透明人間(2020年版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

透明人間(2020年版)(ネタバレ)

※本作は、非常に良く出来たSFサイコスリラー映画であり、間違いなくネタバレを知らないで観た方が良い作品なのでね、この手の映画が大丈夫な人は、劇場に足を運んでッ!m9`Д´) ビシッ

 

 

 

 

透明人間(2020年版)

 


原題:The Invisible Man
2020/アメリカ 上映時間122分

監督・制作総指揮・原案・脚本:リー・ワネル
製作:ジェイソン・ブラム、カイリー・デュ・フレズネ
製作総指揮:クーパー・サミュエルソン、ベア・セケイラ、ジャネット・ボルトゥルノ、ローズマリー・ブライト、ベン・グラント

出演:エリザベス・モス、オリバー・ジャクソン=コーエン、オルディス・ホッジ、ストーム・リード、ハリエット・ダイア、マイケル・ドーマン

パンフレット:★★★(820円/コラム2本と関係者インタビューは良かったけど…。権利&予算的に無理だと思いますが、あの透明スーツの図解記事がほしかったッ! 大伴昌司先生風でッッ!)

(あらすじ)
富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 


90点


※今回の記事は、非常に気持ちが悪い妄想がダラダラダラダラ書かれているので、そういうのが苦手な方は読まない方が良いです。

ハッキリ言って、リー・ワネル監督の前作「アップグレード」はなかなか面白かったものの、ごめんなさい、「透明人間」という題材にまったく興味が持てなくて、「それなりに観たい」ぐらいの気持ちだったんですけれども。愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」「ムービーウォッチメン」の課題映画になったということで、7月14日(火)、TOHOシネマズ渋谷にて、TOHOシネマズデイ割引を利用して、鑑賞いたしました(その後、「SKIN スキン」をハシゴ)。「サプライズ!ヘ(゚∀゚*)ノ ザマァッ!」とスーパー上機嫌になりましたYO!ヘ(゚∀゚*)ノ スーパー!

 
 
6番スクリーン、たぶんほぼ満席だったと思います。
 
夕飯として、タンドリーチキントルティーヤとコカコーラゼロを摂取しながら観ましたよ。
 
 
先ほども書きましたが、「透明人間」というモンスターにあまり興味がなくて。幼少の頃、少年向けスケベ漫画「Oh!透明人間」を読んでドキドキしたことはあれど、とは言え、やっぱり「卑怯感」が否めないじゃないですか。大好きな「プレデター」にしたって、いくら「狩り」のためだとしても、透明になるのはフェアじゃないと思っちゃうというか(ハイテク武器を持ってるくせに!)。で、そもそも、いくら人間が透明になろうともやれることの限界はあるワケだし、驚くほど露悪的な方向に突っ走ったポール・バーホーベン監督の「インビジブル」は最高だったものの、あれ以上のものは作れないだろうし…。そんなふうに考えていた時期がオレにもありました。

 

 

「透明人間」に対する僕の気持ちを代弁するシコルスキーを貼っておきますね(「バキ」より)。

 

 

本作は、波に洗われて「透明なタイトル」が出てくるオープニングから最高なんですが、何よりもストーリーがよく考えられているなぁと。DV夫から逃げる妻を主人公にしたあたりはモロに「イナフ」を連想したんですけど、その夫が「ハイテク透明人間スーツ」を使っていわゆる「ガスライティング」的な嫌がらせをしていくから、「透明人間」というモンスターの「長所」を活かす見事な設定だと非常に感心いたしました。なんて言うんですかね、僕がテーブルトークRPGのマスターとして3つのグループを掛け持ちしていた高校時代、「D&D」のシナリオで人気が高かったのが、ドッペルゲンガーやらワーウルフやらがプレイヤーに化けたりして濡れ衣を着せる展開でしてね(微笑)。人間、身に覚えのない罪で糾弾されるのが何よりもストレスに溜まるし、その分、晴れた時の爽快感が半端ないワケですよ。

 

 

要はこういうことですな(「バキ」より)。

 

 

で、本作の主人公セシリアは、布団をはがされたりという地味な嫌がらせを受けるだけでなく、親友ジェームズの娘が殴られたのを自分のせいにされたり、妹の殺害容疑をかけられたりと、上映時間の3分の2ぐらいは酷い目に遭っているだけに、それが晴れた時のカタルシスと言ったら!(*゚∀゚)=3 ムッハー 「妊娠した彼女が精神病院で自殺を図る→それを透明人間が止める」という流れから、透明人間が精神病院の警備員を次々と殺していくシーンは、「悪くない人たちが殺されていく酷い展開」ではあるものの、やっとセシリアの濡れ衣が晴れた気分の良さと、透明人間による無双アクションの面白さもあって、なんていうか……その…下品なんですが…フフ…勃起…しちゃいましてね…そっ閉じされそうな文章)。さらにラスト、「透明人間を射殺してみれば、正体はDV夫エイドリアンの兄だったけど、とは言え、真犯人はエイドリアンっぽい」という状況下、セシリアが「透明人間スーツ」を着て、DV夫のエイドリアンを自殺に見せかけて首をナイフで裂いてから、散々言われてきた「サプライズ♪ ( ̄ー ̄し ニヤッ」と言い放つシーンは、あまりの気持ち良さに源之助の腹部に粥のごときものがあふれ出た。ハッキリ言って、近年稀に見る見事な「ざまぁっ!ヘ(゚∀゚*)ノ」エンディングじゃないでしょうか。

 

 

なんとなく「シグルイ」の名シーンを貼っておきますね。

 

 

もうね、本作でセシリアを演じたエリザベス・モスの追い詰められていく演技が半端ないのはもちろんのこと。リー・ワネル監督ったら、空間の見せ方や音の使い方、長回しの入れ方とか、マジでセンスがあって。例えば、カメラを固定して誰もいないキッチンが映っている場面でスッと包丁だけが消えたりとか、良い感じに嫌な感じなんですよね…(遠い目)。まさか今どき「透明人間」を題材にして、ここまで緊張感に溢れた作品が観られるとは思わなかったというか。正直、この感想文で「おやおや、ダーク・ユニバース的にはジョニー・デップ主演じゃなかったんですかぁ?(`∀´) ケケッ」なんて意地悪な文章を書こうと思っていたんですが(と言いながら、結局書いてる意地悪なアタシ)、とはいえ、そのおかげでリー・ワネル監督が本作に抜擢されたと考えるなら、ダーク・ユニバースがポシャって良かったな…なんて失礼なことをしみじみ思った次第。

 
 
本作はエリザベス・モスの演技も素晴らしかったです。本当に可哀想だったし、最後は気分爽快だった。
 
 
その他、「冒頭の脱出シーン、犬の皿を蹴った時、ビクッとした!」とか「病院でモロに包帯をグルグル巻いたオマージュがありましたな」とか「終盤にセシリアが使う消火器、ちゃんと伏線が張られていて上手い!」といったことはどうでも良いとして。基本的にはベタ褒めですけど、実はそれなりに不満もあるんですよ。まぁ、「小型カメラを全身に設置して周囲にホログラム投影をして透明になるという設定はユニークだけど、音は? 足の裏は?」とか「さすがに旦那が単独かつ秘密裏にあそこまで開発できないだろ」とか「雨の中のチェイスがそれほど面白くなかった」とか「あれだけ頭の良い夫なら隠しておいた“もう一着の透明人間スーツ”を見つけてるんじゃないの?」といったあたりは、目をつむるとしても。
 
正直、セシリアの親友であり刑事のジェームズがあまり役に立たなかったのが残念だなぁと。特に終盤、自宅で娘の前で叩きのめされるくだりが超キツくてね…(その後の「セシリアの消火器攻撃&銃撃を引き立たせるため」だとしても!)。確かにDV夫のエイドリアンは車の助手席の窓ガラスを割る程度のパンチ力はあるし、見えない攻撃はダメージが大きいとは思う。もちろん「ブラッドスポーツ」のジャン=クロード・ヴァン・ダムのように「心眼」で戦えと言っても無理でしょうよ。でも、今どきのアメリカの警官はブラジリアン柔術を嗜んでいると聞くし、何よりもジェームズ役のオルディス・ホッジがなかなか良い肉体をしてただけに期待しちゃってたというか。例えば、僕的にはこんな展開が観たかったのです↓


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ガツン。「見えない拳」で殴られている。まさか、こんなことが現実に起きるとはな。廊下の奥に、娘の泣き叫ぶ顔が見える。すまない、君を守れそうにない。ガツン。また一発。セシリアの話をもっとちゃんと聞いておけば良かったな。この「見えないクズ野郎」こそが彼女を苦しめていたのだ。彼女の妹を殺したのだ。オレの愛する娘を殴ったのだ。すまない。ガツン。意識が遠くなる。さまざまな武道を学んできたが、見えない敵と闘う術など、習ったことがない。オレは、オレは、あまりにも無力だったーー。
 
見えない敵とは闘えないかね?
 
師匠のエリオがそう聞いてきた。懐かしい道場の畳の上。オレは「無理ですよ、そんなの」と、笑って答えた。エリオはもう90歳の老人であり、体重もオレの半分しかないのに、柔術ではまったく歯が立たない。まさに達人だったが、そんなエリオでも無理なものは無理だろう。「見えない敵とは闘えないかね?」。またエリオが聞いてきた。しつこいジジイだ。「相手の打撃はかわせないし、だいたい捕まえたとしてもどうやって技をかけるんです?」。そう答えるオレにエリオはこう言った。
 
君は目で見ながら技をかけるのかね?
 
ガツン。また一発食らったらしい。痛みで目が覚めた。確かに相手の手は見えない。だが、「胸ぐらを摑む手」を極める技は体が覚えている。右手で相手の手を摑んで捻ると同時に左手を上げ、「見えない手」による打撃を外側に逸らしながら「見えない首」を掴み、今まで何千回と練習した通りに引き込みながら「見えない腰」を片膝で押して、バランスを崩す。「見えない体」がどうと倒れると同時に、オレはスイープして、相手に体重を載せる。「見えない体」にまたがるというのは奇妙なものだ。そして…「見えない顔面」に向かって、オレは肘を振り下ろした。ゴツッ。鈍い音がした。何度も何度も肘を振り下ろす。ゴツッ、ゴツッ。何度も何度も肘を振り下ろす。気が付くと、いつの間にか娘とセシリアがオレを抱き締めて泣いていた。オレは妙なスーツを着た男に跨がっていた。顔の部分は陥没して、血溜まりができていた。師匠、見えない敵、オレなりに倒せたみたいですーー。
 
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万が一、透明人間に襲われた時のために、何とか時間を作ってまたブラジリアン柔術を習おう。自分の安い作り話を読んで泣きながらそんなことを思う僕は、少し疲れているのかもしれませんな…。何はともあれ、非常に良く出来ている上に最後は気分爽快になれる見事なサイコ・スリラー映画なのでね、この手のジャンルムービーが好きな人はぜひ観てみてくださいな。おしまい!ヘ(゚∀゚*)ノ サイコー!

 

 

 
 
本作のサントラを貼っておきますね。アナログ盤もあります。
リー・ワネル監督の前作。僕の感想はこんな感じ。
 
非常に連想した映画。最近、前に観た時よりも僕の中での評価が上がっております。

 

 

ちょっと連想した、「ガスライティング」の語源になった映画。未見なんですけどねー。

 

 

H・G・ウェルズによる有名なSF小説を貼っておきますね。

 

 
元祖「透明人間」ムービー。恥ずかしながら未見でございます。
 
昭和の日本で作られた「透明人間」映画。ちょっと観たい。
 

ジョン・カーペンター監督によるホラー…というよりコメディ映画なのです。

 

 

ポール・バーホーベン監督による、最悪な「透明人間」映画。スゲー好きです。

 

 

この映画にも「透明人間」が出てましたな。僕的には原作漫画の方が好き。

 

僕が「透明人間」を知ったのはこの漫画がキッカケでしたーー。

 

 
映画終盤、心眼で敵を倒すジャン=クロード・ヴァン・ダム主演作。僕の感想はこんな感じ。