フリーソロ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

フリーソロ(ネタバレ)

フリーソロ



原題:Free Solo
2018/アメリカ 上映時間100分
監督・製作:エリザベス・チャイ・バサルヘリィ、ジミー・チン
製作:エバン・ヘイズ、シャノン・ディル
製作総指揮:ウォルター・パークス、ローリー・マクドナルド、ティム・ポストレ、マット・レナー
撮影:ジミー・チン、クレア・ポプキン、マイキー・シェイファー
編集:ボブ・アイゼンハルト
音楽:マルコ・ベルトラミ
音楽監修:トレイシー・マクナイト
主題歌:ティム・マッグロウ
出演:アレックス・オノルド、トミー・コールドウェル、ジミー・チン、サンニ・マッカンドレス
パンフレット:★★★★(720円/オーソドックスに良い出来。コラムの人選も良いし、キーワード解説もタメになった!)
(あらすじ)
ナショナル・ジオグラフィック誌の表紙を飾るなど、世界で著名なクライマーの1人として活躍するアレックス・オノルドには、1つの夢があった。それは、世界屈指の危険な断崖絶壁であり、これまで誰もフリーソロで登りきった者はいない、米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑むこと。この前人未到のフリーソロのために幾度の失敗と練習を重ねてきたオノルドは、2017年6月3日、ついにエル・キャピタンへの挑戦を開始する。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




93点


昨日は「海の映画」の記事をアップしたので、なんとなく本日は「山の映画」の感想を更新しておきますけれども。残念ながら映画の内容とはあまり関係のない文章から始まるので、そういう文章を読むのが苦手な人は気をつけていただければと思います。さて、2019年9月6日に新宿ピカデリーなどで公開された本作ですが、なぜ年が明けた1月下旬、すでにソフト販売配信がスタートしているにもかかわらず、わざわざ厚木まで行って映画館で観たかというと、「自宅で観たら、ハラハラするシーンで止めてしまいそう (´Д`;)」ということだけでなく。「パンフレットを買ってしまったから」という理由もあるのです。


良い出来ながらも、登ったルート図などがあったら、もっと良かったカモ。



最近は、公開終了週ぐらいに観に行くことが多いんですが、そうなるとパンフが売り切れていることも少なくないため、観ようと思っている作品はあらかじめ買っておくようにしてましてね(そのせいで「山〈モンテ〉」とか「ホテル・ムンバイ」とか同じ作品のパンフを2冊買ったことも…)。本作も絶対観ようと思っていたので早めに買ったものの、都内上映中には観に行けなくて、「せっかく買ったのに… (´・ω・`) ウーン」とションボリな心持ちですよ。横浜などでの上映時もタイミングが合わなかったため、ちくしょう、もう諦めよう、いっそ舌を噛み切って死のう…などと思っていたところ! なんと神奈川県の厚木で1月25日〜2月7日まで上映されることになっていたから、チャンス到来!Σ(°д° ) クワッ 1月29日(水)、あつぎのえいがかんkikiにて、水曜サービスデーを利用して、鑑賞しました(その後、同じく見逃していた「地獄少女」「EXIT イグジット」をハシゴ)。「よもやあれ程とは…ッッ (`Δ´;)」と思ったり。


当日のgif。3作品ともスクリーン1で鑑賞。観客は僕の他に1人だけでした。


僕の気持ちを代弁する本部以蔵を貼っておきますね(「刃牙道」より)。



最初に内容について書いておくと、世界的に有名なクライマーのアレックス・オノルドが、ロープや安全装置を使わない「フリーソロ・クライミング」で、アメリカ・ヨセミテ国立公園にある断崖絶壁「エル・キャピタン」に挑むまで、そして挑んだ時の様子(ここが「ラスト20分」)を映したドキュメンタリーでしてね。サンニという恋人ができたことでライフスタイルが少し変わったり、練習中にケガをしたり、挑もうとして断念したり、監督 with 撮影隊も「撮ることで彼が失敗したら…」と悩んだりしたものの、2017年6月3日、アレックスはフリーソロで「エル・キャピタン」を見事制覇!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ! 喜びの中、「次はどうする?」と聞かれたアレックスが「懸垂かな ( ̄ー ̄) ニヤッ」と答えて指だけの懸垂を披露したところでエンドクレジットに突入すると、「3人の名前が並んでいるのに『ゆかりの故人に捧ぐ』と雑にまとめたテロップ」が出て終わってましたよ、たぶん。


約1000メートルの高さがある巨岩「エル・キャピタン」。


アレックスったら、己の肉体のみで登り切ったというね… (°д°;) スゲェ...



本編映像①を貼っておきますね↓




いや〜、スゴい男のスゴいドキュメンタリーというか。昔、「バキ」を読んだ時「その実、奥深く1センチメートルにも満たない突起物を手掛かりに全体重を支える技術が幾通りも存在し」「その道の1流となれば指一本で全体重を支えることも可能」といった「ロッククライミング」に関するウンチクが出てきて、「へー、そうなんだー (゚⊿゚) ヘー」ぐらいに思っていたんですけど、本作を観たら、「あのシコルスキーならあるいは!!! Σ(°д° ) クワッ」の場面を目の当たりにした気分(伝わりにくい文章)。突起とすら言えないレベルの場所に指を引っ掛けて、靴の摩擦だけで登って行ったりとか、アレックスが繰り広げるクライミング技術の数々はスゴいとしか言いようがなくて。しかも、失敗=即死って状況で淡々とこなしていくのだから、スゲー感動&尊敬しつつも、スゲー心臓に悪くてね…。そりゃあ「映画になっているんだから死なない」とは思っていたものの、これ、家で観ていたら何度も映像を止めちゃったと思います。


一応、「あのシコルスキーならあるいは!!!」の場面を貼っておきますね(「バキ」より)。



本編映像②でございます↓ さまざまな技術を駆使して登って行くのです。




アレックス本人のキャラクターも面白くて。僕ったら浅薄なのでね(苦笑)、「ただでさえ登るのが大変なのに、器具を使わずに登るなんて、相当無謀な性格の人なんだろうな」と思いきや、驚くほど知的でクールだったからビックリですよ(名門バークレー大学に入れたレベル)。フリーソロは蛮勇で達成できるようなものではなく、緻密な計画と反復練習の結果なんだなぁと。まぁ、僕がフリーソロをやるなんてことは一生ありませんけど(普通の山登りだって嫌いだし)、その真剣に物事に向き合う姿勢は見習いたいと心から思いました。「人と接するのが苦手だから1人で登ってた」とか「毎年、年収の3分の1を寄付」といったエピソードも良くて、スゲー好きになりましたヨ (´∀`) スキヨ


アレックス、身体能力だけでなく、「いつでも平静を保てる心の強さ」も超人級なのです。



撮影と編集も素晴らしかった。「そういえば、この手のドキュメンタリーって、どうやって撮ってるんだろ?(・ε・)」と思っていたら、自分たちも重い機材を担いで登りながら撮っていたから、「マジか!Σ(゚д゚;)」と(ドローンなども使っているものの、スゲー登りまくってた)。そりゃあ迫力ある映像が撮れるよなぁと感心いたしました。あと、監督 with 撮影隊が「撮ることで、アレックスの邪魔をしているのでは?」「撮影することが彼を追いつめているのでは?」(パンフによると「普段はやらないけど、カメラが回っているからやってしまう」というのを「コダックの勇気」と呼ぶそうな)「もし死ぬところを撮ってしまったら…」などと葛藤するドラマを入れたことで、観客が頭に浮かべそうな「危険なフリーソロを撮影する側への疑問」に答えているのも良いし、難所で失敗&練習する場面を何度も入れることで終盤にクリアするシーンを盛り上げたのも上手だし(空手キック!)、アカデミー賞受賞も納得のクオリティじゃないでしょうか。


努力を積み重ねてクリアするという「スポ根映画」的な面白さもあるというね。



それと、恋人のサンニが良かった。まぁ、この手の話って「求道者は幸せな家庭を持つとダメ」的なところに落ち着く感があって。正直、僕も最初は「邪魔だな ( ゚д゚)」ぐらいに思ったというか、「娘さん、よく聞けヨ、山男にゃ惚れるなヨ」「山に吹かれりゃヨ、若後家さんだヨ」と「山男の歌」の1番を歌いそうになったんですが、しかし。サンニは自分の愛に結構揺るがなくて。で、アレックスも文句は言いながらも、とはいえ、幸せそうでもあって。なんて言うんですかね、道を究める人にはハングリー精神が求められがちですけど、「逆に愛情が人を強くすることだってあるんじゃないか?」と。そもそも、確かにアレックスが達成したことは偉業だけど、でも、彼が否定した「普通の幸福な家庭」を築くことだって十分難しいし偉業なんじゃないかと思ったし、アレックスに惚れながらも「その目標」にまっしぐらなサンニは、それはそれでとても輝いて見えたのでした (´∀`=) ステキネ


たまにはションボリしつつも、アレックスを愛するサンニを観ていたら…。


村上もとか先生のボクシング漫画「ヘヴィ」のアレックス(奇しくも同じ名前)の言葉を思い出したし…。


松本梢江も重なった…という、伝わりにくい例え(「バキ」より)。



その他、思ったことを書いておくと、「そう言えば『クレイジー・フォー・マウンテン』のオープニング映像にアレックスが出てた!」とか「『友だちが30〜40人は死んでる』というクライマー事情にゾッとした」とか「『みんな、僕が死んでも普通に生きてく』と中学生っぽく語るアレックスに萌え」とかとかとか。鑑賞後は「よもやあれ程とは…ッッ (`Δ´;)」と冷や汗が流れたというか、もうね、見事としか言いようがないドキュメンタリーでしたねぇ…(しみじみ)。もう劇場で観るのは大変かもしれませんが、配信でも何でも観ておくと良いです。で、唐突に小市民的な文章を残しておくと、今回、厚木で観た3本の映画はどれも劇場にパンフレットが売られていなくて。「先に買っといて良かったぜ… (`∀´)」と心底思った次第。


3作品とも買っといた→劇場で売ってなくて。


思わず僕は愚地克巳気分になった…って、どうでも良いですかね(「グラップラー刃牙」より)。



おしまい (`∀´) ククク...




デジタル盤のサントラ。輸入CD盤アナログ盤もあります。



すでに配信がスタート&ソフトも販売中なのです。



アレックス・オノルドとデイヴィッド・ロバーツの共著。ちょっと読みたい。



アレックスの盟友トミー・コールドウェルの著作。こちらも面白そうです。



本作と同じ監督たちによる山岳ドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ



アレックス・オノルドも出てた山岳ドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ