劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(ネタバレ)

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer



2019/日本 上映時間66分
監督:田崎竜太
原作:石ノ森章太郎
脚本:下山健人
音楽:佐橋俊彦
主題歌:DA PUMP
アクション監督:宮崎剛
特撮監督:佛田洋
出演:奥野壮、押田岳、大幡しえり、渡邊圭祐、稲葉友、クリス・ペプラー、ISSA、YORI、TOMO、KIMI、U-YEAH、KENZO、DAICHI、前野朋哉、若林時英、斉藤秀翼、パパイヤ鈴木、生瀬勝久、木梨憲武
声の出演:小山力也
パンフレット:★★★(1550円/久しぶりにDVD付きを買って、DVDの映像がこの程度だということを思い出しました)
(あらすじ)
消滅の危機にある仮面ライダードライブを救うため、1575年の戦国時代へやってきた常磐ソウゴ/仮面ライダージオウたちは、後世で「魔王」と言われる、かの有名な織田信長と出会う。さらに、そんなソウゴたちの前に「歴史の管理者(クォーツァー)」が立ちはだかり、その傍らには不敵な笑みを浮かべるウォズの姿があった。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※本作に関しては、結騎了さんのレビューが素晴らしいので、ぜひ読んで!

いわゆる“夏の戦隊&ライダー映画”は取引先の特撮オタクの人と劇場で観るのが毎年恒例になっているだけでなく、スーパー戦隊を愛する娘のマナ子(仮名/8歳)が同時上映の「騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!」を観たいと訴えてきたということで! 7月下旬の公開日に取引先の人と、その翌週の金曜日に娘と観てきました(2回とも劇場はユナイテッド・シネマとしまえん)。「えれぇものを見ちまった (`Δ´;)」と思ったり。


2回目、娘と観た時のgif。1番スクリーン、10人ぐらいでしたよ。


鑑賞後の僕の気持ちを代弁する愚地独歩を貼っておきますね(「刃牙道」より)。



最初にあらすじをかなり省略しながら雑に書いておくと、仮面ライダーゼロワンの夢を見た常磐ソウゴ/仮面ライダージオウが「ジオウが終わって、新しいライダーが始まるんだ!(°д°;)」なんてことを言いだすところから始まりまして。で、いきなりテレビ画面にクリム・スタインベルトが登場。頼まれたので、明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツと一緒にスタインベルト家の屋敷へ行ってみれば、詩島剛/仮面ライダーマッハがいたり、ジョウゲン/仮面ライダーザモナスに襲われて「スタインベルト家に伝わる十字架」を盗まれたりしましてね。ザモナスが過去に行くと、屋敷跡が消失&詩島剛が変身できなくなったりしたので、ソウゴとゲイツとウォズ/仮面ライダーウォズツクヨミ1575年の戦国時代へ。

ザモナスとその仲間のカゲン/仮面ライダーゾンジスが、クリムの先祖のクララ・スタインベルトを暗殺しようとする中、クララに恋した織田信長やその配下の忍者・牛三が登場して、ゲイツが信長の代わりに長篠の戦いに参加したりと、すったもんだがありました ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ みんなで協力して敵を退けると、現代に戻ると、クリムと詩島剛からライドウォッチをもらって、めでたしめでたし…と思いきや! なんと常磐SOUGO/仮面ライダーバールクスと謎の男たちが登場するというね。

彼らは“時の管理者”クォーツァーで、SOUGOやウォズ曰く、ソウゴはSOUGOの代わりにライドウォッチを集める替え玉であり、「平成ライダーは設定も世界観もバラバラで統一感がないという声が多い」のもあって、クォーツァーたちで平成をやり直すつもりだったのです。逆重力装置によって「平成生まれの人や物(東京スカイツリーなども含む)」を空に吸い上げ始めるから、さぁ大変! で、ソウゴは落ち込んだりもしたものの、仮面ノリダーや詩島剛に励まされ、さらには未来の自分=オーマジオウにも活を入れられて、「他の人や平成ライダーなんか関係ない、オレが王様になりたかったのは世界を良くするためだ!」と開眼!Σ(°д° ) クワッ

オーマフォームに変身すると、寝返ったウォズが祝ってくれて、歴代平成ライダー最強フォーム軍団とともに、巨大化したバールクスに「番組のロゴを背負った平成ライダーキック」を食らわして、平成おじさん風に倒しましてね。ウォズが死に、ゲイツやツクヨミも消えていく中、クォーツァーたちに「平成をやり直したくはないか?」と言われたソウゴは「人生が美しくないのは当たり前じゃん、本に書いてあるワケじゃないんだから」なんて答えまして。帰宅してみたら、順一郎おじさんと一緒にゲイツやツクヨミ、死んだはずのウォズまでいて、ハッピーエンド。「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜」とともに景気よくエンドクレジットが流れてから、ゼロワンが登場してゾンジスを倒すと、「仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション」の予告が流れて、終わってたんじゃないかしらん。


バールクス、本当にこんな感じで死ぬんですよ… (´Д`;) ホントダヨ!



最後に流れた「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜」の特別動画を貼っておきますね↓




ハッキリ言って、「スゲー面白かった!」という気持ちと「スゲー微妙だった…」という気持ちの「二つ我にあり!Σ(°д° ) クワッ」という感じでしてね。良く書けば、『春の大戦映画』をしっかり考えて作った」って印象。雑なドラマ展開とか、客演ライダーが大量に出現したりとか、最後に「番組のロゴを背負った平成ライダーキック」を食らったバールクスが平成おじさん風に死ぬくだりとか(本当だよ!)、「春の大戦映画」っぽい“やりたい放題”なテイストが随所に盛り込まれているんですよ(実際に監督は「オールライダー レッツゴー仮面ライダー」オールライダーブレイクを越えようと思ったそうな)。ただ、「急いで作ったから、こうなっちゃった… (´Д`;) ゴメンネ」というのではなく、「あえてこうしました ( ̄ー ̄) ニヤッ」という作り手の自信がストレートに伝わってきたというか。

それは、最近はテレビシリーズの“真の最終回”的な意味合いが強い「夏のライダー映画」である「仮面ライダージオウ」の物語として、そして「平成ライダー」というカテゴリの総括として、スジがしっかり通っているからじゃないかと。テレビシリーズが“王としてのジオウ”の話なら、本作は“平成ライダー20作目のジオウ”の話でしてね。ウォズが第四の壁を越えてこちらにバンバン話しかけてくるだけでなく、クォーツァーたちが「平成ライダーをなかったことにする」のが目的だったりと、非常にメメタァメタ的な作りになっていて。平成ライダー以外の仮面ノリダーやらファンクラブ限定コンテンツやら舞台やらネット配信やら漫画やら稲垣悟郎さんやらのライダーも大量に登場させて(敵も仮面ライダーブラックRX仮面ライダーシンなどをモチーフにしているし)、平成という時代に繰り広げられた仮面ライダーの世界の芳醇さを見せながら、「作品それぞれに魅力がある=自分は自分」という個を重視する着地になったのは、スゲー好きでしたねぇ…(しみじみ)。


仮面ノリダーが登場した時、劇場の“大きいお友だち”が一斉に爆笑しておりました。




「仮面ライダーG」の動画↓ テレビシリーズに出てきた釈由美子さんは「G」からの客演だったのか?(違う)




その他、好きだったところを列挙していくと、「ウォズの『私までコスプレしたら、見ている人が混乱するからね』と『君を「我が魔王」と呼ぶのは嫌いじゃなかった』の台詞」とか「カゲンが仮面ライダーゾンジスに変身する際、指が『J』になるところ」とか「クララの『お礼に鉄砲送ります、三千挺ほど』の台詞」とか「ウォズの『我が魔王』から信長が『魔王』と呼ばれるようになるくだり」とか「平成生まれだけを吸い込む逆重力装置(スカイツリーが吸い込まれた時は笑った)」とか「SOUGOの『お前たちの平成って、醜くないか?』の台詞(つーか、ISSAさんの起用は『仮面ライダー THE FIRST』から?)」とか「仮面ノリダーの『オレは認められなかった。だからずっとここにいる』の台詞」とか「詩島剛の『みんながウォッチを渡したのは、王様だからじゃない、お前だからだ』の台詞」とか「平成ライダーの連続パワーアップシーン!」とか「バールクスがRXモチーフ→最後はバイオライダーになる展開RX最強説から?)」とか「おじさんの『とうとう王様になったんだってね』の台詞(あの世界の『王』って何なの?)」とかとかとか。あと、ISSAさんだけでなく、DA PUMP全員を起用したのは面白いと思ったし(彼らが演じたクォーツァーが作り直す『平成ライダー』をちょっと観てみたいと思った人は少なくないハズ!)、最後に流れる主題歌「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜」はいろいろなことをウヤムヤにする勢いと多幸感があって良かったですね。


ということで、今度は「P.A.R.T.Y. 〜ユニバース・フェスティバル〜」のPVを貼っておきますね↓




だがしかし! スゲー微妙に感じたところを書いておくと、それにしても話が雑ですよね。つーか、前半の織田信長のパート自体は「戦国自衛隊」みたいで嫌いじゃなかったし(前野朋哉さん演じる信長も可愛かったし)、「歴史は後世に語り継がれていることが正しいとは限らない」というテーマはユニークだし、後半パートでもそれが重要になるワケですけど…。そもそも敵が仮面ライダードライブの歴史を消そうとする意味がないじゃないですか。「それもクォーツァーのシナリオ通り」と言われれば「あー、そーですか (・ε・)」としか返せませんが、とは言え、ウォッチを集めたい側の工作としてはやっぱりおかしいだろと。信長パートに関しては、2回観ても全然納得できなかったです。

それと、本作の「メタ的に平成ライダーを総括する」という試み自体は面白いけど、でも、それってマッチポンプ感も強いじゃないですか。そりゃあクォーツァーはメタ的な存在だから「なんで元号や仮面ライダーに執着するの?」という部分はスルーするとしても、別に東映サイドが視聴率やらオモチャ販売やら興行収入やらのために「各作品の世界観がゴッチャになって大変!」みたいな話のテレビシリーズや映画を作ったり、一度は終わらせた話のスピンオフで商売をしたりしてるワケでさ。そういう状況下で露悪的にこういう作品を撮られても、楽しみながらもどこか釈然としない…って、伝わりますかね。本当に「平成ライダー」をメタ的に総括するのなら、クォーツァーが「平成ってライダーの変身アイテムが多くないか?」と玩具展開を指摘したりとか、オーマジオウライドウォッチを手にしたジオウがCMを始めるといったシーンを観たかった…って、無理ですよね (ノ∀`) スミマセン

その他、乗れなかったところを書いておくと、「八幡塚古墳1200人ものエキストラを集めて撮影したのはスゴいけど、ビジュアルは安っぽいよね…(つーか、周囲に集まっている人たちは何?)」とか「トラの毛皮の玉座がちゃちい…」とか「牛三、現代に来てたけど、あまり意味なくない?(ゲイツの伝記を書くって言ってたのは今後のスピンオフ展開?)」とか「一般市民まで戦うくだり」とか「ウォズが生き返って、ゲイツとツクヨミが戻っていたラスト、うれしかったものの、やりたい放題すぎて飲み込みづらい」とか「ゼロワンのノリが合わない…」とか「ロボライダーの解釈が間違ってない?(ミサイル発射してたっけ?)」とかとかとか。それと、「劇場版 仮面ライダービルド Be The One」の時も思いましたが、「Over Quartzer」というタイトルが付いているのに表題曲が流れなかったのはガッカリしましたよ (´・ω・`) ウーン


一応、「Over Quartzer」のPVを貼っておきますね↓




ということで、いろいろと複雑な男心ではありますが、何はともあれ、「えれぇものを見ちまった (`Δ´;)」と思わせるパワーのある作品なのは間違いないです。冷静に考えれば、あれだけ要素が多い「仮面ライダージオウ」の映画を作ること自体がなかなか大変なワケで、そういう意味では超頑張ってるんじゃないかと。ずっと「平成ライダー」を観てきた人なら、チェックした方が良いと思います。まぁ、“平成ライダー20作目のジオウ”の話はこれで良いとして、あと数回で終わるテレビシリーズの“王としてのジオウ”の話がどういう着地をするのか、とても楽しみでございます (・∀・) オシマイ




テレビシリーズのBlu-rayボックス第一弾。富豪ではないので買えませぬ。



デジタル盤のサントラ。9月にはCD盤も発売予定。ちゃんと「P.A.R.T.Y. 」が入ってるのがいいね。



9月に発売されるスピンオフ。「仮面ライダーシノビ」は10月に発売予定。



昨年の夏のライダー映画。僕の感想はこんな感じ



昨年の冬のライダー映画。僕の感想はこんな感じ