犬鳴村(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

犬鳴村(ネタバレ)

犬鳴村



2020/日本 上映時間108分
監督・原案・脚本:清水崇
脚本:保坂大輔
製作:村松秀信、與田尚志、佐野直之、藤田浩幸、宮崎伸夫、丸橋哲彦
企画プロデュース:紀伊宗之
プロデューサー:中林千賀子
共同プロデューサー:飯田雅裕
アソシエイトプロデューサー:高橋大典、神保友香
ラインプロデューサー:鶴賀谷公彦
音楽プロデューサー:津島玄一
キャスティングブロデューサー:福岡康裕
撮影:福本淳
照明:松本憲人
録音:西山徹
美術デザイナー:松永桂子
衣装:岡田敦之
装飾:野村哲也
ヘアメイク:本田真理子
特殊スタイリスト:百武朋
VFXスーパーバイザー:石井教雄
音響効果:赤澤勇二
編集:鈴木理
音楽:海田庄吾、滝澤俊輔
主題歌:Ms.OOJA
監督補:毛利安孝
助監督:川松尚良
スクリプター:古保美友紀
制作担当:高橋輝光
出演:三吉彩花、坂東龍汰、古川毅、宮野陽名、大谷凜香、奥菜恵、須賀貴匡、田中健、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子、梅津陽、笹本旭
パンフレット:★★★★(820円/設定資料が充実してるところが好き。吉田悠軌さんの都市伝説コラムもタメになる!)
(あらすじ)
臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※本作について詳しく知りたい方は「ciatr」の記事を読むと良いザンス。

当ブログでは現在、「動物映画週間」をダラダラと週を越えながら実施しているんですが、昨日はドラゴン映画の感想を更新したので(「ドラゴンは動物ではなく“架空の生物”なのでは? (`Δ´;)」なんて意見からは目を逸らしながらーー)、本日はイヌ映画の記事をアップしておきますよ。それなりの興味は抱いていたものの、特に観るつもりはなかった…んですが、しかし。この「動物映画週間」を実施するにあたって、どうしてもタイトルに「犬」が入っている本作を観たくなってしまったので、仕事で徹夜明けの2月21日(金)、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、会員サービスデーを利用しながら「前田建設ファンタジー営業部」と連続で鑑賞いたしました(その後、「AI崩壊」をハシゴ)。「惜しいなぁ… (´・ω・`) ウーン」と思ったり。


UCシネマ系列の会員サービスデーは1100円で観られるので、一気に3本鑑賞だッ!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!


3番スクリーン、観客は5人ぐらいでしたよ。



最初に褒めたいところを書いておきますね。本作の主人公は臨床心理士の森田奏で、「兄・悠真とその恋人・明菜(動画配信者っぽい?)が心霊スポットとして知られる犬鳴村に行ったら、明菜がおかしくなって自殺したり、自分の周辺で怪異が起きるようになったりしたけど、そもそも犬鳴村はアタシの一族に関係があった!Σ(゚д゚;し ナンダッテー!」って感じのお話でして。ネットの有名な都市伝説「犬鳴村」を舞台に、動画配信目当ての若者たちが酷い目に遭う…程度の話かと思いきや、横溝正史先生の小説を思わせる「血筋」要素が絡んできたのは予想外だったけど、それはそれで好みのタイプでしてね(微笑)。そこに新潟の「自殺電波塔」といった他の都市伝説や、古来から伝わる「犬神伝説」、さらに部落差別問題などの要素も盛り込んでいて、なかなか見応えのある1本になってたんじゃないかしらん。

奏役の三吉彩花さんと父・晃役の高嶋政伸さんの2人は、楳図かずお先生の漫画のキャラクターみたいでハマッてたし、明菜役の大谷凜香さんによる「放尿ウォーキング」や「走行中の車への連続投身自殺」、霊感が強い奏だけに見える「ボンヤリした霊軍団」、「電話ボックス手形攻撃」などなど、ホラー描写の数々も愉快で、さすがは清水崇監督だなぁと。「ダムに沈められた村の呪いだから、被害者がどんな死に方をしても死因が溺死になる」という設定や(最初は涙穴を高速の水滴で鋭打されたのかと思った)、「トンネルをくぐって“過去の犬鳴村”へ→ダムに沈められる前に、巫女と犬の間に出来た赤子を救い出す→その子が奏の祖母だった!」的なタイムトラベルネタも好きだし、ハッピーエンドかと思わせて「奏の口に犬の牙が見える」という不穏なムードの終わり方も決して嫌いじゃなかったです。


顔面に点在する急所の一つ「涙穴」は、水滴で鋭打されると…。


目と鼻に微量の水が叩き込まれて溺れる…という「グラップラー刃牙」知識。



だがしかし! 残念に思うところもスゲーあるという面倒くさいアタシ。「映画秘宝2020年02 月号」掲載の監督インタビューを読むと、韓国のフェイク・ドキュメンタリー「コンジアム」を例に挙げながら、「あらゆる装備を持って心霊スポットに行きひどい目に遭う映画がたくさんある」「同じことはしたくない」「見応えがある劇映画として作ることにしました」なんて仰有ってまして。もちろんその姿勢自体は全然良いんですが、ハッキリ言って、「犬鳴村が都市伝説として有名です」要素と「主人公が属する森田家は、犬鳴村を住民ごとダムの底に沈めた権力者であり、奏は犬鳴村の巫女の血を引いていた」展開をちゃんと料理できてなかった印象。

正直、本作冒頭の「撮影しながら犬鳴村に潜入するシーン→オープニング」の流れはそんなに上手くないと思ったし(ずっと主観ショットが続いてから第三者視点になると、一気に劇映画っぽくなって緊張感が削がれた。それが狙いなのかもしれませんがー)、奏に関しては「えっ、お前はそんな超近所に住んでいた上に自分の血筋にまつわる話でもあるのに、犬鳴村の存在自体を知らなかったの?(°д°;) マジ?」と思ったし…(あんなに祖父祖母と仲が良かったら話を聞いてそう)。なんか全体的に中途半端というか、だったら最初から「血と因習と因果の話」で固めてほしかった…なんて思ったり(「としまえん」みたいに冒頭とラストに都市伝説要素を入れる構成で良かったのでは)。

それと、本作では高島礼子さんが犬化するワケですけど、「コクソン」での國村隼さんのビースト化「よこがお」筒井真理子さんの犬化と比較すると、若干の物足りなさがあって。ごめんなさい、もう少し見せ方を工夫してほしかったです。あと、犬鳴村の記録映像はスゲー良かったんですが(村人を騙してダムを作ったことが問題になるというのは「アナと雪の女王2」と同じですな)、古川毅さん演じる“奏を導く幽霊”成宮健司が万能すぎる気がしたというか、物理的な干渉が可能っぽく見えたから「お前がカギを渡したり、赤子を逃がしたりすればいいだろ (゚⊿゚)」と思わなくもなかったです。


まぁ、僕的にはこんな郭海皇気分になる場面が少なくなかったのです(「刃牙道」より)。



ただ、最もガッカリしたのはクライマックス、犬鳴村の巫女が犬化するくだりでしてね。まず、無駄に長い。「奏たちがキャーキャー言う (´Д`;し キャーキャー」→「巫女が体をグキグキしながら犬化する 川°д°) ガルルル」→「奏たちがキャーキャー言う (´Д`;し キャーキャー」→「巫女が体をグキグキしながら犬化する 川°д°) ガルルル」→「奏たちがキャーキャー言う (´Д`;し キャーキャー」みたいなシーンが漫☆画太郎先生の漫画のように繰り返されるから、「さっさと逃げろよ ( ゚д゚)、 ペッ」としか思えなくて、かなりイライラいたしました。

そして、何よりも弱そうだった。犬っぽくなった巫女のビジュアル自体は頑張っているものの、成宮健司(霊)と悠真の2人に押さえられる程度の身体能力だから、全然怖くないんですよ。たぶん悠真が格闘技を取得していたら退治できそうなレベルというか。僕的にJホラーの恐ろしいところって、精神攻撃やら人智を越えたフィジカルやらで「かなわない… (ノω・、)」と思わされる部分なんですが、本作の“それ”は十分制圧できるように見えて失笑しちゃいましたよ…なんて文章を書いている僕の背後に“犬化した巫女”が現れてーー!? (°д°;) ヒィィィィ!


すみません、ここまで読んだ人の気持ちを代弁する素敵な曲を貼っておきますね↓




その他、「本作の直前に観たのがダム賛美映画だったから、ちょっと笑った」とか「水木薫さんが祖母役で出ていてうれしかった」なんてことは置いとくとして。ううむ、文句も結構書いちゃいましたが(汗)、とはいえ、好きなところの方が多いだけに「惜しいなぁ… (´・ω・`) ウーン」と思った次第。何はともあれ、Jホラーが好きな人ならチェックしといた方が良いと思いますけど、「映画秘宝2020年02 月号」の記事によると、犬鳴村近辺の住民は心霊スポットに来る人たちにスゲー迷惑しているそうなので(昔、小坪トンネル近辺に住んでいた知人も同じようなことを言ってた)、心霊スポット探訪はやめましょうね (o^-')b ダメ、ゼッタイ




デジタル盤のサントラ。それにしても、この「トンネルが顔のように見えるメインビジュアル」は素晴らしいと思う。



小説版。映画の補完になりそうですな。




本作に影響を与えたというホラー映画。未見なので、スゲー気になっております。



「映画秘宝2020年02 月号」で推薦されていた都市伝説系ジュブナイル。「犬鳴村」の話も載ってるとか。



心霊スポットにギンティ小林さんたちが挑む蛮勇シリーズの第一弾。犬鳴峠が出てきます。