で選ばれない限りは観ないだろうよ…と思っていたら、ちょうど今週の課題映画になったということで! 9月21日(火)、TOHOシネマズ新宿「岬のマヨイガ」「白頭山大噴火」を観てから、新宿ピカデリーに移動して、「Summer of 85」と連続鑑賞してきました(その後、「スペース・プレイヤーズ」をハシゴ)。普通に楽しめました (・∀・) ヨカッタ!


当日のgif。10番スクリーン、観客は11人程度でした。


 

まず、適当かつ雑にあらすじを書いておきますと。昔は売れっ子だった風のマンガ家・俊夫(柄本佑)はスランプ中で、現役バリバリのマンガ家である妻の佐和子(黒木華)のアシスタントをやってまして。編集者の千佳に連載最後の原稿を渡すと、佐和子は「あなた、送ってあげたら?川´_ゝ`)」と俊夫に千佳を送らせるんですが、ちょうど「佐和子の母親が事故に遭った」という電話が掛かってきましてね。母(風吹ジュン)の具合が良くなるまで、夫婦は佐和子の実家で暮らすことになり、さらにそのタイミングで佐和子は普通自動車免許を取得すべく、教習所に通い始めるんですが、しかし。妻が留守の間、彼女が描いた新連載用のネームを俊夫が読んでみたところ、そこにはモロに自分たち夫婦が登場しており、さらには千佳との不倫現場がリアルに描かれていたから、マジかよ…!!! (`Δ´;) ヌゥゥ

 

 

なんとなく「都市伝説を読んでビックリする人」を貼っておきますね(「範馬刃牙」第32巻より)。

 

 

その新作漫画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」は、次第に「佐和子と教習所の教官の恋模様」が描かれるようになりまして。嫉妬に駆られた俊夫は我を失って路上教習を尾行したりした挙げ句、とうとう佐和子にマンガのことを問いつめるんですが、彼女から逆に「マンガを現実だと思うということは、あなたは不倫してるの?川´_ゝ`)」と痛いところを突かれてしまって。俊夫ったら「オレは不倫なんてしてないヨ (´∀`;) ンモウ!」ウソを重ねてしまうのでした。しかしその後、佐和子は「あのマンガはやめることにした 川´_ゝ`)」と言ってきたので、俊夫はホッとしたムードとなり、夫婦生活は平穏に戻った…と思いきや。運転免許取得後、佐和子は車で失踪すると、「教習所の先生と不倫している内容のマンガ原稿を実家にファックスする」という攻撃をスタート。さらに「この続きは現実で 川´_ゝ`)」と、教官を実家に連れて来ることを臭わせて終了→本当に男と一緒に来ちゃうから、マジかァーーッッ!Σ(°д°;) ヒィィッ

 

 

なんとなく「ビックリする深町元一」を貼っておきますね(「範馬刃牙」第29巻より)。

 

 

ところが、フタを開けてみれば、教官は「僕は食事に誘われただけで、浮気なんてしてませんヨ (▽∀▽)」といった感じだったから、「なぁんだ (´∀`;) フゥ」と俊夫もひと安心。佐和子の部屋に行くと、彼女は「現在の自分と俊夫の状況」のネームを書いていて、“マンガの俊夫”はまだ不倫についてシラを切っていたんですけれども。“現実の俊夫”はそのネームのセリフを書き換えることで不倫を認めつつ、「好きだー!ヽ(`Д´)ノ」と関係の修復を図るも、佐和子は「もう遅い 川´_ゝ`)」と即ビンタですよ(微笑)。でも、マンガ家としての俊夫は尊敬していたようで、「先生、私の隣に座っていただけませんか? 川´_ゝ`)」とうながすと、彼に数年振りにマンガを描かせて、2人は復縁する…と見せかけて! 目覚めると実家に佐和子の姿はなく、代わりに「実は教官とグルだった!」という内容の新たなネームが置いてある&雑誌での新連載が決定しており、これからずっと同漫画の作画を担当することになった俊夫が「うそ〜ん (´Д`;)」とつぶやく中、佐和子は“誰か”を助手席に乗せて、車を走らせるのでしたーー。

 

 

エンディングで流れるeillさんの「プラスティック・ラブ」を貼っておきますね↓

 

 

 

不倫話にケレン味を加えてコメディ風にふっくら炊きあげた本作には、好きなところはいくつかあるんですが、1つ目は「ストーリーの発想」。さすがはTSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018 準グランプリ受賞作品なだけはあるというか。「不倫夫をマンガで追い詰める」なんて話、よく思いついたなぁと。「自分で運転できるようになること」が「夫から旅立つこと」の象徴になっているのもちゃんと考えられているなぁと感心しましたよ。で、「マンガ内と現実パートが混然となる演出」も良かった! 確か佐和子が「復讐のためのネーム」を描き始めるのが映画開始から30分ぐらい過ぎたあたりだと思うんですけど、そこからマンガだけでなく「マンガを実写化したシーン」もバンバン挿入されるんですよ。僕的には「あれ? こっちは確かフィクションの方だよな…?(・ε・) アレレ?」と翻弄される部分が少なくなくて、とても楽しかったです(最初は、マンガ1話目のキスシーンは実際に佐和子が目撃した出来事かと思ったけど、あれは実際に玄関のドアノブを握って開けようとしていた佐和子の「想像していたこと→フィクション」であり、よくよく考えると彼女が浮気を確信したのは「電話」ですよねー。俊夫は決定的な現場は見られていないこと確信していたからこそ「不倫してない」とウソをついたワケだし)

 

3つ目は「役者さんたちの演技」。黒木華さんが「おっとりしているように見えて何を考えているのか分からない女性」を見事に演じていただけでなく、柄本佑さんの良い意味でアホっぽい感じが素晴らしかったです。パンフによると、ラストの「うそ〜ん」の台詞は現場で柄本佑さんがアドリブで変更したそうですが、僕的にはあのひと言で本作が軽やかになったと思うので、ある意味、本作のMVPだと思わなくもないような気がしないでもないです、たぶん。あと、編集者役の奈緒さんのクセ者演技は愉快だったし、教官役の金子大地さんは「猿楽町で会いましょう」「サマーフィルムにのって」でも良かったけど、あまりの「眼鏡イケメン」振りに、なんか…僕も…ドキドキしちゃいました… (´Д`;) ナンダソリャ そして最後は「どんでん返し的なオチ」が好きでしたよ。俊夫がマンガ描いたぐらいで許されてハッピーエンドを迎えるのは若干居心地が悪かったし、本作のような「もう夫としては好きではないけど、仕事仲間としてはまだ付き合える」的な着地は今どきな感じがして(「好き」の反対は「無関心」というか、俊夫に対する復讐という以上に愛情を感じる)、なかなか好感が持てた次第。その他、自分が通ってた頃の「高圧的な教官しかいなかった教習所」を思い出したりもしましたねぇ…(しみじみ)。

 

 

昔の教習所の教官は本当に嫌な奴ばかりだった印象。僕的には警察学校よりキツかったです。

 

 

まぁ、ちょっと乗れなかったところを書くと、「リアリティはゼロ」ですよね… (´・ω・`) ウーン マンガ内描写を実写化した演出やら役者さんの演技やらが楽しいから誤魔化されるけど、とは言え、どうしても「こんなことあるかよ」的にテンションが下がっちゃう部分もあって。いくら佐和子が「洞察力が優れていて、夫の行動がすべて読める妻」であり「魅力的で人心掌握に長けた女性」だったとしても、さすがに俊夫や教官が彼女の思惑通りに動きすぎじゃないですか。千佳のキャラクターだって、「担当するマンガ家の旦那と不倫した挙げ句に相手の実家に連泊もしつつ『面白〜い♪ヘ(゚∀゚*し ホエホエ』と楽しめる胆力を持つ編集者」ってのはメチャクチャすぎる…というよりは単に「都合の良い面白キャラ」に見えちゃって萎えたというか。最後、あの女が何のしっぺ返しも食らわなかったのも結構ガッカリいたしました。それと、僕的にはあくまで「夫に読ませるためのネーム」だと思っていたから劇中マンガも楽しめてたんですけど、あのぐらいの内容で雑誌連載が決まっちゃうと、「あのマンガ、事情を知らない人が読んでもあまり面白くないのでは?(゚⊿゚)」冷めちゃう自分もいた…って、伝わりますかね(いや、ラスト自体は好きなんですがー)

 

 

佐和子は俊夫を愛していたからこそ、天内悠のようにすべての行動が読めた…ってことなんですかね(「グラップラー刃牙」第25巻より)。
天内悠の主張

 


ただ、なんて言うんでしょうか、週刊文春やらワイドショーやらで取り上げられるとあーでもないこーでもないと騒ぐように、下世話な僕ら人類は基本的に「不倫話」が大好きではあるじゃないですか(勝手に人類全体を巻き込んだ文章)。現在、48歳の僕には結婚16年目の「愛する妻」がいますけど、ハッキリ言って、不倫についてはいつだって興味津々丸ですよ(妻に読まれたら確実にアウトな文章)。単に相手がいない&時間がない&お金がない&家庭を壊したくない(不倫したら2秒でバレる自信があるし、妻は絶対許さない派なので…)からやらない(or やれない)だけであって。だから、最初は興味がなかったものの、実際に観てみれば、主人公たちに自分と妻を当てはめたりもして、「普通に楽しめた (・∀・) ヨカッタ!」という着地。何はともあれ、大切なパートナーがいる方は、相手が真剣に何かを問い掛けてきた時は誠実に対応しましょうねー。おしまい。

 

 

 

 

デジタル盤のサントラがありました。正直、このジャケは「ナシ」じゃないかな…。

 

 

堀江貴大監督が脚本を担当した作品。観てたんですけど、まだ感想はアップしてないのです (´Д`;) スミマセン

 

 

堀江貴大監督が参考にしたというアルフレッド・ヒッチコック監督作。

 

 

予告編のコメントで引き合いに出されていた映画。僕の感想はこんな感じ。