ゴーン・ガール(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ゴーン・ガール(ネタバレ)

※ムービーウォッチメンのリンクと若干の補足を追記しました(2015/1/20)


<WARNING!!>

ちょっとミステリーっぽいこの映画、ハッキリ言って、僕的には「まさに予想通りだ ( ´_ゝ`)」って感じではあったんですよ(苦笑)。ただ、一応、ネタバレを読まない方が間違いなく楽しめる作品なのでね、未見の方はこんなくだらない感想文はスルーして、ぜひ劇場に足を運んでくださいな (o^-')b オススメ!
















ゴーン・ガール

ゴーン・ガール

原題:Gone Girl
2014/アメリカ 上映時間148分
監督:デビッド・フィンチャー
製作:アーノン・ミルチャン、ジョシュア・ドーネン、リース・ウィザースプーン、シーン・チャフィン
製作総指揮:レスリー・ディクソン、ブルーナ・パパンドレア
原作・脚本:ギリアン・フリン
撮影:ジェフ・クローネンウェス
美術:ドナルド・グレアム・バート
衣装:トリッシュ・サマービル
編集:カーク・バクスター
音楽:トレント・レズナー、アティカス・ロス
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ、パトリック・フュジット、キャリー・クーン、デビッド・クレノン、ローラ・カーク
パンフレット:★★★★(720円/コラム&インタビューは多いし、企画記事もあるし、良い感じ!)
(あらすじ)
ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




90点


映画を観る時はなるべくなるべくなるべく割引を駆使する僕ですけれども! ちくしょう、どうしても時間が作れなかったので、木曜日の夜、仕事の忘年会を中座しまして (ノ∀`) テヘ 「深夜も稼働のバルトなんかどう?」ってな調子で新宿バルト9に足を運び、1800円を払って観てきました。非常に面白かったです (´∀`) ウフフ


ロビーにはこんな展示がありました。
新宿バルト9

小腹が空いていたので、水とケイジャンチキン(合計810円)を買っちゃったというね… (´・ω・`) フトッチャウ
水とケイジャンチキン


この映画については、尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」の紹介をチェックしてもらってから、映画ムダ話200円ダヨ)を聴いていただいて。さらに「映画秘宝 2015年 01月号」岡本敦史さんによる“原作との比較記事”を読んでから、パンフに目を通せば十分な感じ。そんなワケで、僕ごときの感想なんぞ無価値だと思うんですが、一応、ここは大事な備忘録ということで、簡単な感想を残しておきますよ。

町山さんによると、原作小説の元ネタはスコット・ピーターソン事件という殺人事件なんだとか。小説には、実際の事件のディティールがいろいろと盛り込まれているそうで、全米で大ベストセラーになったのは、読者たちがそういう要素に惹きつけられたのもあったんでしょうな。とは言え、ハッキリ言って、“妻殺しモノ”なんて世の中に溢れているじゃないですか。

タイトルは失念したんですが(汗)、小さいころに「マーティン・シーンの娘が殺されて、その犯人は“誠実そうな夫”だった!Σ(゚д゚;)」的な内容のテレビ映画を観た記憶があって、たぶんそれが僕の“妻殺し映画”とのファーストコンタクトだったと思うんですけれども。「優しそうで妻の死を悲しんでいる夫が犯人」なんて話は、現在、腐るほど大量生産されているだけに、逆に今回の「ゴーン・ガール」に関しては、あのデビッド・フィンチャー監督作ということもあって、絶対“そこからの一捻り”があるだろうと。映画が始まると、妻が失踪→夫への疑惑が深まっていくのと並行して、奥さんの日記のモノローグが流れるワケですが、「この事件は妻の狂言だな!m9・∀・) ハンニンハオマエダ!」と先読みしたりして、すっかりコナン気取りだったのです(間違えたリンク)。


というか、町山さんもおっしゃってましたが、ベン・アフレックは狡猾に見えなくて、犯人とは思えないよね (。・ω・)(・ω・。) ネ-
ベン・アフレック


で、映画の3分の1が過ぎるころ、案の定、ロザムンド・パイク演じるエイミーが生きていて、すべては彼女の仕業だということが発覚するのは思ってた通りだったんですが…。ここからが予想以上に面白かったからビックリ! 車の窓からウソ日記に使ったペンを次々と捨てていく愉快かつテキパキした演出からスタートする“エイミーのパート”は、デビッド・フィンチャーの手腕によって、ロザムンド・パイクの資質が見事に爆発! 近年稀に見る“怪物”が誕生いたしました。


間違いなくロザムンド・パイクの出世作になったと思います。
ロザムンド・パイク


「全部アタシが仕組んでいたのよ! 川`∀´) オホホホホホ」的な悪女といえば、「洗顔だけです」「氷の微笑」のシャロン・ストーンが脳裏に浮かんだりするじゃないですか。ただ、この映画のエイミーの何が新しいかって、周囲の人間をバカ扱いしつつ容赦ない犯行計画を実行しながらも、旦那が窮地に陥ったのをテレビで観て飛び跳ねて喜んだり、モーテルで知り合ったグレタ(ローラ・カーク)&ジェフ(ボイド・ホルブルック)に金を強奪されて悔しさのあまり枕に顔を埋めて叫んだりと、利己的で邪悪な割には迂闊で人間臭いんですよね。

エイミーは“自分に冷たくした男に狂言レイプを仕掛けるようなサイコ女”なんですが、基本的に今回の狂言は“旦那への愛”からスタートしているんですよ。彼女がモーテルで知り合ったグレタに話した“ニックの裏切りを目撃した場面”はたぶん真実で(初めて自分にキスをした仕草を“自分より若い”浮気相手にやった)。彼を愛していたからこそ、1年半もの時間をかけて復讐の準備ができたし、最初の予定では自分も死ぬつもりだったし、テレビで流れた夫の謝罪を観て素直に胸を打たれたりしたのではないでしょうか。だから、僕は不思議と憎めなかったんだよなぁ…(レイプの濡れ衣を着せられた人はたまったもんじゃありませんが)。


この“思い出の仕草”を若い愛人にも実施していたニック。そりゃ怒るわな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ
思い出の仕草


有り金を強奪された→“最後の逃走経路”として確保していたストーカー男デジー(ニール・パトリック・ハリス)を仕方なく頼ってみたら、予想通りの軟禁状態がスタートしたりもして。でも、そんな苦境に立たされながらも決して心が折れずにプランBを遂行する彼女の姿を観ていると、「ああん、最悪な女だけど、負けないで!ヽ(´Д`;)ノ」という複雑な気持ちにさせられたというね。セックス中にエイミーがデジーのノドをカッターで切り裂くシーンとか、彼女のあまりの容赦なさ&力強さにドン引きしながらも笑っちゃいました。


エイミーに利用される金持ちデジー。コイツはコイツでイカレ気味なんですが、無惨に死にます。
ニール・パトリック・ハリス


そして、何よりも考えさせられたのは、ラスト。エイミーは「実はストーカーに誘拐されてたの… (´Д`;し タイヘンデシタ」狂言のシナリオをいけしゃあしゃあと変更して、ニックの元に血まみれで登場。事件が解決すると、ニックは別れようとしたり、真相を告白しようとするも、精子バンクに預けていたニックの精子を使って(?)エイミーが妊娠することで、2人は仲良し夫婦を演じながら生きることになって、「何を考えてる? 何を感じている? これからどうする? 世の中『どうする』 ばっかりだ!ヽ(`Д´)ノ」なんて高野拳磁さんの「どうする節」が流れて映画は終わるんですが…(途中からウソ)。双子の妹マーゴ(キャリー・クーン)が気付いたように、結局、ニックもエイミーをどこかで愛しているんじゃないかと。

例えば、ニックがテレビに出演してエイミーに謝罪するくだり。僕は「ビフォア・ミッドナイト」の最後で“ジェシーが譲りつつも本音をぶつける場面”を連想したんですが、夫婦恋人友人男女を問わず、「気持ちを伝えて受け取ってもらえるかどうか」が重要な局面というのがあって。エイミーが指摘していたように、そういう時、「相手がどうすれば喜ぶかを知る」のは“愛”なくしてはできないんですよね、やっぱり。


なんとなく天内悠の主張を貼っておきますね(「グラップラー刃牙完全版」第14巻より)。
天内悠の主張


この映画、最初は「周囲のイメージによって人は変わる→ロール・プレイングの話」かと思っていたんですけど、もっとずっとストレートに「夫婦の話」だった印象。「お互いに憤り、支配しようとし、傷つけ合うだけ→それが結婚だッ!m9`Д´し ビシッ」なんて台詞がありましたが、途中で引き合いに出された「クールガール=理想の女」のくだりのように、「結局は他者なんだから、理想を押し付けないで、折り合いを付けないとね 川。・ω・)(・ω・。) ネ-」ってことなんだろうなと。ちょっとバッドエンディングっぽいけど、実はニックとエミリーにとっては「きっとここから愛なんだ 川´∀`)(´∀`) ウフフ」と思える余韻も感じたりして、よくわかりませんがスゲー面白かったです。


なんとなくこの歌を貼っておきますね↓




今回のデビッド・フィンチャー監督は褒めるところまみれなんですが、まず、キャスティングが良かった。ベン・アフレックを主演にしたのは、単にスコット・ピーターソンに似ているだけでなく、「メディアに監視されて攻撃された経験があった」ということも重視したそうですけど、“間抜けなハンサム”っぽい雰囲気がスゲー良くて、僕が今まで観たベン・アフレックの中では一番ハマッてた気がします。ロザムンド・パイクの抜擢も素晴らしくて、エイミーの得体の知れないパワフルさは、彼女にしか出来ないというか。デビッド・フィンチャー監督はインタビューで「彼女の出演作を3本か4本観ていたが、どういう人かわからなかったから選んだ」みたいなことを言ってましたが、「この人、観る目あるなぁ」と感心しましたよ。妹マーゴを演じたキャリー・クーンや弁護士役のタイラー・ペリー、刑事役のキム・ディケンズも良かったです。


左がスコット・ピーターソンで、真ん中がベン・アフレック。なんとなくスコット・アドキンスも加えてみました。
似ている3人


あと、これは「映画秘宝 2015年 01月号」に載っていた“原作との比較記事”で知ったことですけど、映画オリジナルの要素を見事に活かしていたのが素晴らしい。例えば、あの割れたアゴを隠す仕草とか、テレビでの謝罪シーンで効果的に使っていましたが、よく考えたなぁと。序盤の素敵すぎるプロポーズの場面も良くて、あれをエミリーがウソ日記に書いたのは、単に偽装するだけでなく、彼女自身に思い入れがあったからでは…なんて妄想したりしてね (ノ∀`) テヘ もうね、あらゆる面でとにかく良くできてましたな。


このプロポーズのシーン、男の僕ですら胸がときめいちゃいました (*ノ▽ノ) キャッ
素敵なプロポーズ


正直なところ、100点でも良いぐらいの満足度だったんですが、どうしようもなく不満を感じた点がありまして。それは「自宅の偽装はバレないと思うけど、デジー殺害はさすがにバレるんじゃないかなぁ」とか「“モーテルで金を奪った2人”とか、ムカつく奴らが野放しのまま終わって、留飲が下がらない!」といったことではなくて(無駄な文章)。ハッキリと書きますと、ロザムンド・パイクが乳首を見せなかったこと。これは決してスケベ心で言っているのではなくて、100歩譲って、最初のセックスシーンはブラを付けたままでも良いですよ。でも、デジーとのセックスの時も下着を上下着用ってのはあり得ないじゃないですか…(せっかく最高のシーンだったのに!)。それ以外の要素が文句ナシだっただけに、つくづく残念というか。見せないなら見せないで、不自然じゃないように撮ってほしかったです。これは決してスケベ心で言っているのではないんですけどね…(しつこい文章)。

※相互フォローさせていただいている頭巾さんからご指摘を受けたのですが、なんと終盤のシャワーシーンだけ乳首を見せていたとのこと! これは不覚でした…。となると、「だったらベッドでも見せてほしかった…」と思うのは贅沢な話でしょうか。


まぁ、そんなワケで、「ファイト・クラブ」「セブン」は別格として、デビッド・フィンチャー監督作の中でもトップクラスに好きでした (´∀`) ウフフ 町山さんが「コメディ」だと言っていたのは半信半疑だったんですが、エイミーが登場してからはかなり笑っちゃいましたね~。ここまでネタバレを読んだ人が観に行って楽しいかどうかはわかりませんけど、とにかく良く出来ているし、今作のロザムンド・パイクは一見の価値アリですぞ。

宇多丸師匠の愉快な時評がアップされたので、ぜひチェックしてくださいな。




全米大ベストセラーの原作本。非常に面白そうですな。



サントラを貼っておきますね。



町山さんが紹介されていたレオ・マッケリー監督作。ちょっと興味あります。



ビフォアシリーズのトリロジー。夫婦って大変なのよね。



一応、この地獄夫婦映画も貼っておきますね。