ザ・ファブル(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ザ・ファブル(ネタバレ)

ザ・ファブル



2019/日本 上映時間123分
監督:江口カン
原作:南勝久
脚本:渡辺雄介
製作:大角正、今村司、藤島ジュリーK.、谷和男、有馬一昭、角田真敏、田中祐介、坪内弘樹、和田俊哉、赤座弘一、大鹿紳、小櫻顕、毛利元夫
エグゼクティブプロデューサー:高橋敏弘、伊藤響
企画・プロデュース:吉田繁暁、藤村直人
プロデューサー:宇高武志、佐藤満
ラインプロデューサー:毛利達也
撮影:田中一成
照明:三重野聖一郎
録音:反町憲人
美術:小泉博康
装飾:高畠一朗
スタイリスト:伊賀大介
ヘアメイク:中山有紀
編集:和田剛
音楽:グランドファンク
主題歌:レディー・ガガ
ガンエフェクト:納富貴久男
サウンドエフェクト:北田雅也
ファイトコレオグラファー:アラン・フィグラルツ、岡田准一
スタントコーディネーター:富田稔
VFXスーパーバイザー:小坂一順
音楽プロデューサー:茂木英興
スクリプター:吉田純子
キャスティング:北田由利子
監督補:西山太郎
助監督:是安祐
制作担当:栗林直人
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、木村了、井之脇海、藤森慎吾、宮川大輔、佐藤二朗、光石研、安田顕、佐藤浩市、南出凌嘉、六角精児、粟島瑞丸、モロ師岡、好井まさお、倉本美津留、藤原光博
パンフレット:★★★★★(850円/松竹事業部×ギンティ小林さん×市川力夫さんによる良い仕事。情報量がギッシリ&ネタバレ全開で好みのタイプ!)
(あらすじ)
超人的な戦闘能力を持つ伝説の殺し屋ファブルは、育ての親であるボスから、1年間殺し屋を休業して普通の人間として生活するよう命じられる。もし誰かを殺したらボスによって処分されてしまうという厳しい条件の中、「佐藤アキラ」という偽名と、相棒ヨウコと兄妹という設定を与えられ、大阪で暮らしはじめたファブルは、生まれて初めての日常生活に悪戦苦闘。そんな中、偶然知り合った女性ミサキがある事件に巻き込まれたことから、ファブルは再び裏社会に乗り込んでいく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




60点


一応、「アクション映画が好き」なので、岡田准一さんの主演作はいつも気にはなっていて。とは言え、僕には合わないムードの作品が多かったから、今までスルーしてきたんですけれども、今回の「ザ・ファブル」は原作漫画を購入するほど好きなのもあって、「2019年に絶対観たい新作映画10本」のうちの1本に選ぶほど楽しみにしていましてね。ちょうど愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の今週の課題作品になったので、妻子がお出掛けして予定がフリーになった6月22日(土)、ユナイテッド・シネマとしまえんにて、鑑賞いたしました(その後、「X-MEN ダーク・フェニックス」をハシゴ)。「ワルい予感が当たった… (`Δ´;) ウーン」と思ったり。


記念撮影用のスタンディが置いてありました。


7番スクリーン、ほぼ満席でしたよ。


鑑賞後の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。



脚本は、原作漫画1巻から7巻までの内容をまとめた感じでして。最初にストーリーを適当かつ身もフタもなく書いておくと、組織のボスから「1年間、普通の生活を送る(人は殺しちゃダメ)」という指令を受けた“最強の暗殺者”ファブルが、大阪で「佐藤アキラ」という偽名で暮らし始めたところ、ヤクザ組織のゴタゴタに巻き込まれるわ、バイト先で仲良くなった女性ミサキがAVデビューさせられそうになったりするわと面倒くさいことになったので、誰も殺さずに無事に事件を解決しましてね。騒動の発端となった“ヤクネタ”小島は兄貴分の海老原が殺してくれたので、めでたしめでたし…ってな調子。エンドクレジットでは、レディー・ガガの「Born This Way」が流れてましたよ。


一応、レディー・ガガとのコラボ動画を貼っておきますね↓




ううむ、初めて予告編を観た時、ワルい予感はしていたんですが…。正直なところ、僕は原作漫画の落ち着いた雰囲気が大好きだったので(その中でギャグやアクションが繰り広げられるから面白い)、本作が「役者さんたちがオーバー気味の演技で、派手めのアクションを繰り広げる」という“実にわかりやすい邦画アクション”になっちゃってたのは、ごめんなさい、率直にガッカリしました。特に失望したのは「ヤクザ役のキャスティング」で、僕が原作ファンだから不満に感じた部分も大きいとは思いますけど(汗)、例えば安田顕さんが演じた海老原は、昔気質&ゴツめのヤクザなワケですよ。で、安田顕さんはどちらかというと「インテリヤクザ」っぽいビジュアルの人だから、まるで説得力を感じなくて…。あと、砂川役の向井理さんは本当にヤクザが似合わなくて、彼のこんな使い方はスゲー勿体ないと思ったり。


ちなみに、左が海老原で右が砂川でございます(「ザ・ファブル」より)。


例えば、白竜さんとかキャスティングしてくれれば良かったのに…という「アウトレイジ」
李(白竜)


一番イラッとしたのは柳楽優弥さんが演じた“ヤクネタ”の小島で、ヒャッハー系チンピラ感が心底ウザかったです。つーか、ファブルを狙う殺し屋フードの相棒コードも「ヒャッハー系」でなかなかイラッとしたし…。なんて言うんですかね、製作者サイドの方々は、観客がああいう「わかりやすい悪役ですよ〜 ヘ(゚∀゚*)ノ ヒャッハー!」って演技をさせないと悪人だと認識できないバカ揃いだと思っているんですかね? 大体、「ザ・ファブル」を映像化するのに主題歌がレディー・ガガの「Born This Way」ってのが舐めてるというか。「歌詞の内容が我が道を行くファブルと重なる」とか理屈付けはできなくもないけどさ、原作への愛をまったく感じない選曲じゃないでしょうか(例えば「海獣の子供」「海の幽霊」とかと比べちゃうとさぁ…)。いや、映画なんて別に原作通りじゃなくても良いんだけど、とは言え、中途半端に原作をしっかり踏襲しているだけに、余計“違う部分”が目に付いちゃった…って、伝わりますかね。


鑑賞中の僕の気持ちを代弁する愚地独歩の画像を貼っておきますね。
違うんだよなァ......


あとさ、アクションは確かに頑張ってた。すべて岡田准一さんがノースタントで演じたそうですが、想像の中で組長と海老原を射殺するシーンの動きの速さや、壁をヒョイヒョイと上る身体能力の高さには感動しましたよ。それと小島が自転車に乗りながら人を刺すシーンだって好みだったし、クライマックス、小島を助けるためにダイブ→片腕でイスを摑んで下の階に飛び込むアクションは面白かったし、ファブルvsフードも(カットを割りすぎな感はあったけど)良かったし、好きなところもそれなりにあるんです。ただ、終盤に繰り広げられる“ヤクザの集団相手のアクション”は、さすがに説得力がゼロすぎて萎えたというか。どんな工夫で小島とミサキを救い出すのかを楽しみにしていたら、「なんとなく上手くいきました (ノ∀`) ラッキー」ってレベルだったから、「なんだそりゃ ( ゚д゚)、 ペッ」と。しかも、あんな切羽詰まった状況なのに、小島と砂川のタイマンが始まった時は、マジで勘弁してほしかったです(「この役者さんには不自然な状況でも見せ場を作らなくちゃいけない」といった契約とかあるんですかね?)。


小島と砂川のタイマンを観た時の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
マジかよ....


その他、序盤の「敵を狙うファブルの意識を白線や文字で表す演出」自体は嫌いじゃないけど、1回だけで終わったのも残念だったし、木村文乃さん演じる相棒ヨウコのハイキックの見せ方にも失望した……って、不満だらけではありますが、しかし。ヤクザ以外の岡田准一さんを始めとする役者さんたちは良い感じだったし(ミサキちゃん役の山本美月さんが好きさ!)、岡田准一さんが見せるワキ毛は実に自然にモサッとしていて「プロとして」っぽさが感じられたし、小道具などの細部にこだわった姿勢は素晴らしいと思ったし、何よりも岡田准一さんの体技が素敵だったので、アンニュイな気持ちで60点という着地 (´・ω・`) ウーン ナニハトモアレ、続編が作られたらまた観に行くし(次の話は素面のアクションが多そうだし)、岡田准一さんは「ジョン・ウィック」シリーズとか「ザ・レイド」シリーズとかにも出てくれないかなぁと心から思っております。おしまい。




南勝久先生による原作漫画。スゲー面白いです。



非常に評判が良い江口カン監督作。いつか観なくては…。