ホテル・ムンバイ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ホテル・ムンバイ(ネタバレ)

ホテル・ムンバイ



原題:Hotel Mumbai
2018/オーストラリア、アメリカ、インド 上映時間123分
監督・脚本・編集:アンソニー・マラス
製作:ベイジル・イバニク、ゲイリー・ハミルトン、マイク・ガブラウィ、ジュリー・ライアン、アンドリュー・オギルビー、ジョーモン・トーマス
製作総指揮:ケント・クベナ、ジョナサン・ファーマン、ライアン・ハミルトン、イン・イェ、マーク・モントゴメリー、デブ・パテル、ジョン・コリー、ジョゼフ・N・コーエン、ゲイリー・エリス
脚本:ジョン・コリー
撮影:ニック・レミー・マシューズ
美術:スティーブン・ジョーンズ=エバンズ
衣装:アナ・ボーゲージ
編集:ピーター・マクナルティ
音楽:フォルカー・ベルテルマン
音楽監修:ローラ・カッツ
出演:デブ・パテル、アーミー・ハマー、ナザニン・ボニアディ、ティルダ・コブハム=ハーベイ、アヌパム・カー、ジェイソン・アイザックス
パンフレット:★★★☆(815円/映画を補完する良いコラムが2本。ただ、他の関連作にも触れてほしかったなー)
(あらすじ)
2008年11月、インドを代表する五つ星ホテルが500人以上の宿泊客と従業員を人質にテロリストによって占拠された。宿泊客を逃がすために、プロとしての誇りをかけてホテルに残ったホテルマンたち。部屋に取り残された赤ちゃんを救出するため、決死の覚悟で銃弾の中へと向かう父と母。テロリストたちに支配される極限の状況下で、特殊部隊の到着まで数日という過酷な現実を前に、人々の誇りと愛に満ちあふれた脱出劇が描かれる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




75点


現在、「映画の感想」が100本も溜まっていて、どれから書けば良いのか途方に暮れていたんですが、しかし。新型コロナウイルスの影響で映画館が軒並み休館→愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画が「昨年のリスナー枠」から選ばれることになった→本作が課題映画になったということで! 最初はあまり観る気がなかったものの「リスナー枠」に入ったので、昨年の12月10日(火)にキネマ旬報センターメンズデイ割引を利用して鑑賞した&昨日、“「UTAMARU-NEXT」の付き合いで加入したU-NEXT”の配信で観た感想を書いておきますよ。まぁ、正直なところ、「良い映画だけど… (´・ω・`) ションボリ」って思ったり。


スクリーン3、観客は10人ぐらいいた記憶。


スタッフが書いたポップがありました。可愛い!



本作はアンソニー・マラス監督が、2008年に起きた「ムンバイ同時多発テロ」を検証したドキュメンタリー作品「Surviving Mumbai」を観たことがキッカケとなって作られたそうで。要は、最近流行りの「実話ベースのフィクション」なんですが、テロがリアルに描かれていて感心いたしました。もうね、「地獄のよう」という形容がピッタリのシーンが連発されるんですよ。街を破壊しまくる&タージマハル・ホテルを制圧するシーンとか凄惨のひと言だし、ホテルの客たちがテロリストに銃撃されて混乱しながらも必死に逃げるクライマックスも凄まじい臨場感だし、テロ描写に関しては褒めるところだらけ。僕が一番興味深かったのが、アーミー・ハマー演じるデヴィッドが“弱っているテロリスト”を襲おうと画策するもアッサリ返り討ちにされるシーンでしてね。そりゃあ銃器を持ったヤクザ軍団を素手で皆殺しにする雨宮兄弟は大好物だけれども、現実ではこんな末路が普通なんでしょうな…。あらためて「銃って怖いなぁ… (´Д`;) イヤーン」と思ったり(小並み感)。


反撃しようとして射殺されちゃうアーミー・ハマー。「コードネームU.N.C.L.E.」の時の戦闘力があれば… (ノω・、) クヤシイ


鑑賞中の僕の気持ちを代弁するSirとゲリー・ストライダムを貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。



人物描写もなかなか良くて。臨月の妻を持つ給仕アルジュン(デヴ・パテル)に“インド最高のシェフ”オベロイ料理長(アヌパム・カー)、アメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)とその妻で富豪の娘ザーラ(ナザニン・ボニアディ)、ベビーシッターのサリー(ティルダ・コブハム=ハーベイ)、女性の乳首の大きさにこだわりを持つロシア人実業家ワシリー(ジェイソン・アイザックス)、そしてテロリストの若者たちが織りなす群像劇としても面白いのです。特にホテル側の登場人物は、ちゃんと「逃げていい」と従業員に伝える&帰る従業員を責めないオベロイ料理長が超渋いわ(本作では唯一、実在の人物だとか)、「アンタもテロリストの仲間なんでしょ!川;`Д´)ノ キィィィッ!」とか言い出す“怯え老婆”を優しく諭すアルジュンがカッコ良すぎるわと(大切な「パグリー(ターバン)」を負傷した客のためならサラリと外す姿勢も素敵!)、見どころが多かったですな。ちなみに、この事件を描いた映画は他に「パレス・ダウン」「ジェノサイド・ホテル」があって、“「UTAMARU-NEXT」の付き合いで加入したU-NEXT”で2本とも配信されていたので観てみたんですけど、本作がズバ抜けて良かったです(というか、他の作品とは描こうとしていることや、予算の規模が違うんですがー)。


安定のリーダーシップを発揮するオベロイ料理長を演じたアヌパム・カー、激シブでしたな。


デヴ・パテルも超カッコ良かった! 「身重の妻」が死亡フラグにならなくて良かった… (ノД`) ヨカッタ...



その他、思ったことを書いておくと、「宗教のせいで暴走する人(テロリスト)に、宗教のおかげで寛容な人(アルジュン)が立ち向かう構造がイイ」とか「映画が始まる前に流れる制作会社とかのロゴが多い」とか「テロリストの若者たちがマジでムカつくけど、彼らを利用する大人がクズということも分かるように描かれているのが良かった」とか「同じイスラム教徒を前にして、テロリストの信念が揺らぐシーンが好き」とか「この事件で犠牲になった32人のうち半分以上が従業員だったというのは確かに美談ではあるけど(500人以上いたのに32人の犠牲で済んだのもスゴいし)、なんとなく現在の新型コロナウイルス関連の“現場で働かざるを得ない人たち”も連想して、何とも言えない気分にもなった」とかとかとか。一応、オチを書いておくと、オベロイ料理長とアルジュン、ザーラと赤子、サリーは生き残って、テロリストたちは全滅(1人逮捕で、首謀者は捕まらないまま)。エンドクレジット前に「その後のタージマハル・ホテルの様子」などが映って、終わったんじゃないかしらん。


この従業員は客を守って死ぬんですが、それって職業倫理を越えてると思わなくもないというか… (・ω・;) ウーン



そんなワケで、本来なら80点オーバーは確実の「骨太の名作」なんですが、75点という評価に落ち着いたのは、「テロの首謀者が捕まらないまま終わってスッキリしないから」とか「ここ最近、本作や『ウトヤ島、7月22日』のような“現実ベースのハードな作品”を観るのが辛くなってきたから」といったことが理由ではなく。ちくしょう、パンフを2冊買ってしまったからーー。僕には「観る予定の作品のパンフはあらかじめ買っておく」という習性があって、実際に観ようとした時にパンフが売り切れていたりすると、「先に買っといて良かったわ!(`∀´) オホホホホホ」と非常に勝ち誇った気分になれるものの(「フリーソロ」とか)、つい買ったことを忘れて購入→2冊になってしまうこともあって、そんな時は本当に本当に悔しいのです(「山〈モンテ〉」とか「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」とか)。だから、その悔しさを忘れないためにも75点にした…なんて、「テメエ、舐めてんのか!( ゚д゚) コロスゾ」と怒られそうな評価基準を垂れ流して、この駄文を終えたいと思います。


どうして買ってたことを忘れちゃうのかなぁ…バカなのかなぁ…。



おしまい (ノω・、) アタシッテホントバカ




すでに配信が始まっていて、ソフトも販売中なのです。



デジタル盤のサントラ。国内CD盤輸入CD盤もあります。



2015年の作品。ホテルでサバイブしようとする少女のドラマでございます。



2017年の作品。ホテルの部屋に立て籠もった人々の苦闘を描いてました。



タイトルで連想したドン・チードル主演作。町山智浩さんがバトルしてたのも懐かしいですな…。