コリーニ事件(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

コリーニ事件(ネタバレ)

コリーニ事件

 


原題:Der Fall Collini
2019/ドイツ 上映時間123分

監督:マルコ・クロイツパイントナー

製作:クリストフ・ムーラー、カースティン・シュミットバウアー、マルセル・ハルトゲス

製作総指揮:マーティン・モスコウィック

原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ

脚本:クリスティアン・ツバート、ロバート・ゴールド、イェンス=フレドリク・オットー

撮影:ヤクブ・ベイナロビッチュ

美術:ヨーゼフ・ザンクティオハンザー

編集:ヨハネス・フーブリヒ

衣装:ジョイヤ・ラスペ

出演:エリアス・ムバレク、アレクサンドラ・マリア・ララ、ハイナー・ラウターバッハ、フランコ・ネロ、ピア・シュトゥッツェンシュタイン、マンフレート・ザパトカ、ザビーネ・ティモテオ、ライナー・ボック、ペーター・プラガー、カトリン・シュトリーベック、サンドロ・ディ・ステファノ、レオナルド・オルソリーニ、ヤニス・ニーブナー

パンフレット:★★★★(900円/ちゃんと原作小説との違いやドレーアー法の解説が載っていて、映画を観た人にはオススメの一冊)

(あらすじ)
新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


80点

※追記しました(8/30)

なんとなく面白そうな気はしつつも、他に「絶対観たい映画」が多すぎたので、「僕は『ペリーヌ物語』派だからいいや (・∀・)」とスルー予定だったんですけれども(なにこの理由)。練馬の「か和もっち」で映画仲間のえすたかさんと話した時、「ルース・エドガー」と本作をオススメされてて、スゲー気になっちゃったので、やっぱり観ることに決定。とはいえ、なかなか足を運べず、ちくしょう、気が付けば都内ではパワハラ問題が未解決のアップリンクでしか上映していなかった…ということで! 8月27日(木)、新百合ヶ丘の川崎市アートシアターにて、メンズデー割引を利用して、「ペイン・アンド・グローリー」とハシゴ鑑賞いたしました。「そうだったのか… (・ω・;) ウーム」と思ったり。

 

 

劇場は30人ぐらい入ってましたよ、たぶん。

 

僕の気持ちを代弁する烈海王を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。

 

 

最初にあらすじを超雑に書いておきますと、舞台は2001年のドイツ・ベルリン。ボクシングが趣味の新米弁護士カスパー(エリアス・ムバレク)が初めての弁護を担当することになった刑事事件の被害者は、なんと超お世話になった富豪ハンス・マイヤー(マンフレート・ザパトカ)でしてね。ハンスの娘で一時は恋仲だったヨハナ(アレクサンドラ・マリア・ララ)からなじられたりと、なかなか複雑な心境で加害者のファブリツィオ・コリーニ(フランコ・ネロ)を弁護してみるものの、肝心のコリーニが黙秘を貫くので何もできない…という面倒くさい状況に陥るのです ( ゚д゚) メンドクセー

 

 

映画冒頭、コリーニの犯行動画を貼っておきますね↓

 

 

 

ただ、コリーニが犯行に使ったワルサーP38が気になったので、頑張って調べてみたところ、「ハンスはナチスの元高官であり、幼いコリーニの目の前で父親を銃殺させていた!Σ(゚д゚;) ナンダッテー」「戦後、コリーニ姉弟がハンスを探し出して告発したものの、68年に施行されたドレーアー法のせいで、ハンスの戦争犯罪は時効になっていた!Σ(゚д゚;) ナンダッテー」なんてことが明らかになりまして。裁判官や傍聴人だけでなく、対立する検事や公訴参加代理人も「殺したのはダメだけど、酷い法律だよねー (´・ω・)(・ω・`) ネー」というムードになったことに満足したのか、コリーニったらその夜に自殺。結局、事件は審理無効になるんですが、コリーニの墓参りをした日、カスパーは幼き日のコリーニと父親がキャッキャする幻を見たのでしたーー。

 

 

カスパーは、同僚やピザ屋の店員や蒸発した父親らと協力して、真相を突きとめるんですが…。

 

コリーニったら、自殺しちゃうというね… (ノω・、) コリーニ...

 

 

非常に良い映画だと思いました。なんて言うんですかね、まずエンタメ法廷ムービーとして普通に面白かったです。本作はオーソドックスに良く出来た「新米弁護士モノ」なんですけど、さらにナチス要素が入ってくる&その描写は容赦ないし(とにかくコリーニ親子が可哀相だしナチスがムカつく!)、コリーニの動機が判明して勝利したかと思いきや「実は69年に審議されていた!Σ(゚д゚;) ナンダッテー」という一捻りがあるのも良かったし…。役者さんたちの演技も素晴らしかったんですが、特にフランコ・ネロ演じるコリーニが仇のハンスを殺すシーンの“鼻水を垂らしながらの泣き顔”が、彼の心が少年時代に戻ったかのようで、マジ最高でしてね…(しみじみ)。正直、「幼い頃のコリーニと父親の幻が見える」という終わり方は甘ったるくも感じなくもないんですけど(汗)、とはいえ、僕的にはあのフランコ・ネロの少年の面影を感じさせる名演があったからこそ、「良かったねぇ… (iДi) ウェェェェエ」とスゲー泣いちゃった次第。

 

 

パンフに載っていたラストシーン。もうね、今思いだしても涙が出ます…。

 

 

そして、そんなエンタメ映画として面白い上に、扱っているテーマが非常に考えさせられるものだったのが良かったです。ドイツと言えば、自国の過去の戦争犯罪についてキッチリ向き合っているイメージがあったのに(「愛を読むひと」とかそういう話でしたな)、「ドレーアー法によってまんまと裁かれずに逃げおおせた奴らがいた」という事実がビックリだったワケですが…。まぁ、法律と市民感情の話って他の国にも間違いなくあるだろうし、もちろん日本にも当てはまるじゃないですか。昭和から引きずっている問題では、そりゃあA級戦犯の合祀とか従軍慰安婦とか徴用工を連想せざるを得ないし、最近では伊藤詩織さんが性暴力を受けた事件が不起訴になったこととか「MeToo運動」とかと重なる話でもあるし…。どの国だろうと現在の社会システムがすべての人をスムースに救うのは残念ながら難しいけど、でも、常に良くしようとする心が大事なんじゃないか…なんてことを思ったりしたんですが、知恵熱が出てきたのでもうやめます (°∀°)b ヤメマス


 

まぁ、あとはパンフにも寄稿されていた木村草太先生にお任せしますかな…(勝手に丸投げした文章)。

 

 

 

ただ、不満が2つありまして。僕は本作の「ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは」というキャッチコピーから、勝手に実話映画だと思い込んでいたのでね(実際は「本作の原作小説が出たことで法律の不備が問題になって、調査委員会が設置された」ということらしい)、「新米弁護士が初めて担当した事件の被害者が恩人だったなんてスゴい実話!」とか感動していた分、鑑賞後にフィクションだと知って、ちょっとガッカリいたしました (ノД`) アタシッテホントバカ それとオープニング、主人公のカスパーがボクシングをしていたので、「ほほう、主人公は“ボクサー弁護士”か!(*゚∀゚)=3 ムッハ-」「今度のジャッキーは“アクション弁護士”」(「サイクロンZ」のキャッチコピー)並みに期待しちゃった分、その後は「ムシャクシャするのでサンドバッグを殴ってみました」程度のボクシングシーンしかなかったのはかなりガッカリした…って、なんだかすみませんでした (ノω・、) スミマセン

 

 

このシーンを観て、ボクシングバトルに期待したアタシがバカだったのかな…(その通りっぽい文章)。

 

 

その他、ブログを検索してみたら、2013年の母の日にフェルディナント・フォン・シーラッハの「犯罪」と「コリーニ事件」をプレゼントしていた…なんて偶然はどうでも良いとして。恥ずかしながらドレーアー法云々の話をまったく知らなかったので、「そうだったのか…ッ (・ω・;) ウーム」と勉強になった&考えさせられたし、しっかりと面白いエンタメ映画だったし、新百合ヶ丘まで行って良かったです (o^-')b ヨカッタ! 現在、上映館はかなり少なくなっていますが、法廷モノが好きな方はチェックしてみるとよござんす。おしまい。

 

※追記

そう言えばパンフを読んで知ったんですが、フェルディナント・フォン・シーラッハの祖父はナチスの高官だったそうで。そう考えるとラスト、「すべてを背負っていかなければならないのかしら…」と悩むヨハナにカスパーが言う「君は君らしく生きればいいのさ」という台詞がより重くなってくるなぁと。僕的に連想したのは安倍晋三元首相のことで、ハッキリ言って「嫌いな著名人ランキング」があったら確実に上位にランクインさせるほど大嫌いなんですけど、彼が「A級戦犯の孫」と罵られるのは酷いよなぁ…なんてことをあらためて思ったり。

 

 

 

 

フェルディナント・フォン・シーラッハによる原作小説。母さんに借りようかしら。

 

 

マルコ・クロイツパイントナー監督作。amazonでは高騰してますな (`Δ´;) ヌゥ

 

 

エリアス・ムバレクとハイナー・ラウターバッハが共演しているそうな。ちょっと面白そう。

 

 

ちょっと連想した映画、その1。アレクサンドラ・マリア・ララが出演してたそうな (゚⊿゚) ヘー

 

 

ちょっと連想した映画、その2。僕の感想はここの1本目。大好きです。

 

 

ちょっと連想した映画、その3。今度のジャッキーはアクション弁護士だッ!ヽ(`Д´)ノ