ドミノ 復讐の咆哮(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ドミノ 復讐の咆哮(ネタバレ)

ドミノ 復讐の咆哮

 


原題:Domino
2019/デンマーク、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ 上映時間89分

監督:ブライアン・デ・パルマ

製作:ミケル・ショネマン、エルス・ファンデボルスト

製作総指揮:ジョエル・ティブー、ジャン=バプティスト・ババン、デビッド・アトラン・ジャクソン、ペーター・ガルデ、ペッテル・スカブラン、ニコライ・コスター=ワルドー、アンネ・リンドベルク

脚本:ペッター・スカブラン

撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ

美術:コーネリア・オット

美術:ビル・パンコウ

音楽:ピノ・ドナッジオ
出演:ニコライ・コスター=ワルドー、カリス・ファン・ハウテン、ガイ・ピアース、ソーレン・マリン、エリック・エブアニー、モハメド・アザーイ、パプリカ・スティーン、トーマス・W・ガブリエルソン
パンフレット:★★☆(600円/渡辺麻紀さんのコラム…というか文章が好きです)

(あらすじ)
デンマーク市警の刑事クリスチャンとラースは、パトロール中に遭遇した殺人事件の犯人を取り押さえるが、隙をつかれてラースが重傷を負い、さらには謎の男たちに犯人を連れ去られてしまう。自身のミスに失望と怒りを抱えたクリスチャンは、上司から言い渡された謹慎処分を無視し、同僚刑事のアレックスとともに犯人を追うが……。(以上、映画.comより)

 


予告編はこんな感じ↓

 

 


75点


多くの映画通に愛されているブライアン・デ・パルマ監督については、僕はそれほど思い入れがないので(汗)、当然ながら「監督作は絶対観る!」なんて気持ちは全然ないんですけれども。2017年に監督を取り上げたドキュメンタリーを観てから好感を抱いていたし(とにかくキュート!)、デ・パルマ監督が撮った犯罪サスペンスアクション的な映画は好きな作品が多いし(「アンタッチャブル」とか「スカーフェイス」とか)、主演が「ゲーム・オブ・スローンズ」ジェイミー・ラニスターを演じたニコライ・コスター=ワルドーということで、非常に興味が湧いて、前売り券を購入。それなりに楽しみにしていたんですが、他の作品を優先しているうちに、いつの間にか都内の上映が終わってしまったという、ありがちなパターン ('A`) イヤーン

 
 

前売り特典は「特製“デ・パルマ”ステッカー」でしたよ。

 

 

だがしかし! このコロナ渦…じゃなかった、コロナ鍋…でもない、コロナ禍が収まってきた昨今(不要なボケ)、営業が再開した映画館で上映されることになったのだから、時はきた!Σ(°д° ) クワッ! 脳内BGMとして「爆勝宣言」を流しながら、2020年6月10日(水)、仕事帰りにアップリンク渋谷にて前売り券を使って鑑賞いたしました(使えて良かった!)。「なんという偶然!!! (`Δ´;) ヌゥ」と驚きましたよ…。

 
 

当日のgif。観客は5人。アップリンクはひらのりょう先生によるマナーCMを愛してる。

 

鑑賞中の僕の気持ちを代弁するシーンを貼っておきますね(「バキ」より)。

 

 

基本的には「同僚の刑事ラース(ソーレン・マリン)を殺されたデンマーク市警の刑事クリスチャン(ニコライ・コスター=ワルドー)とアレックス(カリス・ファン・ハウテン)が犯人のタルジ(エリック・エブアニー)を追った結果、いろいろあってISISによる大規模テロを防いだ」というのが大筋でして。そこに「親友ラースを自分のミスで失ったクリスチャンは謹慎処分を無視して勝手にタルジを追う」とか「タルジはISISのテロリストであるアルディーン(モハメド・アザーイ)に父親を殺されていて、その復讐しようとしていた」とか「CIAのジョー(ガイ・ピアース)はタルジの家族を人質にとってアルディーンを捜索させる」とか「アレックスはラースと不倫関係にあり、子どもを身籠もっていた」といった要素が入ってましてね。さらには途中でアルディーンがオランダ国際映画祭のレッドカーペットでテロを起こすシーンが主観映像で描かれたり、クライマックスは闘牛場でのドローンを使ったテロを防ぐサスペンスだったりと、なかなか盛りだくさんな内容なんですよ。

 

 

スペインの闘牛、禁止になったのかと思ってました。

 

 

しかも、メジャー感がありつつ芸達者な役者さんたちが出ているのも良くて。ニコライ・コスター=ワルドーとカリス・ファン・ハウテンという「ゲーム・オブ・スローンズ」組は観られるだけでホッコリしたんですけど、一番グッときたのがガイ・ピアース! チラシとかちゃんと見てなかったから出演を全然把握してなかったんですが(汗)、お得意の「くせ者演技」を存分に披露していて、とても…美味しゅうございました… (´Д`;) ハァハァ 特に、拘束したタルジをクールかつネチネチと「子どもを使った精神攻撃」で拷問するシーンはまさに彼の真骨頂であり(というか、本作のガイ・ピアースの唯一の見せ場)、もし僕がやられたらコンバットスーツを蒸着する級の早さでベラベラしゃべると思ったり(たぶん「自分が全裸で拘束された状態で、女性にストッキングを履いた脚で股間を…」などと聞かれていない性癖まで話し出す予定)。

 

 

この2人が頑張ってる姿を観られるだけでもうれしい…という単純なファン心理。

 

出演を知らなかったので、ガイ・ピアースはオトク感がありました。タルジ役のエリック・エブアニーも良かった!

 

 

いわゆる“映画的”に良かったところを挙げると、冒頭、「置き忘れる銃」をこれ見よがしに映しつつ、ラストに同じ「銃のない状況」を繰り広げることで、最初に起きた問題(失敗)を最後に回収する構成になっているのは「なるほど」と。切断された指や首がちゃんと映るゴア描写も好みで、それらの要素が、例えば「切られた指を見る→犯人はナイフを持っている!Σ(゚д゚;)」といった風に、ちゃんと物語展開に結びついているのも感心しました(本作では「残酷行為=恨み」的な表現にもなっている…ような気がしないでもない (´∀`;) ジシンナシ)。それと、映画祭のテロシーンでの自撮り&ライブカメラやCIAのモニターなどはスプリットスクリーンっぽかったし、闘牛場とホテル屋上での「ボレロ」っぽい音楽を流しながらのスロー演出とかは、実にデ・パルマ監督的だなぁ…というパンフの渡辺麻紀さんのPA-KU-RI!m9・∀・) ビシッ

 

 

映画祭のテロシーン、実にスプリットスクリーンっぽいのです。

 

 

ただ、正直なところ、「面白いけど… (・ε・) ナンダカナー」的なテンションの映画というか。いろいろと盛り込んだ割には上映時間89分と短めなため、全体的に展開が性急だった印象。各登場人物のドラマはすべて回収されるものの、とにかくスパスパと適当に話が進むので、テンポが良いというよりは展開の早さに困惑したんですよね…。例えば「タルジが飛行機を利用する→顔認証で発見される」というのはCIAがあまりに無策すぎるし(「だったらNシステム的な装置で車で移動するテロリストを見つけられないの?(そういうのはヨーロッパにないの?)」と思ったりもした)、「テロリストがトマトを運搬するトラックを利用していた」と判明する展開自体は良いとしても「たまたまアルディーンが乗ったトラックとすれ違った!」というのは、さすがに偶然がすぎるのではないでしょうか…(「同じ場所に向かっていた」としても)。

 

あと、それほどリアリティにこだわっているワケではありませんが、序盤の「タルジが自分の手をナイフで切って手錠を抜く」くだり、「血を流してヌルヌルさせるぐらいで手錠は抜けないだろ」「わざわざ犯人に背を向けて電話をかける必要があるの?」と、物語の端緒となる場面なだけに、かなりイライラいたしました(「親指の関節を外す」とか「針金を使う」とかならわかる)。ラストの流れを書いておくと、クリスチャンたちがテロを防いでアルディーンを拘束すると、CIAのジョーはタルジを裏切って彼と交換しようとするも、アルディーンがケガのせいで死んでしまって、あーだこーだと揉めた挙げ句、ラースの仇を討ちたいアレックスがタルジを射殺。「少しは気が晴れた (ノω・、し」なんて言う彼女をクリスチャンが抱き締めたところで場面が変わって、映画祭での自爆テロの動画が流れて終わるんですが…。ごめんなさい、この終わり方も何が言いたいのかサッパリだった次第(パンフの脚本家インタビューによると、「まったく無関係に見える出来事がドミノ効果のように関連しているスリラーを書きたいと思っていました」「復讐と罪という古くからある概念の考察をしたかった」とのことですけど、僕にはなんだかよくわからなかったです…)。

 

 

まぁ、ラースが手錠を緩く締めたという可能性もありますがー。

 

 

その他、気になったことを書くと、「序盤にクリスチャンの彼女が見せるヌードが…エロかったです… (´Д`;) ハァハァ」とか「ラースの奥さんの“足が不自由”設定、あまり意味がなかったような…(不倫をしていたラースのクソっぷりが増したけど、その必要あった?)」とか「クリスチャンとアレックスが聞き込みをした相手に絡まれてボコボコにするアクション、不要では…」とか「闘牛場のテロシーン、現場の警察の応援を要請すべきでは?(いくら事情があっても2人で対応するのはリスキーすぎ)」とかとかとか。何はともあれ、そんなワケで、普段の僕なら「60点」ぐらいの評価だったんですが、実は本作で最初に描かれる日は「2020年6月10日」という設定→なんと僕が観た日と同じであり、「なんという偶然!!! (`Δ´;) ヌゥ」とスゲー驚いたので75点という着地(でも、なぜその設定にしたのか、監督の意図は不明。実際の「国際映画祭」の開催日が近いワケでもないし…)。なんて言うんですかね、超ラッキー☆な気分に浸りつつも、どうせならこの運をもっと他のことに使いたかったような、そんな複雑な気持ちに陥った47歳なのでした。おしまい (゚Д゚) ナンダソリャ

 

 

 

 

 

8月12日にはDVDが発売予定なのです。

 

 

デ・パルマ監督作で一番好きなのは、ベタですけど、これだったり。

 

 

デ・パルマ監督を取り上げたドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。

 

 

非常に好きなニコライ・コスター=ワルドー主演作。僕の感想はこんな感じ。

 

 

三留まゆみさん監修のデ・パルマ本。高値になりつつありますな…。