魂のゆくえ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

魂のゆくえ(ネタバレ)

魂のゆくえ



原題:First Reformed
2018/アメリカ、イギリス、オーストラリア 上映時間113分
監督・脚本:ポール・シュレイダー
製作:クリスティーン・ベイコン、ダビド・イノホサ、フランク・マーレイ、ジャック・バインダー、グレッグ・クラーク、ビクトリア・ヒル、ゲイリー・ハミルトン、ディーパック・シッカ
製作総指揮:ブライアン・ベックマン、フィリップ・バーギン、ブルック・リンドン=スタンフォード、マーティン・マッケイブ、ルカ・スカリージ、ミック・サウスワース、イン・イェ
撮影:アレクサンダー・ダイナン
美術:グレイス・ユン
衣装:オルガ・ミル
編集:ベンジャミン・ロドリゲス・Jr.
音楽:ラストモード
出演:イーサン・ホーク、アマンダ・セイフライド、セドリック・カーン、ビクトリア・ヒル、フィリップ・エッティンガー
パンフレット:★★★★(800円/コラム2本と監督インタビュー、「影響を与えた映画」の記事が超タメになる一冊。あらすじが最後まで書かれているのも良し)
(あらすじ)
ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師トラーは、ミサにやってきた女性メアリーから、環境活動家である夫のマイケルの悩みを聞いてほしいと頼まれ、彼女の家を訪れる。そこでマイケルが地球の未来を憂うあまり、メアリーのお腹の中にいる子を産むことに反対しているという話を聞かされる。また、トラーは自身が所属する教会が環境汚染の原因を作っている企業から巨額の支援を受けていることを知り……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




75点


※本作に関しては、尊敬する映画評論家の町山智浩さんがパンフに書いたコラムを読む&「映画その他ムダ話」(210円)の解説を聴けば十分じゃないかな。
※今回の記事は、「女は二度決断する」のネタバレに触れているんですが、僕は大好きな映画なので、ぜひ観てから読んで!


本当に今さらですけど、4月に公開されて6月に観た映画の感想を12月中旬にアップしておきますね。ポール・シュレイダー監督といえば「タクシードライバー」の脚本家というイメージがあって、監督作で観ているのは「キャットピープル」程度(地上波でよく流れてた)。しかも、なんか宗教映画っぽいムードということで、本作を観る気はあまりなかったんですが、しかし。4月19日放送の時に回した「ムービーウォッチメン」のリスナーカプセルに選ばれた→今年もリスナーカプセルに入った作品を鑑賞しているので、仕方なく観ることに決定。6月13日、横浜のシネマ・ジャック&ベティに足を運んできました(その後、「ザ・バニシング 消失」をハシゴ)。「そっちが観たかった!(´Д`;) アァン」と思ったり。


スクリーンはシネマ・ジャックの方。そこそこ混んでいたような記憶。



観た人が「そんな話だったっけ…? (・ω・;) ウーン」と疑問を抱くほどに雑なあらすじを残しておくと、主人公は、250周年式典を控えたニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」(原題であり、監督インタビューによると「街に初めて出来た教会」に付けられていた名前だそうな)のトラー牧師。息子を従軍牧師としてイラク戦争に行かせたら半年で戦死→妻と離婚するハメになったので、すっかり酒に溺れるエヴリデイでしてね (*゚∀゚) サケモッテコーイ! そんなある日、妊娠している信徒のメアリーから「夫が出産に反対しているから説得してほしい」と頼まれたので、「はい、喜んで!ヘ(゚∀゚*)ノ」とやるき茶屋気分で行ってみれば、地球の環境問題に悩みまくっている夫のマイケルはまったく耳を貸してくれないのです。


トラー神父はマイケルを説得しようとするも、なかなか大変なのです。



しかも、トラーを助けてくれているメガ・チャーチ「アバンダント・ライフ」ったら、川を汚染している大企業バルク社から献金を受けていて。なんと250周年式典にもその企業から金が出ることになっているから、超複雑な気持ちですよ (´・ω・`) ザンネン で、またメアリーに呼ばれて家に行ってみれば、マイケルお手製の自爆ベストが見つかったので、トラーが没収したところ、マイケルはライフルで自殺しちゃうし、具合が悪いので病院で検査をすればガンと診断されるしと、踏んだり蹴ったり。結局、神にも絶望してヤケになったトラーは、自分に好意を抱いていた女性エスターをハードに罵った後、250周年式典で自爆テロを試みるも、式典にメアリーが来ちゃったので渋々断念しましてね。ちくしょう、次は有刺鉄線を体に撒いてから洗剤を一気飲みして自殺しようとするも、メアリーに見つかったので、情熱的なキス!(`3´)(`ε´し チュー! そんな2人をカメラはグルグル回りながら映して、映画は終わってたような気がします、確か。


いろいろあって、腐った大企業&メガ・チャーチに対する自爆テロを敢行しようとするも…。


式典にメアリーが来たせいで、すべてが水の泡になるのでした (`3´)(`ε´し チュー!



邦題の通り、「鬱屈した“魂のゆくえ”」を描いていて、地味ながらもとても面白かったです。ポール・シュレイダー監督は50年間温めてきた本作を、自身が提唱する「聖なる映画」として撮ったそうで。「田舎司祭の日記」とか「奇跡」とか「冬の光」といった作品に影響を受けた…なんてことは、尊敬する映画評論家の町山智浩さんがパンフに書いたコラムやらパンフの監督インタビューやら「映画その他ムダ話」(210円)の解説やらをチェックしていただくとして(手抜き)。つーか、ベタですけど(汗)、本作を観て一番思ったのは「タクシードライバー」の聖職者バージョンって感じだなぁと。「現代人の拝金主義」や「結局は何もしない神」に苛立ち、絶望した牧師が(文字通り)爆発しようとしたところ、最後の最後に「愛に救われる」というラストを観たら、“妊婦に救われるトラー”と“少女の娼婦を救ったことで救われるトラヴィス”が重なって、グッときましたよ。


マイケルの葬儀で歌われる、ニール・ヤングの「Who's Gonna Stand Up」を貼っておきますね↓




まぁ、一応、適当に文句も書いておくと、スタンダードサイズ&カメラを固定して撮った地味めの映像が多い作品なので、だからこそラストのカメラグルグルキスが超盛り上がるのはわかるんですけど、退屈に感じる場面が少なくなかったという“映画通”には永遠になれなさそうな文章。あと映画後半でトラーとメアリーがマリファナを吸引→体を重ねて実施する秘奥義「マジカル・ミステリー・ツアー」は、ああいう神秘体験を信じてないワケではありませんが、首が絶対疲れるし、100パーセント勃起するだろうなと思ったり思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ 


これが「マジカル・ミステリー・ツアー」だッ! アマンダ・セイフライドにこんな密着されたら…。


高確率でこの愚地独歩みたいなことになるのでは(「グラップラー刃牙」より)。



何はともあれ、最近はスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリの国連演説がいろいろな波紋を広げていますが、本作で描かれているように「目先の金のために環境問題から目を逸らす」なんてことは、あちらこちらで行われているんだよなぁとか、あらためて考えさせられたし(とは言え、僕は肉を食らう毎日ですが…)、とても良い映画だと思うんですけれども。本当は「砂丘」に影響を受けた爆発シーンで終わる予定だったものの(トラーの体が吹き飛ぶのをスローで見せるつもりだったとか)、予算の都合で断念した…なんてことがパンフに書いてありましてね。ううむ、そりゃあ「愛で救われる話」も好きですが、とは言え、やっぱり僕は「女は二度決断する」のような爆発エンドの方が大好物であり、ごめんなさい、凄まじく「そっちが観たかった!(´Д`;) アァン」と思わされたので75点という乱暴な評価なのでした。おしまい。




すでに配信が始まっていて、ソフトも発売中なのです。気になる人は観てみて!



デジタル盤のサントラ。輸入CD盤アナログ盤もあります。



ポール・シュレイダー監督が影響を受けたという作品。ちょっと観たい。



スゲー気になっていたニコラス・ケイジ主演×ポール・シュレイダー監督作。早く観なくては…。



ポール・シュレイダーが脚本家として名を挙げたマーティン・スコセッシ監督作。これは観ておくと良いです。



なんとなく貼っておきますね。僕の感想はこんな感じ。