山〈モンテ〉(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

山〈モンテ〉(ネタバレ)

山〈モンテ〉



原題:Monte
2016/イタリア、アメリカ、フランス 上映時間107分
監督・脚本・編集:アミール・ナデリ
製作:カルロ・ヒンターマン、ジェラルド・パニチ、リノ・シアレッタ、エリック・ニアリ
撮影:ロベルト・チマッティ
美術:ダニエレ・フラベッティ
衣装:モニカ・トラッポリーニ
出演:アンドレア・サルトレッティ、クラウディア・ポテンツァ、ザッカーリア・ザンゲッリーニ、セバスティアン・エイサス、アンナ・ボナイウート
パンフレット:★★★☆(600円/コンパクトな作りで、監督インタビューが映画の補完に良し。ネタバレ全開のあらすじ紹介&解説コラムも好き)
(あらすじ)
中世後期のイタリア。南アルプス山麓にある小さな村の外れで暮らすアゴスティーノと妻ニーナ、息子ジョバンニ。壁のようにそびえる山に日光を遮られて作物が思うように育たないため村人のほとんどが去って行ったが、アゴスティーノたちは先祖の墓や亡き娘の墓があるこの地を離れられずにいた。アゴスティーノは飢えた家族のためあらゆる手を尽くすが、周辺の村の人々からは異端者として差別され、ついにはそこで暮らすことさえ禁止されて家族は離れ離れになってしまう。神や自然、そして人間からも見棄てられたアゴスティーノは、たったひとりで忌まわしき山と対峙することになり……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




60点


※今回の記事には、サラリと下ネタが書かれているので、そういうのが苦手な人は気をつけて!

「今年の2月9日に公開→3月に観た映画」ということで、超今さら感がありますが(汗)、本日8月11日は「山の日」なので、本作の感想をアッサリ気味に垂れ流しておきますよ。僕は「イランの名匠アミール・ナデリの監督作は絶対観る!(`・ω・´) キリッ」なんて主義ではなくて(不要な書き出し)。正直、あまり興味はなかったものの、ああん、前売り特典に惹かれて、なんとなく前売り券を買っちゃいましてね…。とは言え、2017年に観た山映画「MERU メルー 」がそこそこ面白かったので、それなりに楽しみなムードで、3月20日、渋谷で「パペット大騒査線 追憶の紫影」を観てから、アップリンク吉祥寺で鑑賞いたしました。「なにこの話!Σ(゚д゚;)」と思ったり。


前売り特典は「“mont-bell"カラビナ」でしたよ。


スクリーン2、観客は5人ぐらいだったような。


パンフ、間違えて2冊買っちゃったというね… ('A`) イヤーン



「娘さん、よく聞~けヨ、山男にゃ惚~れ~るなヨ~♪」で始まる「山男の歌」の7番には「山男の心はヨ、山で鍛えたメスイキ男意気だヨ」なんて歌詞がありますが、そんな感じの映画(伝わりにくい文章)。あらすじを超省略して書いておくと、舞台は中世後期のイタリアの南アルプスでしてね。主人公アゴスティーノとその妻子が住む山麓の小さな村は岩山に遮られて年中日陰という最悪な日照条件にもかかわらず、「先祖伝来の土地だから (´・ω・`) シカタナシ」と住み続けていたんですけれども。映画冒頭に娘が死亡&狼に墓を荒らされたり、近所の人たちが別の土地に引っ越しちゃったり、作物が育たないので貧困にあえいで妻の髪飾りを売ろうとしたら泥棒に間違えられて一家離散しちゃったりと、あんまりすぎる理不尽なシチュエーションの数々にアゴスティーノの怒りが爆発!ヽ(`Д´)ノ ウォォォッ! 神を信じるのをやめて岩山をハンマーで叩き始めたら、妻が戻ってくるわ、息子も成長して帰ってくるわと良いこと尽くめであり、最終的には岩山をハンマーで見事に破壊して、家に日光が降り注いだのでしたーー (´∀`(´∀`(´∀`し ヤッタネ


まぁ、まったくこんな感じではありませんが、なんとなく「山男の歌」を貼っておきますね↓




褒めたいところを書いておくと、本作はもちろんフィクションなんですけど、ビジュアルの現実感が半端ではなくて。イタリアの山麓に6ヵ月かけて作り上げたという村はとにかくリアルだし、「撮影中は携帯電話&家族との会話&遊びに行くことを禁止された」という役者さんたちの演技もスゴいし、劇中に出てくる人や物の汚れ具合も徹底しているし、「この映画、中世でロケしたんだって (゚⊿゚) シッテタ?」と言われても、スムースに納得しちゃいそうになるほどでしたよ。で、映画終盤、主人公が狂ったようにハンマーを岩山に打ちつけ始めて、さらには息子まで参加してガツンガツン叩くから、一体どうなるのかと思っていたら、岩山が一気に崩れた時はスゲー驚いたし、あの陽の光が差したラストはとても美しかったです(そこまで、わざと色調を抑えていた感じ)。つーか、あの「神に祈っても何にもならないから、自分の力で切り開くぜ!ヽ(`Д´)ノ」的な精神性は大好きでしたね。


岩山にハンマーを打ちつけ始めた時は、この寂海王のような気分になりましたよ(「バキ」より)。



ただ、クライマックスの「ハンマー殴打からの岩山破壊」は、唐突かつ乱暴な展開でもあって、笑いつつも「なにこの話!Σ(゚д゚;)」感が拭えなかったし(展開の強引さは同監督の「CUT」のクライマックスを連想した)、何よりも「リアルに描いた“地味にツラい展開”(しかも結構長い)」を終盤まで見せられるのがなかなかハード(a.k.a.退屈)だったので、60点という着地。何はともあれ、名匠と名高いアミール・ナデリ監督作なのでね、気になる人は機会があったら観てみてくださいな。僕はそれほど好きな作品ではないけど、あの美しいラストは一見の価値アリだと思います。




唯一観ているアミール・ナデリ監督作。僕の感想はこんな感じ



2017年に観て面白かった山ドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ